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宮応かつゆきの日本改革ブログ

●日本共産党
総選挙で市民と野党の共闘で政権交代を、共産党の躍進をめざします。

アメリカの若者と「社会主義」、「NY 響く革命歌」ー「毎日」紙 (14)

2019年12月01日 | 綱領関連

 12月1日「毎日」紙は、1面トップで、「NY 響く革命歌」「社会主義 若者に浸透」の見出しで「ポスト『冷戦時代』のかたち」を報道しました。 また、11月24日付の「読売」紙は、「中国の現在の統治スタイルを『デジタル・レーニン主義』と名づけ、注目を浴びている」セバスチャン・ハイルマン独トり―ア大教授の「今後の中国と世界の関わり方についてのインタビー記事を掲載しました。 「朝日」紙は、同日付で「崩壊後30年 マルクス未完の問い」のタイトルで、大野 博人編集員の記事を掲載しています。

 資本主義社会の矛盾、行き詰まりが様々なかたちでに人々のくらしや、温暖化問題など地球的規模で現実的な問題となって現れてきているなかで、未来社会・社会主義に関心があつまりつつある反映といえるのではないでしょうか。

 「毎日」紙の報道を見て見たいと思います。 記事の冒頭は、<「アライズ ヤ プリズナー オブ スタベーション(立て飢えたる者よ)・・・>。 木枯らし吹く11月10日の米ニューヨーク・マンハッタン。 雑居ビルの一室で2日間にわたって開かれた集会が終わりを迎えると、約90人の若者らが立ち上がって拳を振り、歌い始めた。 革命歌『インターナショナル』」

 「30年前、米国は資本主義を掲げる西側陣営を率い、東西冷戦を終わらせた。 だが、その米国の経済の中心地で、社会主義の象徴である歌が高らかに響いていた」

 「ソ連崩壊以降に生まれた世代の抵抗感は薄れている。 彼らは反対派の粛清や飢餓で多数の死者を出したスターリン独裁体制(1920年代~53年)も直接は知らない。 オ―ス・メルチャさん(22)は教員になるために大学で学ぶが、週末は働いて、母と暮らす自宅の家賃を払っている」

 「スターリン時代の社会主義は多数の犠牲者を出したのではないか。 そう尋ねると『関節の病気を患った時、私は保険に加入できていた。 保険がなければ月80㌦を自腹で払わなければならなかった。 でも私は幸運だ。 保険代も払えず死ぬ人がいる。 いまは資本主義の下で多くの人が死んでいる』と話した」

 「米ギャラップ社の調査(18年)によると、『社会主義に好意的』と答えた人は18~29歳の若者で51%に上り、資本主義の45%を上回る」

 「『若い有権者はなぜ民主的社会主義を選ぶのか』(ニューヨーク・タイムズ)」。 「『いつの間にみんな社会主義者になったのか』」(ニューヨーク・マガジン)」 今の米メディアで『社会主義』の見出しが躍るのは珍しいことではない」

 「米国で社会主義に傾倒する若者の多くが加入するのが、全米最大の社会主義政治団体『米国の民主的社会主義者(DSA)だ。 来年の大統領選に向け、公立大学の学費無料化や公的国民皆保険を訴え、民主党候補選びに名乗りを上げているバーニー・サンダース上院議員を支持。 その会員は、前回大統領選の2016年秋の約5000人から約6万人にまで膨らんでいる」

 「米国の経済格差は深刻だ。 米連邦準備制度理事会の統計(18年)によると、家計資産合計の7割を上位10%の富裕層が独占する。 米経済学者のパブリナ・チャ―ネバ氏の試算では、1982年以降、景気拡大期でも下位90%の世帯の所得は上位10%ほどは伸びず、09年からは景気が戻っても下位90%の所得は減少した」

 「30年あまりの間に、豊かであればあるほど、さらに多くの富を手にできるようになった」「若い世代の将来への失望感は切実だ」

 「『格差是正のための富の再配分について言えば社会主義は復権されるべきだ』(米国の政治学者、フランシス・フクヤマ氏「英誌 ニュー・ステーツマンのインタビー(18年10月))

 そして、同紙、隈 俊之ニューヨーク支局長は、「資本主義の仕組みにどう『民主主義』を取り戻すか。 それが私たちに問われている」と記事を「まとめ」ています。

 

 

 


「自由で独立した国家」は、「すべての行為を実施する完全な権限を有する」 (13)

2019年11月22日 | 綱領関連

 「アメリカ独立宣言」の「結語」は、次の文章で締めくくられています。

 「われわれアメリカ連合諸邦の代表は、大陸会議に参集し、われわれの意図が公正であることを、世界の最高の審判者に対して訴え、これらの植民地の善良な人民の名において、そしてその権威において、以下のことを厳粛に公表し宣言する」

 「すなわち、- これらの連合した植民地は自由な独立した国家であり、そうあるべき当然の権利を有する。 これらの植民地は英国王に対するあらゆる忠誠の義務から完全に解放され、これらの植民地と英国との政治的な関係はすべて解消され、また解消されるべきである」

 「そして自由で独立した国家として、戦争を始め、講和を締結し、同盟を結び、通商を確立し、その他独立国家が当然の権利として実施できるすべての行為を実施する完全な権限を有する」

 1776年の「アメリカ独立宣言」が、人類の自由と人権を発展させる不滅の力、役割を果たしたことに、あらためて感動させられます。

  そして、この自由で独立した国家、平和で民主的な国家をつくる道は平坦ではありませんでした。 世界の人々は、想像を超える戦争の残酷さを経験し、経済を巨大に発展させ、また経済危機を乗り越え、一時的には後退し、紆余曲折を経ながら、人間の理性と英知を結集し、新たな人類の歴史を切り開きつつ21世紀を迎えています。

 日本共産党の「綱領一部改定案」は、「世界情勢論」を大きく発展させました。 そして、綱領の「第5章ー社会主義・共産主義の社会をめざして」の改定も行なうことにしています。

