“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

25-3 WEB合否通知の結果

2014-02-27 22:08:15 | 日記
こんばんは。

通知開始日より1日遅くなりましたが、
昨夜25-3のWEB合否通知を確認しました。
自己採点通り、
「合格まであと4点」
でした。詳細を見ないと確証は持てませんが、
おそらく当日自分が書いた内容の記憶・自己採点ともに
ズレはないと思われるので、安心しました。
これで心置きなく次の受検ができます。

ここ暫く親しみのある1級漢字は、
中2に教えている杜甫の五言律詩「春望」の三句目

「感時花濺涙」

の「濺(そそ・ぐ)」と、
同じく八句目

「渾欲不勝簪」

の「簪(シン=かんざし)」と、
中1に教えている故事成語「矛盾」の冒頭

「楚人有鬻盾与矛者」

の「鬻(ひさ・ぐ)」です。


●「濺」…部首:さんずい
【音】セン/【訓】そそ(ぐ)
→「濺濺(センセン)」

●「簪」…部首:たけかんむり
【音】サン・シン/【訓】かんざし・かざ(す)・はや(い)・あつ(まる)
→「簪裾(シンキョ)」・「花簪(カシン/はなかんざし)」

●「鬻」…部首:かなえ
【音】イク・シュク/【訓】かゆ・ひさ(ぐ)
→「鬻売(イクバイ)」・「衒鬻(ゲンイク)」


先日は2月22日「猫の日」で、猫に思いを馳せ、
その前日は自分の誕生日で、
およそ誕生日とはかけ離れて慌しく忙殺された一日でした。
気持ちは荒んではいないし、仕事も忙しいだけでストレスは少ないのですが、
少し自分がなくなりかけている気はします。

ここ数日は、夜22時ころ帰路に向かっていても、
「あ、春の匂いだ」とふと温もりをを感じることがあります。
帰宅して温かい食事をとり足を温めると、
あまりにも速く眠りへと引きずり込まれてしまい、
しかも目が覚めたとき、眠りについたときからあっという間な感覚で、
「熟睡」というより「スイッチが切れていて記憶がない」という感覚が強いです。

年度が終わりに近づいてくるにつれて、
次年度への人事的な不安や、
年度末までの処理すべき諸々のことが
目前に迫ってきました。
自分個人の勉強も、うちの職場の在り方も、
曲がり角を迎えています。
来年度は大きな年間行事に潰されない回でさえも無事受検できるか正直分かりませんが、
各検定日まで、毎日日何も取り組まないまま寝ることが、
ないようにしたいです。


今日の最後に:最近気に入っている四字熟語は、
「詩人蛻骨(しじんぜいこつ)」
です。
銘茶で感性がぬけかわる詩人を想像しただけで、なんだか幸せな気がしてきます。

では。

25-3 詳細反省②

2014-02-17 00:31:52 | 日記
①の続き。


■当て字・熟字訓 9/10点

1 草烏頭 … とりかぶと ○
※度忘れし、終了間際で記憶復活。
2 木賊 … とくさ ○
3 鉄葉 … ブリキ ○
4 蟀谷 … こめかみ ○
5 蚯蚓 … みみず ○
6 竹麦魚 … ほうぼう ×
▼漢検漢字辞典の索引で「ほうぼう」の次にある「ぼうらん(釵子股)」の方を書くとは、私の記憶はいったいどうなっているのか?
7 虎耳草 … ゆきのした ○
8 梅花皮 … かいらぎ ○
9 老海鼠 … ほや ○
10 金糸雀 … カナリア ○


■二字熟語・一字訓読み 7/10点

1 [りっしんべん+曷]陰 … かいいん ×
▼不勉強。
2 [りっしんべん+曷](る) … むさぼ(る) ×
▼復習不足。
3 箴規 … しんき ○
4 箴(める) … いまし(める) ○
5 竦然 … しょうぜん ○
6 竦(れる) … おそ(れる) ○
7 説懌 … えつえき ○
8 懌(ぶ) … よろこ(ぶ) ○
9 盪滌 … とうでき ×
▼復習不足。間違いやすい癖が出てしまった。
10 盪(う) … あら(う) ○


