ここ数週間の金融市場のニュースではロビンフッド、ゲームストップ、レディットという言葉ばかりが出て来て、なじみのない方にはなんのことだかサッパリわからない状況が続いた。
ロビンフッドとはオンライン証券会社の名前だ。見事なネーミングだと思う。金持ちから富を奪い貧困層に分け与えたという英国の伝説の英雄ロビンフッドにちなんだ名前である。現代のロビンフッドは個人のしかも投資経験がゼロあるいは少ししかないような人たちを顧客に取り込み「取引手数料無料!」を売り物に成長した証券会社だ。創立から10年ほどしか経っていないが、今や大企業である。ロビンフッドの主要な顧客層は富裕層などではないし、金融経験も多くは持たず、圧倒的市場支配力を持つ大手金融機関やヘッジファンドを毛嫌いし、最近では対抗心を燃やしたりした。
ロビンフッドに口座を持つような無数の弱小個人投資家が、掲示板型ウェブサイトのレディット等を通じてあたかもひとつの集団となって大手ヘッジファンドに戦いを挑む事態となった。大手ヘッジファンドが売り込んでいたゲームストップ社(ゲームソフト機器やゲームソフトを売る企業)の株式を買い上げたため、その株価はご覧のような展開を示した。20ドルほどだった同社の株価が2~3週間で480ドルにもなった。その後この株価は急落して元の木阿弥だが、その途中でこの個人投資家たちは大手ヘッジファンドとの勝負に勝ってしまい、ヘッジファンド側は多大な損害を出すに至った。
【Source: Yahoo!Finance】
クライマックスは1月最後の3日間と2/1だ。朝買って夕方売ったら大金持ちなんてこともあったろうね。あるいはその逆の悲惨な例も無数にあったはずだ。
この一連の騒動は、金融市場全体を大きく揺るがす要因にもなり問題も含んでいたので、新任イエレン財務長官(元FRB議長)は市場を監督する立場の方々と急遽集まって会議した。人気のロビンフッド社も、この先何かあるかもしれない。因みに同社のウェブサイトはこんなのだ。
【Source: 同社のウェブサイト】
私も口座が開けるのか?と見てみたら、米国外からは受付不可とのことだった(赤い線のところ↓)。残念(笑)。
【Source: 同社のウェブサイト】
1.若い創業者が立ち上げたロビンフッドなんて変わった名前のオンライン証券が「手数料無料!」を売り物に、投資経験があまりない無数の個人を顧客として取り込んだこと。
2.無数の個人投資家がオンライン掲示板で情報交換し皆でゲームソフト販売会社の株式を買い上げて、その株式を売り込んでいた巨大ヘッジファンドに多大な損害を被らせるに至ったこと。
それってひとつの時代を感じさせる。ちょっと前なら考えにくいことだ。しかしそれで相当な損を出すことになった個人投資家も大量に出ていて、中には自殺者もいるというから最終的結果は、大衆 vs. ヘッジファンドの引き分けみたいなものだが。最初のグラフに見る動きは、数日間のトータルで見れば「行って帰って結局は戻りました」というものに過ぎない。
そういえばソニー。連結決算の純利益が1兆円超えだ。
【Source: 時事通信】
ラジオ、テレビ、オーディオ製品なんてものがソニーの主力商品だったのは大昔。今はゲーム機やコンテンツが主力商品。それが当たった。コロナ禍でゲームへの巣ごもり需要は凄まじいようだ。あの「鬼滅」も絶好調。私はゲームはしないしアニメにも関心がないので、さっぱりついて行けない話題である。
これもまた時代ですね。カネのないところにカネはないのに、新たな分野で集まるところにはめちゃ集まる。7~8年前、モノづくりから後退しコンテンツにより注力するソニーを見て「大丈夫か?」と思った人も多いはず。でもそれは結果的に今回の良い数字を招いている。
世の中って何が幸いし何が不運を招くかって事前にはなかなかわからないね。コロナ禍が文字通り禍する分野もあれば、逆な分野もあるのだ。
一昨日発表された1月の米国の雇用統計(非農業部門の被雇用者数の前月比)は、事前の予想を大きく下回る4.9万人の増加となった。悪い数字で、エコノミストたちは失望気味だ。労働市場の回復は鈍いのである。特に接客を伴うサービス業などはとても困難な状況が続く。