 新たに、整理し、書き加えられた部分を紹介させていただきます。

 「これまでの世界では、資本主義時代の高度な経済的・社会的な達成を踏まえて、社会主義的変革に本格的に取り組んだ経験はなかった。 発達した資本主義の国での社会主義・共産主義への前進をめざす取り組みは、二一世紀の新しい世界史的な課題である」

 「発達した資本主義国での社会主義的変革は、特別の困難性をもつとともに、豊かで壮大な可能性をもった事業である。 この変革は、生産手段の社会化を土台に、資本主義のもとでつくりだされた高度な生産力、経済を社会的に規制・管理するしくみ、国民の生活と権利を守るルール、自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験、人間の豊かな個性などの成果を、継承し発展させることによって、実現される」

 「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である。 日本共産党が果たすべき役割は、世界史的にもきわめて大きい」

 日本共産党の未来社会論ー社会主義・共産主義の社会は、アメリカの建国の歴史をはじめー「自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験」などを全面的に生かしてこそ実現されるものと考えています。

 


「宣言」はイギリスの絶対専制の植民地支配の実態を全世界に告発、たたかいへ (12)

2019年11月21日 | 綱領関連

 「独立宣言」は、「前文」の最後の部分で、次のように記述しています。(「国務省出版物ーアメリカンセンター」より引用、以下、同じ)

 「現在の英国王の治世の歴史は、度重なる不正と権利侵害の歴史であり、そのすべてがこれらの諸邦に対する絶対専制の確立を目的としている。 このことを例証するために、以下の事実をあえて公正に判断する世界の人々に向けて提示することとする」

 そして、28カ条にわたって、例証が書き連ねられています。 紹介します。(「数字」は、みやすくするために、引用者が付けました)

 1、国王は、公共の利益にとって最も有益かつ必要である法律の承認を拒否してきた。

 2、国王は、国王自らの承認が得られるまで執行を保留するとうたわれていない法律の場合は、緊急かつ切迫した重要性を持つ法律であってたとしても、植民地の総督に対し、そのような法律を通過させることを禁止した。 また、保留条項のある法律については、まったく注意を払わず、放置した。

 3、国王は、人民の英国議会における代表権を放棄しなければ、広大な地域の人民のためとなるその他の法律を通過させることを拒否すると威嚇した。 こうした権利は、人民にとって計り知れないほど貴重なものであり、それを恐れるのは専制君主のみである。

 4、国王は、立法府を疲弊させ、国王の政策に忍従させることを唯一の目的として、定例の会議とは違う不便な場所、また議会の公文書の保管所から離れた場所で議会を召集した。

 5、国王は、植民地の代議院が国王による人民の権利侵害に対し、果敢に断固として反対したという理由で、各代議院を何度も解散させた。

 6、国王は、そのような解散を行なった後、新たに各代議院を選出することを長期わたって拒否してきた。 それにより、消滅させることのできない立法権の行使は、人民全体に戻されるところとなり、その他、諸邦は外からの侵略および動乱のあらゆる危険にさらされた。

 7、国王は、諸邦への人口増加を防止しようと努めた。 その目的のために外国人帰化法を妨げ、この地への移住を奨励するその他の法律の通過を拒み、新たな土地取得の条件を厳しくした。

 8、国王は、司法権を確立する承認することを拒むことによって、司法の執行を妨げてきた。

 9、国王は、判事の任期およびその給与の額と支払方法を、国王の一存で左右できるようにした。

 10、国王は、あびただしい数の官職を新たに設け、この植民地の住民を困らせ、その財産を消耗させるために、多数の役人を派遣してきた。

 11、国王は、われわれの立法府の同意をえることなく、平時においてもこの地に常備軍を駐留させている。

 12、国王は、軍隊を文民統制から独立させ、かつそれよりも優位にたたせるような措置をとってきた。

 13、国王は、他者と共謀し、われわれの政体とは相容れない、またわれわれの法律によって認められていない司法権にわれわれを従わせようとしてきた。 そして、見せかけの立法行為による以下のような法律を承認してきたーー

 14、われわれの間に大規模な軍隊を宿営させる法律

 15、その軍隊が諸邦の住民に対して、殺人を犯すようなことがあった場合でも、見せかけばかりの裁判によって彼らを処罰から免れさせる法律

 16、われわれの世界各地との貿易を遮断する法律

 17、われわれの同意なしにわれわれに課税をする法律

 18、多くの裁判において、陪審による裁判の恩恵を奪う法律

 19、われわれを偽りの罪で裁くために海を超えて移送する法律

 20、隣接した王領植民地で英国法の自由な制度を廃止し、そこに専制的な政府を樹立し、しかもその境界を拡張することによって、その政府を、われわれの植民地に同様の専制統治を導入するための先例とし、また恰好の手段とする法律

 21、植民地の設立特許状を剥奪し、われわれの最も貴重な法律を廃止し、われわれの政府の形態を根本的に変える法律

 22、植民地の立法機関を一時停止させ、いかなる事項においてもわれわれに代わって英国議会が立法を行なう権限を与えられていると宣言する法律

 23、国王は、われわれを国王による保護の対象外であると宣言し、われわれに対し、戦争を仕掛けることによって、植民地での統治権を放棄した。

 24、国王は、われわれの領海で略奪行為を行い、沿岸地域を蹂躙し、町を焼き払い、人民の命を奪った。

 25、国王は、最も野蛮な時代にもほとんど例を見ない、およそ文明国家の長として全くふさわしくない残忍さと背信行為の数々で、すでに始められている死と荒廃と専制の事業を完遂するために、現に外国人傭兵の大軍を輸送している。

 26、国王は、公海で捕虜となったわれわれの同胞に、祖国に対して武器を取らせ、友人・兄弟に対する処刑人になるよう、あるいは自らの手で自ら命を落とすよう、強要してきた。

 27、国王は、われわれの間に内乱を引き起こそうと扇動し、また、年齢・性別・身分を問わない無差別の破壊を戦いの規則とすることで知られる、情け容赦のない野蛮なインディアンを、辺境地域の住人に対してけしかけようとした。

