「はっ! 挑戦者の肩に。鳥がとまっています。先生、これはペットの鳥なのでしょうか。挑戦者を応援しているのでしょうか?」
「何をおっしゃいますやら。そんなことあるわけないじゃないですか、田辺さん」
「そうでしょうか。しかしあれはどう考えれば」
「ペットの鳥なわけないじゃないですか。挑戦者はそんな常識のない人間ではありません。解説しますと、あの鳥は好手を呼ぶ鳥とされておりまして、時折開いている窓から入ってくる観る鳥の一種です」
「そうだったのですね。まさかそういう鳥がいるとは」
「この地方では割と有名です。ですから、対局室の誰も全く驚いたりする様子がないわけです」
「流石ですね」
「研究済みということですね」
「評価値はやや苦しめですけど、この後いい手が出そうだということですね」
「そういうわけです」
「楽しみですね。この後も、引き続き名人戦生中継をお楽しみください」