■対義語・類義語 16/20点

1 倹素 ⇔ 奢侈 ○
2 頑健 ⇔ 羸弱 ○
3 精進 ⇔ 懈怠 ○
4 沈重 ⇔ 軽躁 ○
5 安佚 ⇔ 鞅掌 ○
6 庶民 ≒ 黎元 ×
▼不勉強。
7 奸黠 ≒ 狡猾 ○
8 蹣跚 ≒ 蹌踉 ○
9 乾坤 ≒ 霄壌 ○
10 閑居 ≒ 棲遅・栖遅 ×
▼不勉強。


■諺 14/20点

1 【くんしゅ】山門に入るを許さず。 … 葷酒 ○
2 泥棒を捕らえて縄を【な】う。 … 綯 ○
3 雪の果ては【ねはん】まで。 … 涅槃 ○
4 性は猶【きりゅう】のごとし。 … 杞柳 ×
▼不勉強。
5 【くんゆう】は器を同じくせず。 … 薫蕕 ○
6 大功を天下に建つる者は必ず先ず【けいもん】の内を修む。 … 閨門 ○
7 老いて【とふ】の功を知る。 … 妬婦 ×
▼不勉強。「杜父」などと訳の分からないものを書いてしまった。
8 君子は【ろうおく】に愧じず。 … 屋漏 ×
▼不勉強。
9 【かつもく】して相待つべし。 … 刮目 ○
10 【りょうちゅう】葵菜に徙るを知らず。 … 蓼虫 ○


■文章題書き取り 12/20点

1 顔は美しくはないが、聡慧で【ビタイ】があった。 … 媚態 ○
2 抑草木の【カライ】を発し菓実を結ぶの栄を観んことを要せば、 … 花蕾 ×
▼思いつかなくて時間切れ。
3 【ケイキョク】葛[くさかんむり+田×3]と倶に … 荊棘 ○
4 野外【コウブ】の地に放生せしむべからず。 … 荒蕪 ○
5 【ジンアイ】其の条を穢し、 … 塵埃 ○
6 豈亦【テンピン】の美栄を開達するの日あらん乎。 … 天稟 ○
7 一旦意志投じて【セキジョウ】を結ぶ、 … 赤縄 ×
▼不勉強。
8 小過【サイキン】は互いに容捨し、 … 細瑾 ×
▼復習不足。「瑾」を「謹」と書いてしまった。
9 (ずっと夫婦についての文脈)愈益【ドウケツ】の契りを堅うし … 同穴 ○
10 【キッキョ】経営毫も離別する等の念慮を生ず可からず。 … 拮据 ×
▼何と書いたか記憶なし。「据」は「居」と書いてしまった筈。


■文章題読み 9/10点

1 親戚の【恃(む)】 … たの(む) ○
2 豊かな肌は【瑕】のない玉のようである。 … きず ○
3 領や肘はいつも【垢膩】に汚れていた。 … こうじ・くに ○
4 蓬草其の根を【掩(い)】 … おお(い) ○
5 方寸の狭地に地に【窘蹙】し、 … きんしゅく ○
6 草木をして【不羈】自由の境に生長せしめ、 … ふき ○
7 内垣に【鬩】ぐの兄弟なく、 … せめ(ぐ) ○
8 【螽羽】振々家産の勃興 … しゅうう ○
9 甚だしき【困阨】に陥り、 … こんやく ×
▼意味に応じた音読みの把握不足。「こんあい」と読んでしまった。
「阨:ヤク」=行き詰まる、困る
「阨:アイ」=せまく塞ぐ
10 【蹉跌】し大なる艱難に当たるも、 … さてつ ○


大雑把ですが、以上です。
過去問ノートにはまだ写していないので、早めに写したいと思います。

では、お休みなさい。

25-3 詳細反省①

2014-02-16 23:39:24 | 日記
こんばんは。
今日はお昼まで、新入生登校日で出勤でした。
雪は水を含み、道が悪くなっています。
溶けかけた近所のかまくらはちょっと名残惜しいです。