 28、こうした弾圧のあらゆる段階で、われわれは最も謙虚な言辞で是正を嘆願してきた。 われわれの度重なる嘆願に対しては、度重なる権利侵害で応えたに過ぎない。 このように、専制君主の定義となる得る行為を特徴とする人格を持つ君主は、自由な人民の統治者として不適任である。

 こうした、二百数十年前の「独立宣言」を読み、今の日本を重ね合わせて考えた時、日本の主権を回復し政治を自立させる活動と同時に、対米関係を根本的打開する対話と交渉をまず市民社会のレベルで、そして、政府間のレベルで本格的に進めることが可能ではないかと考えています。

 

 

 


「アメリカ独立宣言」は、建国の大儀を全世界に明らかにした政治綱領 (11)

2019年11月20日 | 綱領関連

 アメリカの1760年代から90年代は、アメリカの独立、建国の歴史的、躍動的な時代であったことを改めて理解することができました。 この世界的にも大きな意義のある歴史をつくった綱領的文書が、「アメリカ独立宣言」だと思います。 それは、当時のアメリカの人びとの英知と独立戦争を含むたたかい、行動が生み出したものでもあると思います。

 この間の主な歴史は、独立戦争が1775年にはじまり、翌76年7月4日に「アメリカ独立宣言」が大陸会議で採択されました。 独立宣言は、「基本的人権と革命権の関する前文」、「国王の暴政と本国(=イギリス)議会・本国人への苦情に関する28カ条の本文」、そして、「独立を宣言する結語」の3部からなっています。(引用「ウイキぺデイア」より)

 さらに、アメリカ合衆国憲法が1787年に制定され、世界最初の共和制国家、三権分立、大統領制などを実現しました。 1791年には、憲法を修正し、権利章典が加えられました。

 1789年に第1回大統領選挙が実施され、ジョーウジ・ワシントン(無所属)が、対立候補がないなかで選出されました。 同92年の選挙もジョージ・ワシントンが対立候補がないなかで再選されました。

 第1回の大統領選挙時は、「投票できたのは米国民のわずか6%にすぎなかった。 建国当初の13州の大半では、投票権があったのは土地を所有する21歳以上の男性だけであった」(「国務省出版物」より」と記録されています。

 「宣言公布当時の日本は、江戸幕府10代将軍徳川家治の治世下にあった。 黒船来航以前で、アメリカ合衆国とはまだ直接の外交や貿易は存在せず、独立宣言が持ち込まれることもなかった。 その後、開国により欧米の文物が流入するなかで、はじめて受容された」(「ウイキペデイア」より) この記述から、幕末時には、「アメリカ独立宣言」が日本に紹介されていたことがうかがえます。

 そこで、日本でもよく知られている、「アメリカ独立宣言」の「前文」及び「結語」部分の検討は、のちに譲り、次回は、「国王の暴政と本国(=イギリス)議会・本国人への苦情」について、考えて見たいと思います。

 

 

 


”アメリカの建国はイギリスの植民地からの独立のたたかいの勝利であった” (10)

2019年11月19日 | 綱領関連

 21世紀を迎えた世界は、「アメリカが、アメリカ一国の利益を世界平和の利益の上に置き、国連をも無視して他国にたいする先制攻撃戦略をもち、それを実行するなど、軍事的覇権主義に固執していることは、重大である。 アメリカは、地球的規模で軍事基地をはりめぐらし、世界のどこにたいしても介入、攻撃する態勢を取り続けている。 そこには、独占資本主義に特有の帝国主義的侵略性が、むきだしの形で表れている」(「綱領一部改定案」第10節より)

 「これらの政策と行動は、諸国民の独立と自由の原則とも、国連憲章の諸原則とも両立できない、あからさまな覇権主義、帝国主義の政策と行動である」(「同上」)

 「いま、アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威となっている」(「同上)

 こうした、アメリカに対する基本的な見方と同時に、次の点の見方も重要だと思います。

 「軍事的覇権主義を本質としつつも、世界の構造変化のもとで、アメリカの行動に、国際問題を外交交渉によって解決するという側面が現れていることは、注目すべきである」(「同上」)

 私は、綱領の一部改定案の「植民地体制の崩壊と百を超える主権国家の誕生という、20世紀に起こった世界の構造変化」(「綱領一部改定案」第9節)と日本の「独立国としての地位」を奪い、「きわめて異常な国家的な対米従属の状態」(「綱領第5節」)に陥れているアメリカの建国の歴史について、考えさせられています。 

 「ウイキぺデイア」の「アメリカ独立戦争」では、「1774年、イギリス議会は植民地に対して次々と懲罰的な立法措置を行なった」「一連のイギリス側の政策に対し、13植民地は対策協議のために大陸会議を開いて本国との和解の道を探ったが、打開できないままであった」

 「この戦争(アメリカ独立戦争)によって、植民地住民はイギリスの支配を拒否しアメリカを政治的独立に導くことに成功した。 1775年、革命派は13植民地政府の全てを掌握すると共に、主に政治と立法を担当する第二次大陸会議と軍事を担当する大陸軍を発足させた。 翌年、アメリカ独立宣言を発して、正式にアメリカ合衆国という国家を形作った」

 アメリカ独立戦争は、1775年から1783年のパリ条約でイギリスがアメリカの独立を認めたことで終結した。

 独立戦争勝利の要因はいくつもあると思います。 厳しい、長期にわたるたたかいに勝利した大きな政治的要因は、やはり、「アメリカ独立宣言」に現れているのではないでしょうか。

 アメリカ13州の結束、「独立」要求の大儀、新しい国家の展望等が明確に示されていると思います。 次回に「アメリカ独立宣言」を考えて見たいと思います。

 


「世界の構造変化」の中で、”きわめて異常な国家的対米従属国家ー日本” (9)

