“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

夏休みが終わります。

2011-08-16 23:54:08 | 日記
こんばんは。
皆さん如何お過ごしですか。
しろねこの夏休みは、今夜でおしまいです。

しろねこは7日間の休暇のうち
3日間は職場のPCで仕事をし、
翌2日間は外でのらくらし、
最後の2日間は自宅に引きこもりました(笑)
明日からまた毎日同じ風景を行ったり来たりなので、
今のうちに身体が猫のように踞って寝ておこうとするみたいなのです。


休み中は、
これも漢字と関係ありませんが、
山崎ナオコーラさんの
『桂美容室別室』
の文庫を読みました。
山崎ナオコーラさんは昨年しろねこの中でブームになっていたのですが、
また文庫化している本(桂美容室別室)が見つかったので買いました。
開くと扉にナオコーラさんのサインが書いてあったので
ああ、サイン入りだったのかと今更のようにびっくり。
サインは金色でした。
サインにあるメッセージは、作品を全部読み終えるとよく理解できるものでした。

読みながら、
最近は小説のような偶然や突発性を
読んだ直後に現実に求めなくなったなあとぼんやり考えました。
道でばったり知人と会ったり、
突然かかって来た電話で自分のその日の予定が変わったり
ということは、小説の中だけでくるくる進んでいくのです。
ところが、この『桂美容室別室』を読み終えた13日だけは違いました。
駅前の喫茶店で文庫を読み終えたしろねこは、近くの薬局に買い物に行きました。途中、一昨年卒業した自分のクラスの生徒Aと似ている子とすれ違い、
関東の大学に行ったAはどうしているかな?お盆にいつ帰省するのかな?
と思いながら買い物していると、
なんと帰省したAから電話がかかってきたではありませんか。
今駅にいて、実家に行く電車まで間があるから、先生が近くにいたらお茶しようかと思って、と言うのです。
読者の方の中には
随分気安いことを言う卒業生だあなと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、しろねこは結構卒業生と飲み食いするので
この程度のことは気になりません。
驚いたのは、しろねこが駅前にいるかと電話してきて、あまりにも都合よくしろねこがいた、ということでした。
お盆だし、断ることもできましたが、小説を読み終えた直後の心の清々しさのせいか、その偶然にぽんと飛び込んだしろねこ、それから1時間半ほど、Aとの懐かしい会話に花を咲かせたのでした。
Aたちも、そろそろ順に成人してゆく頃で、感慨も一入です。

因みに翌日8月14日、山本一力さんの小説を読み始めたら、出だしの1行目に
八月十四日
と書いてあって、またまたの小さな偶然に驚きました!


休みの間、一番美味しかったのは、お粥でした。
海老蟹入りのお粥で、暑さを吹き飛ばしました。
「粥」という漢字は不思議な形をしていますが、
もとは下に「鬲」を伴っているのですね。
「粥」の「弓」二つは米を囲む意で、「鬲」が米を煮る道具を表し、柔らかく煮たお米を表す字なんだそうです。


8月12日朝の携帯ニュースでは、前夜11日に3・11から5ヶ月ということで、被災地3県の沿岸で打ち上げられた花火のリポートとともに、被災地の方のインタビューが付されていました。
その中のお一人が、
「もうこんな思いは二度としたくないというか……、
出来ればみんなに帰ってきてほしい」
と仰っているのを見て、
しろねこは朝の通勤バスで思わず泣きそうになりました。
休みの間、毎日この
「出来ればみんなに帰ってきてほしい」
という言葉を思い出しました。
母に話すと母も、
本当に、その通りだねえ。
と感じ入っていました。
しろねこ自身は、この夏はどこの花火にも行きませんでした。
死者のことを忘れず、
ただただご冥福をお祈りするばかりです。

漢検生涯学習ネットワーク会員通信vol.2が届きました

2011-08-13 00:08:59 | 日記
11日夜、帰宅すると
漢検生涯学習ネットワーク会員通信vol.2が届いていました。
今日(もう昨日)夕方に仕事が一段落したので、
戻りの電車の中で読みました。

第1回会員向け研修会リポートのほか、1級リピート合格者の割合や、1級合格者の方の勉強法の紹介、1級に55回合格なさっている海島さんインタビューなど、盛り沢山で興味深く読めて、一つひとつの内容が確認や収穫になりました。