遅くなりましたが、25-3詳細反省です。
※後半②のUPは、多分日付が跨ります。

■音読み 18/20点

1 巨擘 … きょはく ○
2 盍簪 … こうしん ○
3 鬚髯 … しゅぜん ○
※「髯」の標準字体はケータイでは出ません。
4 播遷 … はせん ○
5 [冒+力]勉 … きょくべん ○
※[冒+力]の許容字体は「勗」。因みに「冒」の「日」の部分は、3、4画目の横画の左右は僅かに離れている。
6 寿讌 … じゅえん ○
7 輜重 … しちょう ○
8 吶喊 … とっかん ○
9 慫慂 … しょうよう ○
10 [井+「梁」の右上]業 … そうぎょう ×
▼許容字体は「剏」。「はじめる」の意味。復習不足。
11 幺麼 … ようま ○
12 綏撫 … すいぶ ○
13 癰疽 … ようそ ○
14 弊竇 … へいとう ○
15 筐篋 … きょうきょう ×
▼「きょうきょ」と読んでしまった。多分「筐筥(きょうきょ:竹で編んだ籠や箱)」と混同。
16 輒然 … ちょうぜん ○
17 羅襪 … らべつ ○
18 打嚏 … だてい ○
19 下舂 … かしょう ○
20 罌缶 … おうふ ○

■訓読み 5/10点

1 揩(う) … ぬぐ(う) ○
2 檠 … ゆだめ ×
▼不勉強。
3 績(む) … う(む) ×
▼正解と悩んだ挙げ句、「あ(む)」と書いてしまった。「績麻(うみお)」とかいうのに…。
4 亟(やか) … すみ(やか) 
5 曁(んだ) … およ(んだ) ○
6 蟶貝 … まてがい ○
7 徇(う) … とな(う) ×
▼書経の一節らしい。多くの受検者と同様、「したが(う)」の方を書いてしまった。「木鐸」=昔中国で、人民に法令などを触れて歩くときに鳴らしたもの。
8 悛(めんとす) … あらた(めんとす) ○
9 怙(む) … たの(む) ×
▼復習不足。「うら(む)」と書いてしまった。
10 僉 … みな ×
▼勉強不足。


■書き取り 24/30点

1 シコ(り) … 痼・凝(り) ○
2 (人工)フカ … 孵化・孚化 ○
3 キョウゲキ(な態度) … 矯激 ×
▼「驕激」と書いてしまった。「矯激」=言動が並はずれて激しいこと。極端に激しいこと。また、そのさま。
4 (公然)ワイセツ … 猥褻 ○
5 カワ(す) … 躱(す) ○
6 ルイセツ(の辱め) … 縲絏・縲紲 ×
▼記憶定着不足。「曳」右上に「、」付けちゃいました…。
7 ヘタ … 蔕 ○
8 ショウキ(様) … 鍾馗 ○
9 (襟)グ(り) … 刳(り) ○
10 サナギ … 蛹 ×
▼記憶定着不足。検定の勉強の努力が中途半端である故に、羽化せず蛹のまま死に絶えないように、という己への戒めとします。
11 ソウボウ(に涙が光っていた) … 双眸 ○
※「眸」が咄嗟に出ず頭がフリーズしたので、後回しにして思い出した。
12 (凄まじい)ソウボウ … 相貌 ○
※はじめ11のほうにこちらの解答を書こうとしていて、気付いて書き直した。
13 ソウボウ(の間に分陰を偸んで) … 怱忙・匆忙 ○
14 クレ(竹) … 呉 ○
15 (節)クレ … 榑 ○