2019年11月18日 | 綱領関連

 綱領の一部改定案は、「三、二一世紀の世界」(改定案)」に「第九節」を全文新設します。 「新第九節」の冒頭部分には次のように叙述されています。

 「植民地体制の崩壊と百を超える主権国家の誕生という、二〇世紀に起こった世界の構造変化は、二一世紀の今日、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめている」

 「一握りの大国が世界政治を思いのまま動かしていた時代は終わり、世界のすべての国ぐにが、対等・平等の資格で、世界政治の主人公になる新しい時代が開かれつつある。 諸政府とともに市民社会が、国際政治の構成員として大きな役割を果たしていることは、新しい特徴である」 

 こうした世界政治の「構造変化」の力が発揮されはじめている情勢の中で、綱領に立ち返って、改めて日本の政治の現状について考えて見たいと思います。

 「綱領第二章、現在の日本社会の特質」「第四節」は、「第二次世界大戦後の日本では、いくつかの大きな変化が起こった」として、三つの基本的特徴点を挙げています。

 第一は、日本が、独立国としての地位を失い、アメリカへの事実上の従属国の立場になったことである。 敗戦後の日本は、反ファッショ連合国を代表するという名目で、アメリカ軍の占領下におかれた。 アメリカは、その占領支配をやがて自分の単独支配に変え、さらに一九五一年に締結されたサンフランシスコ平和条約と日米安保条約では、沖縄の占領支配を継続するとともに、日本全土においても、占領下に各地につくった米軍基地の主要部分を存続させ、アメリカの世界戦略の半永久的な前線基地という役割を日本に押しつけた」

 「日米安保条約は、一九六〇年に改定されたが、それは、日本の従属的な地位を改善するどころか、基地貸与条約という性格をくわえ、有事のさいに米軍と共同して戦う日米共同作戦条項や日米経済協力条項などを新しい柱として盛り込み、日本をアメリカの戦争にまきこむ対米従属的な軍事同盟に改悪・強化したものであった

 「『第五節』~日本とアメリカとの関係は、対等・平等の同盟関係では決してない。 日本の現状は、発達した資本主義国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態にある。 アメリカの対日支配は、明らかに、アメリカの世界戦略とアメリカ独占資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のものである」

 「『第六節』~日本独占資本主義と日本政府は、アメリカの目したの同盟者としての役割を、軍事、外交、経済のあらゆる面で積極的、能動的に果たしつつ、アメリカの世界戦略に日本をより深く結びつける形で、自分自身の海外での活動を拡大しようとしている」

 「対米従属と大企業・財界の横暴な支配を最大の特質とするこの体制は、日本国民の根本的な利益とのあいだに解決できない多くの矛盾をもっている。 その矛盾は、二一世紀を迎えて、ますます重大で深刻なものとなりつつある」

 「世界の構造変化」が「生きた力を発揮しはじめている」世界の大きな流れのなかで、国際連帯を深めながら、「国民大多数の根本的な利益にこたえる独立・民主・平和の日本に道を開く」市民と国民、そして野党が共同したたたかいが各分野で力強く発展しつつあることに励まされています。 


「世界の構造変化を立体的に把握」-”日本のたたかいを確信をもってすすめる土台” (8)

2019年11月17日 | 綱領関連

 志位氏は、綱領の一部改定案の討論の結語のなかで、次のように述べました。

 「討論のなかで、『毎日のニュースを見ると、世界で起こっていることは暗い話ばかりだが、一部改定案を読んで明るい展望が見えた』という発言がありました。 全国の感想でも、同様の声がたくさん寄せられました」

 「たしかに世界は、その時々の断面だけを見ますと、暗い、恐ろしい出来事の連続のようにも見えます。 しかし大きな歴史的スケールで見ますと、さまざまな曲折や逆行を経ながらも、着実な進歩の歩みを刻んでいます」

 「20世紀はまさにそうした世紀でした。 この世紀は時々の断面だけを見れば、戦争と抑圧の連続であり、こんなにも多くの人々が暴力の犠牲になった世紀はなかったと言っても過言ではないでしょう。 しかし、百年という単位で見ますと、この世紀に、人類は巨大な進歩を記録しました。 それは綱領第七節でのべているとおりであります」

 「そして、21世紀も、時々の断面だけを見れば、戦争あり、テロがあり、暗いニュースが連続しているようにも見えます。 しかし、この世紀が始まって、およそ20年近くという単位で見ますと、一部改定案が述べているように、核兵器廃絶、平和の地域協力、国際的な人権保障などの前進の姿がはっきりあらわれてきました」

 「(一部改定案の)根本的立場は、20世紀に進行した人類史の巨大な変化の分析に立って、21世紀の世界の発展的展望をとらえるというところにあります。 この立場は2004年に行った綱領改定の根本的立場でしたが、一部改定案はこの立場を徹底的におしすすめるものとなったと思います」

 「そして、強調したいのは、20世紀においても、21世紀においてもこうした人類史の進歩の原動力となったのは、各国の人民のたたかいだということです。 綱領の世界論は、『人民のたたかいが世界をつくる』という科学的社会主義の立場、史的唯物論の立場に立脚したものであり、これをしっかりつかむことは今日の日本のたたかいを確信をもってすすめるうえで、大きな力になることはまちがいないと考えるものです」

 そこで、「一部改定案」の報告を見てみたいと思います。

 「現綱領では、20世紀に起こった世界的変化を植民地体制の崩壊、国民主権の民主主義の発展、平和の国際秩序の3つの点から特徴づけています。 そのどれもが人類史的意義をもつ偉大な変化ですが、この三つは並列のもではありません。 三つの中でも最大の変化は、植民地体制の崩壊によって、百を超える国々が新たに政治的独立をかちとって主権国家になったことにありました。 これは『世界の構造変化』とも呼ぶべき変化でした」

 そして、一部改定案では、第七節の結びに、「これらの巨大な変化のなかでも、植民地体制の崩壊は最大の変化であり、それは世界の構造を大きく変え、民主主義と人権、平和の国際秩序の発展を促進した」と明記されました。 