勉強法の紹介の中で、好きな音楽を聞くという事を挙げている方がいらっしゃいましたが、
しろねこも同感で、聴き慣れた好きな音楽をリピートモードで聴きながら単語トレーニングを流すと、後で問題を解くときに、その音楽が頭の中に流れて気持ちがリラックスモードになり、音楽の無いときも心地よく集中できるのです。

とはいえ、最近は全然聴けてませんけど。聴く前に寝てしまうので。

「音」について、先日ひとつ感じたことがあります。

ある種目でインターハイの応援引率に行ってきたのですが(深夜からバスで行き、車中泊なので身体が痛くなる)、
うちと宿敵である対戦相手の応援では、和太鼓を使っています。
ほぼ毎年耳にしている筈なのですが、今年はこれまで以上に、その太鼓のリズムから、身体が何だか温まるような感じを覚えたというか、日本古来のリズムのようなものを感じたというか、体内の血がふつふつと活性化する気がしたのです。
敵の太鼓ながら、これは選手たちのコンディションにもきっと効果あるなあ、と、今年は殊更に感じました(勿論うちらも声を枯らして応援頑張りましたけどね)。

スポーツでもそうであるように、ですから勉強に於いても、血がふつふつと湧き立つような、思考の巡りによい、その人に合ったツボマッサージみたいな効果覿面の音楽というものは、やはり確かにあると思います。

では、昼夜逆転しないように(しろねこは放っておくと、朝6時からベッドに入るという生活になります)、そろそろ寝るとします。
今日も読んでくださった皆さん有難うございます。
おやすみなさい。

「オッケーで~す」は、オッケーですか??

2011-08-11 23:05:17 | 日記
こんばんは。
まだ休暇が数日あるからといって、妙に精神的ゆとりがあるかのような錯覚を抱きがちなしろねこです。
二日連続で記事を更新するのは久々です。
今回は全く漢字には関係ない話なのですが。

今日はずっと中3国語の問題づくりで職場のPCと睨めっこしていました。
本文の表現を観察して、傍線をどこに引くか、どこを抜き出し問題にするか、
まるで雲の切れ間でも見るように、
表現の手の差し入れどころを探すのは結構集中力がいりますが、これはこれで、始めると楽しいです。
同時に解答も完成させながら、慎重に設問の整合性をチェックしていきます。
お盆休み前、明日まで職場に入れるので、明日まで仕上げた分は一度担当の方に郵送します。
今夜はPCなしでできるところを頑張ろう。

ところで、PCのキーボードを叩きながらふと、先日から気になっていた日本語のことが頭に浮かびました。
何故かというと、
「今年度入ってきた新人さんあたりから、ものすごく世代間のギャップを感じるから、もうしろねこもすっかり歳なんだなあ(※生徒に対しては気のせいかそれほどギャップを感じません。多分しろねこが幼いんでしょう(笑))」
と感じたあとに、その日本語を思い出したのです。

その日本語とは、
若い人が、その人より年配の人に向かって使う
「オッケーで~す!」
という返事です。

因みにしろねこは、
あまり「この日本語はおかしい」とか、「日本語が乱れている」という言い回しで思考することがありません。
言葉は生きものだから、言葉が綺麗でないなら日本人の心理面も荒れてきているのだ、とバロメーターにしている感じです。
「ウザい」も「キモい」も、出た当時は抵抗が無いわけではありませんでしたが、正直言うと感覚的に理解はできます。
目上の人への「お疲れ様」も「ご苦労様」も、もともと言わないのが本当ですが、風潮としては言わないのが失礼になっているので、しろねこもあまり拘っていません。

ただ。

そんなしろねこが、最近になって、
「これは感じ悪いし理解できないし理解したくもない」
と感じたのが、
目上の人への
「オッケーで~す!」
という返事なのです。

先日うちの若い女の先生が、キャリアも年齢も5年程度上の同僚に仕事内容を確認している会話が聞こえてきたのですが、
その確認が済んだ瞬間、
「オッケーで~す!」
と言っているのを聞いて
しろねこげんなり。

これは、
例えば目上の側が目下の側に、もう仕事が済んだか尋ねているとかの返事ではありません。
目下の側が、仕事のやり方を尋ねて、目上の側が説明し終えた瞬間の返事なのです!