■国字 10/10点

1 キス … 鱚 ○
2 センチリットル … 竰 ○
3 カザリ … 錺 ○
4 スサ … [くさかんむり+「切」] ○
5 クヌギ … 椚 ○


■語選択書き取り 4/10点

1 性質が残忍で荒々しい。 … 獰猛 ○
2 功績に応じて官位を上げ下げする。 … 黜陟 ×
▼記憶定着不足。正解と悩んで、「捗」を書いてしまった。
3 春風の肌寒いさま。 … 料峭 ×
▼「しょうりょう」と「りょうしょう」を分かっておらず、正解の字を逆さに書いてしまった。似た音読み二字熟語について無自覚だったことが分かり、勉強になった。
※スーパー大辞林より
・「りょうしょう」=了承/良匠/良宵/良将/領掌/凌霄/糧餉/料峭
・「しょうりょう」=少量/少領/生霊/承領/将領/称量/商量/渉猟/清涼/精霊/鷦鷯/蕭寥
4 長い距離を飛びとおすこと。 … 翔破 ○
5 神に仕えることを務めとすること。 … 巫覡 ×
▼記憶定着不足。「見」が思い出せず、違うことを知りながら「鳥」を書いておいた。因みにその「鵐」は漢検配当漢字ではないようだが、「ブ・しとど」という音訓をもち、ホオジロ科の鳥を総じていう古称を表す字らしい。

残った選択肢
しょうりょう・ひょうかん・ほうへん


■四字熟語書き取り 18/20点

1 旗幟(鮮明) ○
2 尸位(素餐) ○
3 晨夜(兼道) ○
4 槁項(黄馘) ×
▼記憶定着不足。「項」を思い出せず、違うことを知りながら「肯」を書いておいた。
5 笙磬(同音) ○
6 (老驥)伏櫪 ○
7 (鬼哭)啾啾・啾々 ○
8 (衆口)鑠金 ○
9 (舞文)弄法 ○
10 (狗尾)続貂 ○


■四字熟語意味選択 10/10点

1 「笙磬同音」の意味 ○
2 「衆口鑠金」の意味 ○
3 「槁項黄馘」の意味 ○
4 「鬼哭啾啾」の意味 ○
5 「狗尾続貂」の意味 ○


→②へ続く。

25-3 自己採点結果

2014-02-13 22:25:40 | 日記
こんばんは。
やっと職場の引っ越しが落ち着いてきました。
自分の机上も整い、身辺の段ボール箱も、大部分片付けました。

25-3のご報告がかなり遅れましたが、
今回の自己採点による合計点は、156点でした。
自分には、負け惜しみとも取れますが、いい薬だったと思っています。
どんな事情経緯であれ、ちょっとでもバランスを崩せば簡単にこうなる、という戒めになりました。
今回はふっきれもせず、清々しい気持ちでもなく、開き直ってもおらず、
半ば重々しいこのままの自分で、次に向けて頑張っていく気持ちです。
次回まではもっと、嫌な兆しを振り払い、未然に防ぎ、弱い自分を鍛えたいと思います。

集計結果です。


■音読み 18/20点
■訓読み 5/10点
■書き取り 24/30点
■国字 10/10点
■語選択書き取り 4/10点
■四字熟語書き取り 18/20点
■四字熟語意味選択 10/10点
■当て字・熟字訓 9/10点
■二字熟語・一字訓読み 7/10点
■対義語・類義語 16/20点
■諺 14/20点
■文章題書き取り 12/20点
■文章題読み 9/10点

■合計 156/200点


今回の「156点=あと4点」の主な原因は、
単純に書き取り問題の字形の忘却でした。
つまり、何の言葉を聞かれてるかはよく分かっているのに、字形を思い出せないというやつです。
少なくとも10点分がそうでしたので、検定までのカウントダウンの数日間の準備段階で、書き取りを上手く回せていれば受かっていました。
そしてその回すというのが、今回どうしてもできませんでした。
この時期の仕事の性質上、比較的時間はあったにも関わらず、です。

一つは体調管理に失敗したという基本的なことで、今回は本当にひどい風邪で4~5日前のラストスパートが全くスピードアップできませんでした。
もう一つは、そのような事態も計算に入れて準備できていなかった、ということでした。
勉強の見積りが忙しさに対してギリギリ過ぎたのです。