 志位氏は、このことを重ねて次のように強調しました。

 「植民地体制の崩壊を『世界の構造を大きく変えた』--『世界の構造変化』と明記し、この変化を軸に三つの変化を立体的に把握できるように、叙述を補強しました」

 

 


「香港での弾圧の即時中止を求める」声明、志位和夫委員長が発表 (7)

2019年11月15日 | 綱領関連

 香港で政府による抗議行動に対する香港警察の弾圧が強まっています。 こうした香港情勢に関して2つの報道に注目しました。 今朝の駅頭宣伝でも紹介し、中国政府への抗議と是正を求める、よびかけをしました。

 一つは、「読売」紙の米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」(USCC)の今年の年次報告書です。(14日公表)

 同報告書は香港について、「表現や集会の自由などを損なう新たな措置が取られ、中国の他の都市と同じようになってきている」「『一国二制度』の下で認められてきた『高度な自治』が脅かされているとの認識を示した」

 「報告書は、中国による香港への武力介入があった場合、関税などの香港に対する優遇措置の適用を一時停止する法律の整備を議会に提言した」

 こうした、米議会やトランプ政権の香港情勢に対する対応が注目されます。

 二つには、志位委員長の「声明」です。 「しんぶん赤旗」15日付は、全文を報道し、「声明文」は在中国大使館を通じて同政府に伝達されたことを伝えました。 以下、要旨を紹介させていただきます。

 「わが党は、デモ参加者が暴力を厳しく自制し、平和的方法で意見を表明することが重要だと考える。 しかし、殺傷性の高い銃器を使用して、抗議活動への弾圧をおこなうことは、絶対に容認できるものではない」

 「一、重大なことは、香港当局の弾圧強化が、中国の最高指導部の承認と指導のもとに行われていることである。 習近平中国共産党総書記・国家主席は4日、林鄭月娥・香港行政長官との会談で、抗議行動への抑圧的措置を続けている香港政府のこの間の対応を『十分評価する』としたうえで、『暴力と混乱を阻止し、秩序を回復することが依然、香港の当面の最も重要な任務である』と強調した」

 「『一刻二制度』の下で中国政府の指導下にある香港に対するこの言明が、何を意味しているかはあまりにも自明である。 実際、中国政府は、香港警察による11日の実弾発砲について、『警察側の強力な反撃にあうのは当然である』と全面的に擁護している(12日、外交部報道官)」

 「一、今日の香港における弾圧の根本的責任は、中国政府とその政権党にあることは、明らかである。 その対応と行動は、民主主義と人権を何よりも尊重すべき社会主義とは全く無縁のもであるといわなければならない。 今日の世界において、人権問題は国際問題であり、中国政府は、人権を擁護する国際的責任を負っている」 

 「日本共産党は、中国指導部が、香港の抗議行動に対する弾圧を即時中止することを強く求める。 『一国二制度』のもと、事態を平和的に解決する責任を果たすことを厳しく要求するものである」

 こうした、中国政府と政権党への正面からの批判、そして、人権を擁護する国際的責任を果たすことを求める世論と運動が強く求められていると感じています。

 


「中国の変化はなぜ起こったか」-綱領改定案に対する志位委員長の答え (6)

2019年11月14日 | 綱領関連

 綱領改定案の「中国問題」に関しての討論で、「中国の変化は、なぜ起こったのか、それはいつごろで、何をきっかけにしたののであったのか」などの質問が寄せられ、志位氏は次のように答えました。 こうした「質問」は私たちの討論のなかでのらも出されています 以下、「結語」から紹介したいと思います。

 「『いつごろ』からかとという質問に対しては、中国の国際政治における動向に問題点があらわれててきたのは、2008年から2009年ごろ、胡錦濤政権の最後の時期から習近平政権が始まる次期だと認識しています。 中国が、国際舞台で、核兵器廃絶を『究極的目標』と棚上げする姿勢を示したのは、2009年のことでした」

 「東シナ海で、尖閣諸島の領海に初めて公船を侵入させる行為をとったのは、2008年のことでした。 南シナ海のほぼ全域について自国の権利を公式に主張するようになったのは、2009年でした」

 「その背景にあるのは、ちょうどこの時期に、中国がGDP(国内総生産)で日本を追い越し、世界第2の『経済大国』になったという問題があると思います。 経済的に力をつけるもとで、中国指導部には、より謙虚で誠実な対応が求められましたが、そうした対応が行われす、『大国主義・覇権主義』の誤りがあらわれてきた、これが背景にあると思います」

 より根本的な問題として、中国がおかれた歴史的条件を指摘しなければなりません。 中国革命は、文字通り遅れた国から始まりました。 とくに、自由と民主主義の諸制度が存在しないもとで、革命戦争という議会的でない道で革命が起こったこと、革命後もソ連式の『一党制』が導入されるとともに、自由と民主主義を発展させる課題が位置づけられなかったことは、中国社会の民主的発展の大きな障害となりました」

 「いま一つより根底にある歴史的条件は、中国社会に大国主義の歴史があるということです。 近代以前、中国は東アジアの超大国として、周辺の諸民族と朝貢関係を結び、従属下においてきた歴史をもっています。 こういう歴史を持つ国として、革命後も、大国主義・覇権主義は、毛沢東時代の『文化大革命』の時期に、日本共産党への乱暴な干渉攻撃をはじめさまざま形であらわれました」

 「そして、そういう歴史を持つ国だけに、大国主義・覇権主義に陥らないようにするためには、指導勢力が強い自制と理性を発揮することが不可欠となります 日中両党関係が正常化された1998年から数年間の時期には、わが党に対する干渉への『真剣な総括と是正』を公式に表明するなど、間違いなくそうした自制と理性が発揮されました。 しかしそれは一時的なもとして終わりました。 その根本的な背景には、中国の置かれた歴史的条件があると考えるものです」

 


香港・中国政府は市民への「抑圧・武力による威嚇をやめよ」、市民の自由・人権を守れ (5)