この「オッケーで~す!」に、何故しろねこが過剰反応しているのかというと、
約2ヶ月前、コンタクトレンズ検診のため、眼科の待合室にいた時に初めてこの「オッケーで~す」を聞いたからなのですが、それがひどいのなんの。

眼科に来た、10~20代で、わりと背が高くてスタイルのよい、黙っていたら綺麗なお姉さんが、
何やら受け付けの30~40代くらいの女性の看護師さんに、
凄い勢いかつ抑揚のないかつ非常に不満そうな声で
「今受け付けしたら、何時に終わりますか?4時半までに終わらないんですか?どうしたら4時半までに終わるんですか?4時半までに終わらせられないんですか?」
としつこく迫っています。
あまりに感じが悪いので、思わず顔を上げて見ていると、
「4時半までに終わらないんなら他に眼科ないんですか?この近くの眼科紹介してください!」
とその客。
看護師さんもさっさと余所へ行ってほしいのか、すぐ「少々お待ちください」と奥へ姿を消しました。
さて、再び看護師さんがメモを手に、どっかりと脚を組んで携帯をいじっているその客のところへ来て、あくまでも「客」に対応するように、丁寧に案内したところ、その客は暫くメモに目を通した後、軽く質問をして、確認が取れるや否や、

「オッケーで~す」

と言い放ち、立ち去ったではありませんか。

…「オッケーです」ぅ?
あんなに感じ悪くしといて、
「オッケーです」って、何?!
…と、開いた口が暫く塞がらなかったしろねこ。

でも、それ以来気をつけてみると、実はこの類の「オッケーです」、結構若い人(男性も)が日常的に、何の悪気もなく、寧ろ朗らかな笑顔とともに使っているようなのです。

目上の側が、求める情報を提供してくれた場合、「有難うございました」、必要があれば「大変お手数をおかけしました」を付け加えるのが一般的だと思っているしろねこにとって、この事実は結構衝撃でした。
皆さんどうお思いになりますか?

良心的に取れば、
「先輩の言う内容を自分は理解・実行できる状況にあります!オッケーです!」
ということなのでしょうけれどねー。
どうもしろねこの肌には合いません。

検索サイトで引いてみると、
「全然オッケーです」
に対する小言は沢山見られるのですが(因みにこれはしろねこは「全然平気」です(笑)近代の文豪は、「全然」を肯定文で使用している例もあるようなのです)、
この類のページは、しろねこは見つけられませんでした。

…今日は最後まで
しろねこの小言になってしまいましたが、
これも日本人の「立場」に対する意識のバロメーターなんだなあと考えてしまう一件でしたので、書き逃さないうちに書きました。

では、深夜までもう一息精出します。

残暑お見舞い申し上げます

2011-08-10 20:52:10 | 日記
こんばんは。
またまたお久しぶりです。早くも立秋が過ぎましたね。

記事の更新が遅くて後ろめたい日々ながら、相変わらず、仕事と睡眠だけで毎日が費やされているしろねこです。

今日から生徒は夏休みに入り、しろねこは職場で義務付けられている健康診断のために、猛暑と俄雨のなか、校医さんのところへ行きました。
健康診断では採血も勿論嫌ですが、メタボ診断のために腹まわりを測られるのはもっと嫌です。
食べるのが好きなしろねこは、勤務時間の関係で夕食が遅いのもあり、30代から順調に略1㎏ずつ増えているのです。
帰宅して魂が抜けてしまったかの如くなることを考えると外食も多く、先日はずんだかき氷に蕨餠、昨日は底に分厚いチャーシューが潜んでいる野菜塩ラーメン、今日は採血された後なので、ホットワインと牛肉フィレとパイナップルシャーベット…と、気儘な食事を楽しんでいます。それに反して、震災以来スタバに通うことは、何故か減ってきてしまっています。

最近あまりにも個人の漢字学習に時間をとっていないため、ここ数日は、このブログを始めたころにもよく解いていた、岡野秀夫氏の運営サイト「漢検WEB練習問題集」に、仕事しながらたまにアクセスするようになりました。
現在、練習問題とは別に、「ミニテスト」と称して、4級~1級レベルの読みテスト30問を解くことができるようです。
しろねこは携帯とPC両方で別々に登録していますが、問題はどちらも同じでした。ランキングが出るので当然といえは当然です。
初め携帯で解いて27点でした。携帯では出ない文字が1問あり、当てずっぽうで答えたら予想通り外れました(笑)
翌日PCで解いたら29点でした。送り仮名を1問入れてしまったのです。バカですね…。
好きな県で自分のランキングを知ることができるようです。皆さん未だの方は是非お試しあれ、です。