分析するのは簡単ですが、後悔先に立たず、覆水盆に返らず、です。また地道に水を満たしてゆくのみです。


なかなかこの結果と反省の記事をアップできなかったのですが、
しろねこの所へは、2月9日(日)に職場の引っ越しの準備をして帰ったら、解答が届いていました。
あの雪の中を届けてくれたのかと思うと、郵便局の配達員の方に頭が下がりました。
しかし翌日の課題採点もあり、本当に億劫だったこともあって、
自己採点は翌2月10日(月)朝の通勤電車の中で行い、予想どおりの現実に直面しました。
そのまま、その日は職員室の大移動があり、体力的に力尽き、
翌日は色々な方のブログにお邪魔し(コメントは殆ど残しておりませんが)、身体を休めながら詳細反省を編集し始めましたが、
煩雑な作業の間でのことで、ケータイの打ち込みにまだまだ掛かりそうです。なるべく急ぎたいと思います。

心理的には、気持ちは先へ先へと動いていて、今回の記憶が死なないうちに取り組みたいことも沢山あります。

多忙な現実は変えられないので、膨大な中から最優先事項を決めて、順々に地道にやっていこうと思います。

先日校内の大規模な引っ越しを体験して、方々の分散した校舎から一つの新校舎へ物事が集約されていくのを見るにつけ、
各漢字分野の記憶の大移動もこのように行われるのだ、という気持ちにだんだんなっていきました。
或る観点で集約したものを、別の観点で並べ直したり、融合したり、分離して整理したり、…。
そして、それらが同時進行で行われている壮観さ。

やはり勉強のビジョンはしっかり立てねばなりません。
新しい職員室も現在色々なものが融合していますが、その中にも秩序が必要で、順次決めていく必要のあることが山積しています。
ある構想が現実になってゆく傍ら、置き去りにされる部分や見落とされがちな部分にも目を向け、新しい形に整えていかねばなりません。

記憶も同じところがあるように思います。

長くなりましたが、よくよく今回のことを反省して、次に臨みます。

因みに、来年度の年間行事予定も組み立てられているところですが、
このままだとどうやらまた検定日と行事の被る日がありそうです。
私一人の力でどうなるわけでない事も多いですが、
なるべく受検日に仕事が入らぬよう、スケジュール確保をしたいと思います。

徒然草136段 検定明けに見かけて、何故か元気が出たお話。

2014-02-09 18:35:16 | 日記
今晩は。
検定明けは凄い寒さでしたが、
昨日からは凄い雪です。

昨日の昼間から、重みをもった細かい雪が、確実に地面を埋めていきました。雪の威力は凄まじいです。
関東圏でも、大分不便な思いをされている方も多くいらっしゃるようですね。

昨夜は勤務地から帰ろうとしたところ、新幹線が止まってしまっていて、50分程度足止めを食らっていました。
遅延時刻が10分ずつ延びていて、自宅までのバスがある時刻までに帰れるか心配でしたが、
JRの皆さんのご尽力に感謝いたします。

因みにいつもは勤務地では根雪になっても、居住地ではアスファルトが見えるのですが、今日は同じだけ積もって踏み固められているので驚きました。

今日の通勤バスは、雪で走ってくる音は消えているので近づいてくるまで分かりにくいし、乗っている最中は嵩高い雪道のせいで、いつになく車体の大きな揺れを感じました。

この一両日、何度か乗り場で足止めをくらったお陰で、ここ数日出したかった記事を整える時間ができました。

先日の検定では、とにかく何故かこれまでにないくらいひどく落ち込んでしまい(考えてみると、これまでも数知れず不合格だったのに、おかしなことです。すこしは私の鈍感な向上心にも、何かが芽生えてきたということでしょうか)、
近く届くであろう標準解答も憂鬱な気持ちで見なくてはなりませんが、
やはり一晩が明け、月曜日からまた生徒と接して新しい仕事をこなしていくうちに、気も紛れて、
力強くではないですが、
うん、やっていける、やっていこう。
という気持ちになっていました。

それでなくとも、漢検直後というのは、蓄積してきた漢検モードを一気に解放し、遊び心がいろいろ興ってくるので、
本来ならばブログ記事の更新も面白くあれこれ出せる時期なのです。

しかし、忙しさは相変わらずなうえ、明日はいよいよ、震災で全壊した校舎の跡地に新築した、新校舎の職員室への引っ越しがあります(最悪だった風邪は、かなり回復し、咳を残すだけです)。
これまで各校舎にばらばらだった中高の先生方が、みんな一緒になるのです。

