4月24日に行われた、安倍首相とオバマ米大統領の共同記者会見で、尖閣諸島に関してのオバマ大統領の発言の日本語訳が問題となっています。
同月25日付の「読売」は、この部分について、次のように報道していました。
「大統領 日本の施政下にある領土はすべて安保条約の適用範囲に含まれる。 同時に事態がエスカレートし続けるのは正しくない。 日本と中国は信頼醸成措置を取るべきだ」
また、日本共産党の志位和夫委員長の4月24日(「しんぶん赤旗」報道は25日)の記者会見でも、この訳語がそのまま引用されています。(「エスカレートし続けるのは正しくない」) 25日付の「神奈川新聞」も同様の訳語で報道しています。
「朝日」は「事態がエスカレートするのを見過ごすのは間違いだ」と報じていました。
この「誤訳」問題では、沖縄の「琉球新報」が4月27日付朝刊3面で、次のように報道しています。
「共同記者会見では日本政府が通訳機を用意し、日本メディアは同時通訳を通してオバマ氏の発言を確認。同時通訳が「重大な誤り」を指す「profound mistake」を「正しくない」と訳したことを受け、本紙が記事配信を受ける共同通信などを含む多くの報道機関が、そのまま発言内容を報じた」
インターネットでこの問題を検索してみますと、「日米共同記者会見の同時通訳」(NHK 2014/4/24)が紹介されていました。
それによると、次のように訳されています。
「・・・安倍総理に申し上げましたが、この問題について事態をエスカレートし続けるのは正しくないということです。 日本と中国は信頼醸成措置をとるべきでしょう」
「profounnd」(形容詞)について、インターネットで検索してみますと、「音声」も聞くことができますが、さまざまな使われ方をしていることが分かります。 その中で、こうした、政治的発言にふさわしい訳語は、「(変化・影響など)重大な、深い、甚大な」が適当ではないかと思います。
「しんぶん赤旗」日曜版(5月4日号)は、「(オバマ大統領)私が首相に直接言ったのは、日中間で対話や信頼醸成措置ではなくエスカレーション(緊張の段階的拡大)を続けるのは 奥深い 誤りだということだ」と訳されています。
今日の「しんぶん赤旗」の記者座談会「オバマ・アジア歴訪をどうみるか」(敬称略)では、「B オバマは日中双方に対話による平和的解決を求め、『事態をエスカレートさせるのは重大な誤り(プロファウンド・ミステ―ク)だ』と強い口調で答えている」と報じています。
同座談会では、「A アメリカは軍事的覇権に固執しつつ、外交交渉による問題解決に一定の比重を置いているという日本共産党の分析を裏付けたといえる」と評価しています。
連休明けから、尖閣諸島などをめぐる「緊迫」を利用した安倍政権による解釈改憲による集団的自衛権の行使容認の動きが激しくなろうとしています。 国内の動きと同時に、アメリカや周辺諸国の動向を正確に把握することが重要になっています。 それを保障するのが、対話と外交ではないでしょうか。
志位和夫委員長は、昨日の中央メーデーで「日本の理性と良識を総結集し、安倍政権の改憲策動を打ち破ろう」とよびかけました。