「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

鎌倉市役所と犬

2008-05-17 12:59:01 | ペット

鎌倉市役所は、市内のほとんどの公園において、飼い主が犬を連れて入ることを禁止している。看板のとおりである。どんな種類の行為であれ公園での迷惑行為を禁止することを、市民は自治体や警察に要請するであろう。しかし迷惑な犬の散歩以外にも、世の中には様々な迷惑行為があるはずだ。一方周囲に迷惑をかけずに犬の散歩をする良識ある飼い主も多くいることであろう。ところがこの看板では、犬だけを特別に取り上げ一律禁止としている。これは正しいのだろうか。

隣接して家が建て込む小さな公園で、ギャーギャー騒ぎボールを投げて周囲の家や公共施設にぶち当てる子供がいる横で、リードにつながれた犬が静かに飼い主とたたずみ、飼い主は糞の始末をきちんとしていると仮定する。さて一般的にどちらが迷惑行為とみなされるだろうか。答えは明らかである。ボール投げは明らかに迷惑行為であり、犬の散歩は迷惑行為でない。然るにこの看板は「ボール投げは止めましょう」とは書いてはいないが、わざわざ「犬をつれてくるのはやめましょう」と書いてある。したがって実際に公園ではボール投げがしばしば見られるのである。この看板は良識ある飼い主への差別にも見える。

私は市役所宛てにメールを出した。ポイントはおおよそ以下の通りである:
①良識ある飼い主による公園での犬の散歩は迷惑行為ではない。ゴルフの練習でクラブを振りまわすとか、子供がボールを投げるとか、大音量で音楽を流して太極拳をすることの方がよほど危険あるいは迷惑であるのに、犬の散歩だけを特別に取り出してそれを一律禁止とするのは不公平である。犬の迷惑な散歩はその他の迷惑行為同様に「あぶないことやほかの人のめいわくになることはやめましょう」という第3項目に含めてしまい、看板からは「犬禁止」の項目を削除すべきで、良識ある飼い主が公園に犬を連れて来るのを許すべきである。
②百歩譲って犬の散歩が迷惑であり看板に「犬禁止」と謳うなら、その他の迷惑行為も看板に個別に項目として掲げるべきである。「ボール投げはやめましょう」「大声を出し騒ぐのはやめましょう」「花火は止めましょう」「ゴルフの練習はやめましょう」・・・。そんな看板を市民が望むとは思えないが。
③たちの悪い飼い主がいることは認めるが、一律に「公園に犬を連れてくるな」とは、とても先進国の自治体が立てた看板とは思えない。欧米の多くの国からは「野蛮な自治体行政」と笑われる措置なのではないか。世界遺産登録を目指す鎌倉市なら、もう少しなんとかしてはどうか。

しばらくすると鎌倉市役所から回答が来た。市役所に対しこうした質問をした場合にどういう答えが返って来るかは、事前におおよそ予測出来た。初めてではないからだ。やはり今回も私のメールにまともに答えてはもらえなかった。彼らの回答手法は以前も今回もこんな感じである:
①答えにくい問いは、無視する。答えないで済ませる。
②問いに対する本当の回答にはなっていないのだが、話題的になんらかの関連がある実施済み施策を並べたてて「あれやってます、これやってます、相当努力してるんですよ」と長々とアピールする(努力だと言ったって出所は皆税金だ)。
③「というわけで市役所も大変でして、その辺りを含め今後とも市政にご理解を」とかいうわけわからんことを言って締めくくる。
表面的には丁寧、低姿勢に見えるのだが、内容的に薄っぺらく、まったく市民をバカにした回答手法である。

今回の回答の内容はおおよそ次の通りだった:
①日本の飼い主のマナーが先進的な国のそれに比べ未成熟であると言われており、トラブルもあるため公園に犬を入れることを禁止せざるを得ない。
②市では、由比ガ浜や稲村ガ崎等何箇所かに犬の入れる公園を用意している。
③犬のしつけ教室を用意して、(未成熟な?)飼い主がしつけを学べるようにしている。

①は間違いである。例えば俗に「警察犬訓練」で知られるドイツの家庭犬の実態、あるいは糞処理等その他欧米先進国自治体の犬に関する諸施策を、鎌倉市役所のこの回答者は調べたことがあるのだろうか。文面から判断する限り、調べたことはないのだろう。調べずに「日本の飼い主のマナーは先進的な国のそれに比べ未成熟」と書くのは問題である。鎌倉市民をバカにした判断である。「日本の公務員の調査・思考能力は先進的な国のそれに比べ未成熟」の間違いではないか。②はまったく役に立たない。犬の散歩のための公園など、歩いてサッと行けるところになければ役に立たないのである。犬の散歩のために毎日朝夕、クルマを動かして犬をそこへ連れて行けと言うのだろうか。腰越の住民は犬を公園で散歩させるのに、家の前の公園ではなく、稲村ガ崎の公園まで連れて行けと言うのだろうか。この回答は意味を成していないのだ。③は税金の無駄使いになりかねない。私の意見としては、こんなことに税金を使って欲しくない。犬のしつけで困っている飼い主が、市のしつけ教室に一度通ったからと言って、問題はあまり解決しないだろう。本当に困っているなら、飼い主が自費で長期間にわたり継続的に専門家からトレーニングを受けなければ、あまり意味は無い。何事もそうだが、まったくないよりはましだが。

結局鎌倉市役所は最初の私の質問の①と②に答えていないのである。そして回答のメールに余計なことだけ延々と並べたてているのである。ニュースで報じられていたが、世界遺産登録に関して文化庁に提出した申請文書でも、こうして延々と偽造を記載し続けたのだろう。

民間企業の従業員が顧客の問いに対してこうした回答書を送付していては、「仕事をしている」とはみなされない。そんな企業は顧客から見放され倒産する。しかし顧客たる市民の真剣な問いには答えず、長々と的外れな内容の薄い回答を返して「対応済み」とする鎌倉市役所は倒産することはない。いくらでも税金を食べれば職員は生きて行ける。安寧な仕事振りが羨ましい。

この看板に鎌倉市役所の電話番号(0467-)23-3000が書いてある。良識ある犬の飼い主を差別するこの表現をおかしいと思い、問い合わせた市民、あるいは犬の飼い主はいるのだろうか?
コメント (11)
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