2019年11月12日 | 綱領関連

 香港で11日、警官が政府への抗議行動の参加者に実弾を発射し、負傷者がでました。 撃たれた瞬間の動画が放映され、男性は重体で病院で手術を受けたことなどが大きく報道されています。 警察の暴力行為に強く抗議します。 

 日本共産党は、現在の中国を「社会主義をめざす新しい探究が開始された国」の一つとして、期待をもって動向に注目してきましたが、今回の8中総で、こうした判断をする根拠がなくなった重要な判断の一つとして、香港などの人権問題をあげています。

 志位和夫委員長は、その点について、8中総報告(11月4日)次のように述べました。

 「香港で、今年6月に、自由と民主主義を求める、全体として平和的な大規模デモが起こった当初から、中国政府は、『組織的暴動』と非難し、これへの抑圧的措置をとる香港政府に全面的な支持を与えてきました。 警察による実弾発砲によって負傷者が出たさいにも、それを正当化する態度をとりました」

 「深センに武装警察部隊を展開させ、武力による威嚇を行いました。 わが党は、デモ参加者が、いかなる形態であれ暴力をきびしく自制し、平和的方法で意見を表明することが大切だと考えます」

 「同時に、表現の自由と平和的集会の権利は、国際的な人権保障の基準でも明確に認められている権利であり、香港政府による抑圧的措置、およびそれを全面的に支持し、武力による威嚇を行った中国政府の対応に反対します。 『一国二制度』のもと、事態が平和的な話し合いで解決されることを強く望むものです」

 「平和的解決」に強い危惧を感じたのは、中国共産党の「第19期四中全会」(10月28日~31日)の「一国二制度体系の堅持と整備」に関する「人民日報日本語版」(11月1日)の報道でした。 次の内容は、全国人民代表大会(全人代)常務委員会法制活動委員会主任の沈春耀氏の記者会見の内容です。 6点にわたって述べています。そのなかで、次の点に注目させられました。

 「(2)中央の特別行政区行政長官と主要幹部に対する任免制度とメカニズム、全人代常務委員会の基本法に対する解釈制度を整備し、法に基づいた憲法・基本法が付与した中央の各権力を行使する」

 「(3) 特別行政区の国家安全を守る法制度と執行メカニズムを確立・健全化し、特別行政区の法執行力の強化をサポートする」

 あらためて、香港と中国政府に、香港市民の自由と人権を尊重した対話による平和的解決のために全力を尽くすことを強く求めるものです。


中国にかかわる綱領改定の意義-「世界の平和と進歩にとっての大義」 (4)

2019年11月11日 | 綱領関連

 「8中総」の「綱領一部改定案」の討議を踏まえた、志位和夫委員長の「結語」を読んで、「中国論」が討論の中心点の一つであったことを感じています。 「結語」で志位氏は、「一部改定案を、今の日本のたたかいを前進させる生きた力に」のテーマで、4点を強調しました。 その第3点目に、「中国にかかわる綱領改定の意義ー世界の平和と進歩にとって大義あるとりくみ」として次のように述べました。

 「第三は一部改定案が、中国の国際政治における問題点について、事実と道理にそくして踏み込んで明らかにしたうえで、『社会主義をめざす新しい探究が開始」された国と判断する根拠はもはやなくなったという判断のもとに、この部分を提案している意義についてであります」

 「多くの同志が発言で、この改定は、中国にかかわっての日本共産党に対する誤解、偏見をとりのぞく大きな力になると述べました。 日本共産党を、中国共産党・中国政府と同一視した攻撃が広く行われています。 それだけでなく、中国政府による大国主義、覇権主義的な行動、人権侵害に対して、日本国民のなかで当然の批判や危惧が広がり、そこから生まれる社会主義に対する『マイナスイメージ』が日本共産党の前進の障害になっていることも重要であります」

 「一部改定案がこれらの誤解、偏見を解きほぐし、日本共産党の魅力を広げていくうえで、大きな力を発揮することは間違いありません。 同時に私が強調したいのは、わが党が今、中国の国際政治における問題点を正面から批判しているのは、日本国民の誤解、偏見を解くという次元にとどまらず、世界の平和と進歩にとって大義あるとりくみだと考えているからであります」 

 中国に今あらわれている、新しい大国主義・覇権主義、人権侵害は深刻なものですが、世界を見ましても、それに対して冷静に、事実と道理にそくして、正面から批判する動きが率直に言って弱いという現状があります。 安倍政権も、中国のあれこれの動向を、自分の政権の軍事力拡大に利用することはしても、たとえば尖閣諸島問題一つとっても、中国の覇権主義的行動の問題点を正面から提起し批判するという姿勢が弱い。 香港で起こっている人権侵害についてもまともな批判をしない。 そういう状況が続いています」

 「こういう状況のもとで、日本共産党が事実と道理にもとづいた批判を行っていることは、私は、中国の大国主義・覇権主義の行動に対する痛手となっていると考えます。 だからこそ提案報告で明らかにしたように、中国共産党は、3年前、日本共産党第27回党大会を前にして、大会決議案に明記されていた『新しい覇権主義・大国主義』という記述の削除を求めたのであります。 痛手になっているからこそ、削除を求めたのです」

 「日本共産党が、いま中国が行っている誤った行動を批判することは、そうした意味で、世界の平和と進歩を進めるうえでの大義あるとりくみだということを強調したいし、自主独立を貫いてきた党として、そうした国際的責任を果たしていきたいという決意を申し上げたいと思います」

 私も、同じ思いを強くしているところです。

 

 

 


「綱領一部改定案の基本的考え方と主要な内容」について (3)

2019年11月10日 | 綱領関連

 今、なぜ、「綱領の一部改定の一部改定」をおこなうのか。 それは、綱領のどこの部分なのか。 その内容はどのようなものか。 このことに関して、志位和夫委員長は、次のように報告しまいた。(要約)

 「(「61年綱領」から現綱領への改訂部分は省略) この16年間の国際情勢の進展とともに、見直しが求められる問題が生まれています。 また、この間の国際情勢の進展のなかで、新しく綱領に盛り込むべき重要な動きも明瞭になってきています」

