“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

ある穴埋め問題から考えさせられたこと

2016-07-10 19:37:54 | 日記
こんばんは。

しろねこの住む地域はここ連日霧雨が続いていましたが、今日は快晴で気温も上昇しました。世の中は選挙があったり、英検二次があったりで、あちこちの会場で人の出入りが激しかったことでしょう(選挙はまだ終わっていませんけれど)。

さて、生徒に対するある課題に於いて、『中学生のための語彙力アップ 厳選1000語』(内藤俊昭、すばる舎、2012.8)をもとに出題したのを採点していたところ、「う〜ん」と思わず手を止めてしまった答案がありました。


【問題の一部 ※便宜上、しろねこが変えた部分あり】
A みんなに愛される( )。
B ( )を重視する。

このABそれぞれの空欄に、「糸口」「利便性」「エアポケット」「おいそれと」「人となり」の中から一つずつ選んで当てはめ、例文を完成させよう(この問題集は、ひとつの語を2回以上選ぶことはないように作られています)。


【正解とされる答え】
A みんなに愛される“人となり”。
B“利便性”を重視する。


【しろねこが考え込んだ答案】
A みんなに愛される“利便性”。
B“人となり”を重視する。


この後者のケース、実は1人ではなく数名いたのですが、皆さんは、これをどうご覧になりますか。そして、内藤先生はもしや、寧ろこの問題でこのような答案が出ることをも狙って、このような例文と選択肢とを同時に立てたのでしょうか。

本書において、この問題と同ページに示されている言葉の意味は、

「人となり」=人柄
「利便性」=都合がよく便利であること

となっています。「都合がよい」という性質を、「人柄」よりも優先して「みんなに愛される」にくっつける中学生がいたときに、彼らの感覚を倫理的にどう導くか………という狙いが、やはり作問中にあるのでしょうかね。

「人となり」はこの場合、ABどちらの例文にも当てはまるはずで、Bを「“人となり”を重視する。」としたならば、面接試験や、友人・恋人選びなどの場に於いて、十分に当てはまりそうです。
でも、今やAを「みんなに愛される“利便性”。」としたとき、それが完全に不正解だと人々に納得させられるのだろうか?
たとえば人工知能が人を追い抜くと言われているこの時代、商品に対する“愛用”の精神が、この誤答とされる例文をまことしやかに成り立たせはしないだろうか??
……そう考えてくるとこのふたつの例文の穴埋めを、年代・性別・職種・地域ごとに解いてもらい集計したいという衝動に駆られるのです。知りたいような、知りたくないような、結構こわいリサーチだと思うのですが。
さあ、明日の授業で子どもたちに答案返却したとき、どう解説しようかな。みんなで一緒に考えるか。





――ところで、まったく別の話題ですが、今夜20時直前から深夜まで放送される日テレ系列の選挙特番のどこかで、円満字さんが又吉さんとお話しするコーナーがあるようです! 円満字さんのブログでは、いつだかよくわからないしお蔵入りになるかも、とされていますが、多分、第二部でしょう。テレビを持たないしろねこのワンセグ番組詳細情報と、日テレHP番組案内にて、第二部の最後に「憲法を、考える」とあるのを確認しているからです。順番通りなら、22時台後半あたり?
普段忙しい忙しいと自己主張していながら、なんなんだこのミーハーぶりは、と思われるかもしれませんが、ケータイで第二部の録画予約をしてBGMにしながら、画面を閉じてイヤホンしながら仕事して待機する、という時間の使い方があるわけで、テレビみたいにどうでもいいものまで思わず顔上げて見てしまうより、実はずっと都合がよいのでした。無事放映されるといいな……(ファンの根性)。

………ということで、こっそり直前宣伝しておきます。


――今週は半ばから連日、海山で子どもたちと合宿なので、体に気を付けて頑張ってきます!

漢字の使い分けを考えるイベント

2016-07-06 23:37:12 | 日記
こんばんは。
早くも7月に入りました。
しろねこは、個人の落ち着いた漢字学習は最早ままならない日々を過ごしています。

そんな状況ではありますが、今回は、『漢字の使い分けときあかし辞典』の著者である円満字さんが登壇なさるイベントをご紹介します。といっても、既にご存知の方も多いかと思いますが、このイベント、実は最初は定員30名だったのが、一旦締め切られてから問い合わせ多数で、現在100名定員の会場に移して応募を受け付けているようです。

『漢字の使い分けときあかし辞典』は3月に初版が発売されましたが、5月には重版がかかったとのことです。ときあかし辞典シリーズは三部作ともそうですが、日本人だけでなく、海外の方が日本語の同訓異字を深くつっこんで考える手助けにもなる、親切な角度から切り込んだ解説の辞典です。

イベントについてですが、
場所:毎日新聞社本社のパレスサイドビル B1「毎日ホール」
日時:7/20(水)、18:30〜20:00
イベントタイトル:「記者報告会・漢字の使い分けを考える」
登壇者:毎日新聞社校閲部の岩佐義樹氏×円満字二郎氏
定員:100名
費用:無料
詳細: こちら
です。
関東圏の皆様はお近くなので、是非お出掛けになってみてはいかがでしょうか。
応募受付フォームは、昼間職場のPCで見た限り、まだ有効でした(ガラケーだと表示されないので、現在リアルタイムでは分かりませんが)。

では、今夜はこれにて。