「両対局者に続いて、記録係の少年も食べ始めました。しかし、食べることに夢中になって、うっかり記録し忘れたりしたら、大変なことになってしまいますが、先生そのような心配はないのでしょうか?」
「何をおっしゃる。そんなわけないじゃないですか、田辺さん」
「そうでしょうか。だといいのですが……」
「今は昭和や平成とは違って、記録の方も進歩しているわけです。ですから、いちいち手で記録しなくても、棋士が指したらAIが認識してそれを自動的に記録するようにちゃんとなってるんです」
「そうだったのですね。それは大変失礼しました」
「ああ見えて、記録も大変頭を使う作業ですから。頭を使うと腹も減るんです。対局者がチキンラーメン食べてるんやったら、記録係も負けずに食べたらいいじゃないですか。もう3時なんですから、みんなでチキンラーメン食べるのも当然の一手とも言えるわけです」
「チキンラーメンはみんな好きですものね」
「そういうことです」
「よろしければ、みなさんもご一緒にいかがでしょうか」
「ぜひともそうしていただきたい」
「この後も、名人戦生中継をお楽しみください」