 「一部改定案は、今日も正確で有効な諸命題については最大限そのまま引き継ぎつつ、見直しが必要な部分について修正を行い、新しい盛り込むべき問題について補強を行うという考え方にたって作成しました」

 そして、志位氏は、「主要な改定の3つの内容」を説明しました。

 「第一に、綱領第七節で二〇世紀に起こった世界の変化のなかでも、植民地体制の崩壊が、『世界の構造変化』というべき最大の変化だったことを明記したうえで、新たに第九節を設け、この構造変化が『二一世紀の今日、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮している』ことを、核兵器廃絶にむけた新たな前進、平和の地域協力の流れの形成・発展、国際的な人権保障の新たな発展などの諸点で、具体的に明らかにしました」

 「第二に、現綱領第八節の『今日、重要なことは、資本主義から離脱したいくつかの国ぐにで、政治上・経済上の未解決の問題を残しながらも、”市場経済を通じて社会主義へ”という取り組みなど、社会主義をめざす新しい探究が開始され、人口が十三億を超える大きな地域での発展として、二一世紀の世界史の重要な流れの一つになろうとしている』との規定は、二〇〇四年の綱領改定時には合理的根拠のある規定でしたが、今日の中国の実態にてらして現実にあわなくなっており、これを削除することを提案しています」

 「この改定は、この部分の削除にとどまらず、二一世紀の世界をどう見るかの全体にかかわる重要な改定であり、綱領の世界情勢論の全体の組み立ての一定の見直しを求めるものとなりました」

 「第三に、第二の点ともかかわって、綱領第五章・未来社会論の最後の節ー社会主義への発展の時代的・国際的条件をのべた第一七節ー 一部改定案では第一八節は、見直しを行いました。 発達した資本主義国での社会変革が社会主義・共産主義への大道であること、そこには特別の困難性とともに、豊かで壮大な可能性があることをまとまってのべました」

 私は、かねてから、日本共産党の「中国論」を第26回党大会・27回党大会決議などで紹介してきましたが、今回、具体的事実と二〇世紀の世界の「構想変化」を土台にして「中国論を発展的に見直す」ことを決断したと受け止めています。

 

 


綱領ー「できるだけ簡潔で、かつ厳密に」(「エルフルト綱領批判」 エンゲルス) (2)

2019年11月09日 | 綱領関連

 志位和夫委員長は「綱領一部改定案」の討論を踏まえ、「結語」を述べました。 (「しんぶん赤旗」7日付) その冒頭部分で、「市民社会」を「市民の運動」などに修正したらどうかという提案があったことについて、次のように見解を述べました。

 「『市民社会』(シビル・ソサイエティ)という用語は、国連など国際社会ですでに定着している用語で、国連の諸活動に自発的にかかわる個人と団体を包括した概念として使われています。 核兵器禁止条約の前文にも明記されたように、さまざまな分野の専門家、宗教指導者、国会議員などを含んでいます」

 「私たちも核兵器禁止条約の国連会議に参加しましたが、国会議員として、『市民社会』の一員にかぞえられて、条約に明記されているわけであります。 このように『市民社会』とは、『市民の運動』よりより広い意味をもつ用語であり、原案のままにしたいと思います」

 1891年にエンゲルスが書いた「エルフルト綱領批判」があります。 そのなかでエンゲルスが述べた内容は次のようなものです。

 「綱領はできるだけ簡潔で、かつできるだけ厳密でなければならない。 たとえ、たまに外来語やひと目ではその全体の意味を理解できない文章がでてくるとしても、それでもさしつまえない。 集会における口頭での説明、新聞雑誌における文字による解説が、その場合に必要なすべてのことをはたす」

 「そして、簡潔な含蓄のある文章は、ひとたび理解されるなら、記憶のなかに定着し、スローガンとなる。 冗漫な論述では、けっしてそうはならない」(「1891年、新日本出版社古典選書『ゴ―タ綱領批判/エルフルト綱領批判 84頁)

 こうした立場を生かし、「国民のスローガン」になっていくためにどのような努力が求められるのか、志位氏が、「綱領教室」で語ったことが思い出されます。

 「この立場は、私たちの綱領でもつらぬかれています。 最大限にわかりやすくしたといっても、『できるだけ簡潔で、かつできるだけ厳密でなければならない』という考え方で書かれています。 ですから、そこには『ひと目ではその全体の意味を理解できない文章』も出てきます。 そこは一人ひとりの党員のみなさんが、綱領を学び、深くつかんで、自分の言葉で、エンゲルスの言葉でいえば、『口頭での説明』や『新聞雑誌における文字による解説』などで大いに語っていくということが必要になってきます」

 「その努力を積み重ねていけば、綱領は、必ず国民のみなさんの『スローガン』となっていきます。 エンゲルスは、『簡潔な含蓄のある文章は、ひとたび理解されるなら、記憶のなかに定着し、スローガンとなる』という励ましの言葉をのこしてくれています。 簡潔で厳密な含蓄のある科学的文章は、必ず国民の『スローガン』になる。 そういう力を持っている、ここに確信をもって、大いに語り広げたいと思います」

 「『ルールある経済社会』という言葉を多くの国民のみなさんに理解してもらうには、やはり生き生きとした『口頭』や『文章』による解説が必要です。 さらに、綱領を土台とし、それを情勢の展開とかみあわせて具体化する政策的探究が必要です。 それがあってはじめて、この目標を国民のなかに定着させることができるでしょう」(「綱領教室」第1巻 44~45頁)

 


16年ぶりに、日本共産党綱領一部改定ーなぜ、どこを、どのように (1)

2019年11月08日 | 綱領関連

 [政党の綱領の性格]