【Source: 米国労働省】
それにもかかわらず、今年に入ってからの米国株式市場は大きく崩れることなく、ふわふわと上昇し直近も史上最高値圏を漂っている。
一昨日のS&P500指数は、朝いちの雇用統計発表後もまだ上昇して、日中に史上最高値を記録して越週した。
【Source: S&P】
なんともふわふわした感じだ。
長期金利は上昇した。今のところ、それが株式市場を冷やしているようには見えない。短期金利はFRBにより政策的にゼロ%近辺に抑えられているが、長期債の利回りが株式同様に景気回復を当て込んで上昇してきた。また週半ばには1.9兆ドルものコロナ対応の予算が組まれることが決定したので、国債増発も必至なため国債市場への圧迫が懸念される。1.9兆ドルと言えば米国のGDPの10%ほどでかなり大きい。これもまた長期債利回りの上昇要因だ。
昨年8月以降は長期金利がぐんぐん上昇し(黄の線から緑の線へ変化)、現在長短金利差は大きくプラスだ。
【Source: FRB】
わずか1年半前(2019年8月末)には長短金利差がマイナスになる局面まであった(グレーの線)のがウソみたいだ。長短金利水準がひっくり返ったような状況はいつもあまり長くは続かない。何が原因になるかは事前に予測することが難しいが、いつも何かが起こって金利環境を大きく変え、長短金利は「長期>短期」のノーマルな状態に戻ることになるのが普通だ。今回もそうだったわけで、今回の場合はコロナ禍がそのきっかけを作った。
ドル安・円高一辺倒だった昨年とは異なり、今年に入ってドル高が続いている。長く続いたドル安・円高のダウントレンドを上に破ってしまったところだ。
【Source: Yahoo!Finance】
斯様に米国金融市場は米国経済の将来の回復を当て込んで、なんともふわふわした安定感が米国市場にはあるのでした。
次に新たな懸念材料が出て来るとしたら、それは何だろう? 株式でも為替でも金利でもそれが転換点を迎える時は、後付けでこじつけみたいな理由であっても何でも、とにかく何らかの経済的変化が必要だ。米国の財政拡張がどうしようもならないレベルまで行きそうと皆がある時点で思い始め、長期金利が急上昇するとか? その時はドル高になるのか? いや、その時はドル高にはならないような気がする。では逆に同じことが原因で米国株式市場が急落し(海外も併せて急落し)、米ドルは売られるのか? それも確信はないなぁ。さっぱり見えて来ないなぁ。でもきっと何かいきなり新たな懸念材料が出て来るのでしょうねぇ。それまでは静観。結局私にはさっぱりわからない。
ドガティ君との広町の森の中の長距離ウォーキングで疲れたので、もう考えられない・・・。今晩このままこれをアップロードしよう。
ロビンフッドとはオンライン証券会社の名前だ。見事なネーミングだと思う。金持ちから富を奪い貧困層に分け与えたという英国の伝説の英雄ロビンフッドにちなんだ名前である。現代のロビンフッドは個人のしかも投資経験がゼロあるいは少ししかないような人たちを顧客に取り込み「取引手数料無料!」を売り物に成長した証券会社だ。創立から10年ほどしか経っていないが、今や大企業である。ロビンフッドの主要な顧客層は富裕層などではないし、金融経験も多くは持たず、圧倒的市場支配力を持つ大手金融機関やヘッジファンドを毛嫌いし、最近では対抗心を燃やしたりした。
ロビンフッドに口座を持つような無数の弱小個人投資家が、掲示板型ウェブサイトのレディット等を通じてあたかもひとつの集団となって大手ヘッジファンドに戦いを挑む事態となった。大手ヘッジファンドが売り込んでいたゲームストップ社(ゲームソフト機器やゲームソフトを売る企業)の株式を買い上げたため、その株価はご覧のような展開を示した。20ドルほどだった同社の株価が2~3週間で480ドルにもなった。その後この株価は急落して元の木阿弥だが、その途中でこの個人投資家たちは大手ヘッジファンドとの勝負に勝ってしまい、ヘッジファンド側は多大な損害を出すに至った。
【Source: Yahoo!Finance】
クライマックスは1月最後の3日間と2/1だ。朝買って夕方売ったら大金持ちなんてこともあったろうね。あるいはその逆の悲惨な例も無数にあったはずだ。