さて毎日模試の対策、保護者会、地区ごとの保護者懇談会、自分の職場のオープンスクール、地元大学のオープン・キャンパスへの引率、インターハイの応援引率など、矢継ぎ早に過ぎていき、やっとこさ校内の仕事から一時手を引き、外部の参考書作成の原稿に取り掛かるところです。

7月末に行って来た地元大学のオープン・キャンパス引率ですが、実はここ、しろねこの出身大学なのです。うちの生徒たちは毎年2学年のときに行くので、順当に持ちあがりで学年をもっているしろねこは、3年ごとに仕事の傍ら恩師に再会できるのです。
伺っても、教授が会議や役割のため多忙もしくは不在ということもあり、必ずしもじっくり再会できるわけではないのですが、
当時しろねこの卒業論文を見てくださった国文学研究室の先生も、一般教養の講義を受けたのがご縁で、訪れると必ずご挨拶に伺うことにしている中国思想研究室の先生も、今回はしろねこの突然の訪問にもかかわらす、予想以上にお時間を割いてくださいました。
そこで、震災当時のお互いの様子を語り合うとともに、近況報告もすることができました。

卒論を見てくださった先生とは、午前中にお会いしました。
近代詩の翻訳の問題を研究されている方で、
明治維新期の日本語の漢字にも詳しく、
漢検でしろねこが手が出なかった「河漢」も「宇内」も「橋頭堡」も「増上慢」も勿論御存じで、
(漢検の問題は)おもしろいね、と仰っていました。
「漢検の勉強を始めてから、訓読みがとても豊かであることに気づいたし、
明治維新のときの漢語表記はよく批判の対象にもなるが、そうとばかりは言えず、当時の知識人たちはよくこんなにも訳語の漢語表記を考えたと思う」という趣旨のことをしろねこが言うと、
「本当にその通りですよ、明治時代の人達の努力はすごいと思う」という思いを、先生は仰っていました。

キャンパスは法人化してからしろねこのいた頃とは見違えるようにきれいになったとはいえ、懐かしの学食で昼餉を頂いて、大学ブランドのお土産を自宅に購入してから、午後は中国思想研究室に行きました。
中国思想の分野では、漢文を沢山扱うので、何でも漢字を知っていそうですが、
実は決まった字しか目にしないから知らないものは知らないのだということを、前回のオープン・キャンパスのときに研究室の方が話してくださいましたが、恐らく謙遜なさっているに違いありません。
嘗てしろねこが講読の講義を受けていたときには、とにかく旧字体に苦心しましたが、当時の経験も結果的には現在に生きているなあと思います。
今回は漢検受験のことから
いつのまにか、先日の教育実習生のことに話が向いて、その件や、携帯文化についての話で盛り上がりました。
その先生が、偶教育実習生の視察の担当だったようで、
どこの大学でも、明るみになりにくいだけで、なにかしら実習生の問題は増えているのかもしれない、と仰っていました。
その意味では、単に実習を3週間に増やすことで必ずしも実習のクオリティが上がるとは限らず、むしろ問題に繋がりやすいのも3週間目なのかもしれない、という結論に至りました。

数日後、模試対策で目にした評論問題の文に、柄谷行人氏の『日本精神分析』の抜粋がありました。そこで日本の文字使用の形態が分析されているのを読みながら、
昔、自分はつくづく不勉強な学生だったなあと反省せずにはいられませんでした。
当時義務的に読まなければ国文学生として恥ずかしいとしか思えなかった柄谷氏の書物を、漢検を続けている今は、きちんと読みたいと思える自分がいます。

「震災でもこの研究室も大学も無事だったから、心配しないでいつでも遊びに来てくれていいんだよ」
との先生のお言葉を有り難く思いながら、
また次に伺ったときにもちゃんと報告できることがあるように、生涯学習に励もう、と、心を新たにしたしろねこなのでした。