ここ数日は、段ボールとの格闘の日々でした。
実は今日も数時間出勤し、荷物を箱詰めしてきました。
移動は明日の昼からなので、あとは午前中の授業の空き時間でなんとかなりそうです。


さて、検定明けすぐ、生徒の模試の過去問を解いたのを添削していると、
中2古典の問題に、徒然草136段が載っていました。
中学生には多少難しいかもしれませんが(しかし現代語訳つきです)、内容は以下のとおりです。


医師の篤成(あつしげ)という人が、後宇多法皇の元に運ばれてきたお召し上がりものの品々について、何でも本草書にあるとおりにそらで説明できるといったのを、六条故内府が、食品の基礎ともいえる「しお」の漢字の教養をネタにやりこめるお話です。


【原文:古文】
医師篤成(くすし・あつしげ)、故法皇の御前に候ひて、供御(ぐご)の参りけるに、「今参り侍る供物の色々を、文字も功能も尋ね下されて、そらに申し侍らば、本草に御覧じ合はせられ侍れかし。一つも申し誤り侍らじ」と申しける時しも、六条故内府参り給ひて、「有房(ありふさ)、ついでに物習ひ侍らん」とて、「先づ、『しほ』という文字は、いずれの偏にか侍らん」と問はれたりけるに、「土偏に候ふ」と申したりければ、「才の程、既にあらはれにたり。今はさばかりにて候へ。ゆかしき所なし」と申されけるに、どよみに成りて、罷り出でにけり。


【現代語訳】
医師の篤成が、生前の後宇多法皇にお仕えしていて、法皇の御前にお召し上がりものが運ばれてきた時に、「いま参りますお召し上がりものの品々について、名称でも効能でも何でもお尋ねくださって、そらでお答えしましたならば、(後で)(医学書の)『本草書』をご参照くださいませ。私のお答えすることに一つも間違いはございますまい」と申し上げた。まさにそのときに内大臣の源有房が参上なさって、「この有房も、ついでに(篤成殿に)ものを教わるとしましょう』と申し上げなさって、「まず、『しお』という文字は、何の偏でしょうか」と尋ねなさると、『土偏にございます』と(篤成が)申し上げたので、(有房は)『(おぬしの)才知の程は既に明らかになってしまった。今はもうそのくらいにしておきなさい。知りたい事はもうない』と申し上げなさったところ、(周囲の人々も)どっと笑い出して、(篤成は)たまらずにその場を退出してしまった。


これは、「鹽」と「塩」の双方を視野に入れての話ができなかった医師篤成の学識の浅さを、有房がこきおろし、周囲の皆もそれに加勢してわらったので、篤成はその場から逃げ出してしまった、というお話です。篤成は、法皇の前で自分が博識だとアピールしようとしたのに、折悪しく有房にやられてしまいました。

私は検定の翌日、課題採点のために机に顎を乗せてこの話を読んでいましたが、
「鹽」と「塩」という2つの字面を見て、何だか心に陽光が射したというか、幸せな気持ちがしました。
そして、また頑張ろうという気になれました。

多分、普段私が漢字の勉強を殊更にしていなければ、世間によくある排斥の物語として読み流したのでしょうが、
今回改めて、このような漢字の知識教養というもので人一人がやり込められてしまう世界を垣間見て、何となく痛快な気持ちになったのでした。
漢字はやっぱり凄いし、面白いなあと。

だいたい、言葉は、大雑把に眺めれば大して違いの無いある対象を、厳密に区別するために、
一対象:複数の漢字
があるのですから、本当に見ていて飽きません。
漢字を勉強すればするほど、世界への認識も細分化し、かつ明確になっていく面が大きいと感じます。


そんなわけで、火曜日もまた祭日があるので、明日はまず引っ越しを頑張って、梱包した段ボールの中身を整理しつつ、追いかけてくる数々の仕事を迎え撃ちながら、漢字とのお付き合いの段取りをも整えていきたいと思います。