この一連の騒動は、金融市場全体を大きく揺るがす要因にもなり問題も含んでいたので、新任イエレン財務長官(元FRB議長)は市場を監督する立場の方々と急遽集まって会議した。人気のロビンフッド社も、この先何かあるかもしれない。因みに同社のウェブサイトはこんなのだ。
【Source: 同社のウェブサイト】
私も口座が開けるのか?と見てみたら、米国外からは受付不可とのことだった(赤い線のところ↓)。残念(笑)。
【Source: 同社のウェブサイト】
1.若い創業者が立ち上げたロビンフッドなんて変わった名前のオンライン証券が「手数料無料!」を売り物に、投資経験があまりない無数の個人を顧客として取り込んだこと。
2.無数の個人投資家がオンライン掲示板で情報交換し皆でゲームソフト販売会社の株式を買い上げて、その株式を売り込んでいた巨大ヘッジファンドに多大な損害を被らせるに至ったこと。
それってひとつの時代を感じさせる。ちょっと前なら考えにくいことだ。しかしそれで相当な損を出すことになった個人投資家も大量に出ていて、中には自殺者もいるというから最終的結果は、大衆 vs. ヘッジファンドの引き分けみたいなものだが。最初のグラフに見る動きは、数日間のトータルで見れば「行って帰って結局は戻りました」というものに過ぎない。
そういえばソニー。連結決算の純利益が1兆円超えだ。
【Source: 時事通信】
ラジオ、テレビ、オーディオ製品なんてものがソニーの主力商品だったのは大昔。今はゲーム機やコンテンツが主力商品。それが当たった。コロナ禍でゲームへの巣ごもり需要は凄まじいようだ。あの「鬼滅」も絶好調。私はゲームはしないしアニメにも関心がないので、さっぱりついて行けない話題である。
これもまた時代ですね。カネのないところにカネはないのに、新たな分野で集まるところにはめちゃ集まる。7~8年前、モノづくりから後退しコンテンツにより注力するソニーを見て「大丈夫か?」と思った人も多いはず。でもそれは結果的に今回の良い数字を招いている。
世の中って何が幸いし何が不運を招くかって事前にはなかなかわからないね。コロナ禍が文字通り禍する分野もあれば、逆な分野もあるのだ。
一昨日発表された1月の米国の雇用統計(非農業部門の被雇用者数の前月比)は、事前の予想を大きく下回る4.9万人の増加となった。悪い数字で、エコノミストたちは失望気味だ。労働市場の回復は鈍いのである。特に接客を伴うサービス業などはとても困難な状況が続く。
【Source: 米国労働省】
それにもかかわらず、今年に入ってからの米国株式市場は大きく崩れることなく、ふわふわと上昇し直近も史上最高値圏を漂っている。
一昨日のS&P500指数は、朝いちの雇用統計発表後もまだ上昇して、日中に史上最高値を記録して越週した。
【Source: S&P】
なんともふわふわした感じだ。
長期金利は上昇した。今のところ、それが株式市場を冷やしているようには見えない。短期金利はFRBにより政策的にゼロ%近辺に抑えられているが、長期債の利回りが株式同様に景気回復を当て込んで上昇してきた。また週半ばには1.9兆ドルものコロナ対応の予算が組まれることが決定したので、国債増発も必至なため国債市場への圧迫が懸念される。1.9兆ドルと言えば米国のGDPの10%ほどでかなり大きい。これもまた長期債利回りの上昇要因だ。
昨年8月以降は長期金利がぐんぐん上昇し(黄の線から緑の線へ変化)、現在長短金利差は大きくプラスだ。
【Source: FRB】
わずか1年半前(2019年8月末)には長短金利差がマイナスになる局面まであった(グレーの線)のがウソみたいだ。長短金利水準がひっくり返ったような状況はいつもあまり長くは続かない。何が原因になるかは事前に予測することが難しいが、いつも何かが起こって金利環境を大きく変え、長短金利は「長期>短期」のノーマルな状態に戻ることになるのが普通だ。今回もそうだったわけで、今回の場合はコロナ禍がそのきっかけを作った。
ドル安・円高一辺倒だった昨年とは異なり、今年に入ってドル高が続いている。長く続いたドル安・円高のダウントレンドを上に破ってしまったところだ。
