よし１勝

あの騒ぎの後なので、今朝は電車がすいているかと思ったが、そうでもなかった。耳を澄ましてみたが、話題は昨夜の大騒ぎと縁遠い。そもそも多くの人がヘッドフォンを付けていて誰かと会話している風でもない。ちょっと寂しい。

　前半戦のロスタイムと後半戦の後半戦は、やけに怖い戦いだった。最後の最後にふっと点を入れられる、という戦いが記憶に強く焼きついてしまっているからだ。味方のゴール前にボールが動いてくると思わず体を硬くしてしまう。クリアされると力が抜ける。
　試合が終わったときは、とにかく安心してうれしかった。試合後の長谷部のインタビューがかっこよかった。ちょっといいこと言いすぎじゃないの、と思ったが、試合後すぐに感謝の言葉を口に出せる、というのは日ごろ心にあるからなのだろう。

　今朝は普通に起きて普通に犬の散歩をし、普通に朝刊を開いた。お、すごい、なんと試合後の長谷部のコメントまできっちり記事になっている。新聞社の方々は、えらい。テレビの前でわめいたりおびえたりした挙句、ころっと眠ってしまっている私のわきで、記事を書き、校正し、印刷し、トラックに積み込んで、小分けしてうちの新聞受けまで運んでくれたのだ。深夜１時過ぎに起きた出来事を朝７時に読める新聞というのは世界にどれぐらいあるのだろうか。ちょっと調べてみたがわからなかった。ほんの少しの無駄な時間も削り、しかも連携したパス回しのような配送の手順を組み立てていなければ、たった５時間ほどで、はるかアフリカのサッカーの試合詳細が書かれた新聞がわが家に運ばれて来るはずがない。昨夜は日本代表だけでなく、新聞社の皆さんも頑張ったのだ。よくやった。
　
　そうありたい、と思わなければ、そうあることはできない。そうありたい、と思ったからそうなれるか、というと必ずしもそうではないかもしれない。しかし、少なくとも、そうありたい、と思わない人が、それを実現することはできない。まず、そうありたいと強く心に刻むことだ。

　誰かが一生懸命頑張っている姿を見るにつけ、気持ちの強さについて考えずにはいられない。


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