 政党にとって、綱領とはどんな意義、役割をもっているのでしょうか。 日本共産党は戦後、公然と国民の前で活動を開始することができるようになりました。 戦前は、絶対主義的天皇制のもとで国民はすべての人権、民主主義を奪われ侵略戦争が拡大さるなかで、侵略戦争・植民地支配に反対し、国民の生活と権利を守るために天皇制の廃止を掲げた日本共産党の活動は支配勢力の最大の弾圧の対象にされ非公然での活動を余儀なくされました。 そのために、多くの先輩党員や支持者が弾圧の犠牲になりました。 

 しかし、こうした運動は、戦後の憲法の平和と民主主義の諸規定に結実しました。 その最大のものが、天皇主権から国民主権への根本的転換だったと思います。 戦前も27年テーゼ、32年テーゼと言われる綱領的方針がつくられ困難を極めた時代のなかで活動がつづけられました。

 私が、具体的に日本共産党を知り、活動に参加するようになったのは、1960年代の初め頃です。 すでに、1961年に採択された綱領(「61年綱領」と表します)が、党員や支持者の活動の大きな確信となり、労働組合運動など様々な運動に反映され、、前進していた時代だったと記憶しています。 

 「61年綱領」は、日本と世界の情勢の激動のなかで、何度も部分改定が行われました。 その都度、「なぜ、どこの部分を、どのように」改定するのか」改定提案について、科学的社会主義の基本的学習を含めて、支部で話し合ったことを覚えています。

 「61年綱領」は、日本共産党の歴史と存在価値をかけて、「日本共産党を語った」ものであったと思っています。 

 現在の綱領は、「61年綱領」に基づく活動を踏まえ、21世紀を迎えた新しい国内外の情勢と運動、科学的社会主義理論の復活活動の到達点を踏まえて、国民が読んで分かり易く、同時に科学的社会主義の未来社会論をも全面的に明らかにした内容になっています。

 今回16年ぶりに、綱領の一部改正案が11月4~5日の「8中総」で提案され、一部修正された上で全会一致で承認されました。「しんぶん赤旗」11月6日、7日付に全文が掲載(「結語」を含めて)されました。 多くの方に全文を是非お読みいただきたいと思います。

 私は、多くの国民の方々に、「綱領改定案」を読んでいただき、感想、ご意見をお寄せただくことが新たな国民、市民との関係を発展させることになると思っています。

  改めて、政党にとっての「綱領」について、考えてみたいと思います。

 次の「解説」は、「世界大百科事典第2版」からのものです。

 「一般に政治組織・党派の目的とそれに至る筋道を定めた文書をいう。 政治組織はみずからの存在理由と趣旨とを簡潔に表現した文章をもつことが多い。 歴史的には体制変革をめざす政党、とりわけ科学的社会主義をかかげる政党が緻密な党綱領を作成し、これによって党建設をおこなってきた。 これに対し保守主義政党や非宗教的中間政党のように特定の世界観を基礎としていない場合には、一般的かつ抽象的な綱領をもつことにとどまることが多い」

 「国際的には、マルクスの《共産党宣言》(1848)が共産主義者同盟の綱領草案として有名であるが、ドイツ労働運動ではゴ―タ綱領(1875)やエルフルト綱領(1891)といった文書が採択された」

  日本共産党が理論的基礎としている科学的社会主義の創設者の一人であるエンゲルスは、党の綱領とうのは「公然と打ち立てられた旗であって、世間はこの旗によってその党を判断します」という言葉を残しています。 

 今回の党綱領一部改定にあたってもこうした、「綱領」に対する基本的な立場をふまえて提起されたもの考えています。

 


綱領改定(案)、「中国を批判」などとメディアも注目

2019年11月05日 | 綱領関連

 日本共産党は4日~5日、第28回党大会(来年1月14日~18日)に提案する、「綱領一部改定案・大会決議案を審議する第8回中央委員会総会を開催しました。 私も4日、諸議案の提案報告をライブで視聴しました。 

 今日は、中央委員会総会について、いくつかの新聞が報道しました。 

 「読売」紙は、「共産綱領案 中国を批判」「覇権主義『平和への逆流』」「野党共闘へ現実路線強調」の見出し。 「共産党綱領一部改定案 主なポイント」。 写真付で報道しました。 そして、次のように紹介しています。 

 「今回の改定案の目玉は、中国を巡る表現ぶりの変化だ。 現綱領で、中国の改革開放路線を、『新しい探究が開始され、21世紀の世界史の重要な流れの一つ」としている部分を削除し、『いくつかの大国で強まる大国主義・覇権主義は世界の平和と進歩への逆流』との記述を新たに加えた」

 「改定案では、中国を名指ししていないが、志位氏は総会で、『この数年来、中国の国際政治の動向に見逃せない問題点が現れてきた』と説明。 香港や新疆ウイグル自治区での人権抑圧や海洋進出に触れ、中国が念頭にあることを明確にした」

 「産経」紙は、「共産、米批判を弱める」「日米安保廃棄は堅持」の見出しで報道。 中国に関する部分は「読売」紙ほぼ同様の記述ですが、アメリカに関する部分では、次の様にに書いています。

 「『アメリカの覇権主義的な世界支配を許さず』との記述を、『どんな国であれ覇権主義的な干渉、戦争、抑圧、支配を許さず』に書き改めるなど米国批判のトーンが下がった」

 「志位氏は、『アメリカの軍事的覇権主義が突出した危険を持っていることは疑いない』としつつ、『中露両国による覇権主義も台頭し、それぞれが覇権主義的な国際秩序の押し付けを図っている』と説明した」

 「毎日」紙は、国際問題では、両紙と同様な記載ですが、国内問題について、次のように記述しています。

 「国内問題については、『ジェンダー平等社会を作る』ことや『原発ゼロの日本を作る』などの方針を盛り込んだ」

 さらに、「『発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である。 日本共産党が果たすべき役割は極めて大きい』と強調した」

 8中総が、テレビや新聞で報道されることを、私はあまり期待していませんでしたが、批判的報道を含めて予想を超えて注目されていることに世論の変化を感じました。 同時に、真剣な議論を重ね、綱領改定案、大会議案を練り上げる責任を感じています。