【Source: Yahoo!Finance】
斯様に米国金融市場は米国経済の将来の回復を当て込んで、なんともふわふわした安定感が米国市場にはあるのでした。
次に新たな懸念材料が出て来るとしたら、それは何だろう? 株式でも為替でも金利でもそれが転換点を迎える時は、後付けでこじつけみたいな理由であっても何でも、とにかく何らかの経済的変化が必要だ。米国の財政拡張がどうしようもならないレベルまで行きそうと皆がある時点で思い始め、長期金利が急上昇するとか? その時はドル高になるのか? いや、その時はドル高にはならないような気がする。では逆に同じことが原因で米国株式市場が急落し(海外も併せて急落し)、米ドルは売られるのか? それも確信はないなぁ。さっぱり見えて来ないなぁ。でもきっと何かいきなり新たな懸念材料が出て来るのでしょうねぇ。それまでは静観。結局私にはさっぱりわからない。
ドガティ君との広町の森の中の長距離ウォーキングで疲れたので、もう考えられない・・・。今晩このままこれをアップロードしよう。
機関投資家だって外国株については為替ヘッジなし、
外国債券については為替ヘッジありが基本ですね。
株式はボラが高いので、為替はあまり気になさら
なくていいのかと思います。
数か月の単位で話をするなら、ここ1年ちょっと
の大きなドル安ダウントレンドの均衡をドル高
方向に破ったのが直近の動き。特段抵抗線は
なく、だとすると、102円と112円というここ
1年のドル安値、高値の半分107円くらいまでは
ドル高があってもおかしくない!とチャーチスト
ならいうのでしょうが、ウォール街のランダム
ウォーカーなら、そんなの当たらないと言うで
しょうねえ(笑)
エコノミストもファンダメンタルズのストラテジスト
も、短期のトレーダーも、みなそれぞれ。。。
なんでもご存じなことはなく、なにもわからないの
で悩んでおります。ロビンフッドはよく存じて
おりますが。オリジナルの伝説も、最近の
オンライン証券も(笑)
顧客である個人投資家からは単純な株式の売買
に関して手数料を取りませんが、売買の情報は
その売買を取り継ぐ株式仲介業者に先に流れ、
その仲介業者はその顧客の注文執行よりも先にその
情報をもとに株式を自己勘定で売買することが出来る
システムになっていて、結局個人顧客は、
あとから不利になることが多い価格
で売買させられることになりますから、
トータルで見ると、あまりお得ではないと思われます。
ウォール街のランダムウォーカーって昔の読みましたよ。基本的に世の中で僅かしかいない天才以外は、インデックス未満のパフォーマンスしか達成出来ないのに、ファンダメンタルズやテクニカルの専門家がやたらいるって話でしたね。まあ、実際そうですね。儲けてると豪語する人も、やがて倒れて退場してます。
ランダムウォーカーはおっしゃる通りの内容
でしたね。短期的なディーラーも長期的な
ファンドマネジャーもそしてエコノミストですら
誰も長期的に当て続ける人など、まずいないと
いうことだったかと思います。だったら最初から
インデックスを買えばよいということになる。
過去の歴史がそうなのだから、そのデータに
「違う!」と抵抗しても仕方ない(笑)。
伝説のファンドマネジャー、ピーター・リンチ
なんて人もいますが、それはもう天才的な
人ですからねえ。
しかし、長期金利は上昇した。… あたりからは、
やはりギブアップです。
ソニーは、何年か前には赤字になった記憶が
ありますが、見事に返り咲いたのですね。
経済とは、面白くもあり恐ろしくもありですね。
テーラー渡辺さん情報、有難うございます。
服地の豊富さに驚きました。
こんばんは。
テーラー渡辺さんは6-7年前に行ったきり。
でもとても良いテーラーさんでした。
https://blog.goo.ne.jp/kama_8/e/8b71e95d62f7fea0300b50a8205c6f1f
とても印象が強いお店です。
米国の長期金利まで読んでいただいてありがとう
ございます。昨年8月以来ずっと上昇しています。
経済現象はいつもそうですが、それはいいことでも
あり、悪いことでもあります。
常にいいことばかりでもあればいいのですが。