ジェイエスピーでは中途採用の面接を盛んに実施している。やってくる人たちは千差万別いろいろである。会って元気になる人もいれば、逆に元気が吸い取られてしまうような人もいる。
先日やってきた方の面接の中で、妙に気になった言葉がある。それは、「おいしい仕事」という言葉である。
過去の仕事の評価が、「おいしい仕事」だったか「おいしくない仕事」だったかで分けられているような話しぶりだった。しかも会社は「おいしい仕事」を用意しているのがあたりまえと考えていらっしゃる。会って元気がなくなるのは、このような人との面接の後だ。
糸井重里さんが、あの「おいしい生活」を西武百貨店のコピーとして世に出したのは１９８３年のことであった。東京オリンピック、大阪万博を経て日本は世界第２位の経済大国だ、と自慢したい気分でいっぱいの時期だった。数年後にはバブルが膨らみ、「おいしい生活」から１０年も経たずに１９９１年にはじけている。
糸井さんがウディ・アレンを起用して表現した「おいしい生活」は、「洗練された」とか、「一つ上の」とか、そんな意味を持っていたように思う。しかし、ちまたに広がって違う意味に変わった。「おいしい」は至る所で使われるようになって「おいしい仕事」や「おいしい案件」のような用法も生んだ。昔から使われている言葉だったのだろうが、「楽をして儲けられる話」を、「おいしい話」という。おいしい話の何が悪い、というあっけらかんと開き直った勢いを「おいしい生活」というコピーが多くの日本人の心に刷り込んでしまったのではなかろうか。
「おいしい仕事」について考えていたら、数年前の若い技術者が盛んに言っていた言葉を思い出した。「無理」と言う言葉である。厳しい案件の説明をすると誰彼かまわず「無理」と言う。「めちゃ振り」とか「無理」とか言って終わり。それ以上は話を聞かない。
これもテレビの影響だろうと思う。バブル前後からとてつもなく激しいバラエティ番組が作られるようになり、熱湯に入ったり、ワニの頭をなでたり、タレントが「無理！」と叫びたくなる気持ちがわかるような過激なものが競って電波に乗った。テレビタレントは「無理」と叫びながらも結局最後には、その無理難題にチャレンジして乗り越えていくのであるが、視聴者には「無理」の部分がおもしろく、心に残るのだろう。
「無理」な仕事を振られるのがタレントにとっては「おいしい仕事」なのだが、世間はそう理解できなかった。できそうもないことは早めに「無理」と言わなければ損だと、そう理解したのである。
おいしい仕事とは、新しいことを努力して覚える必要がなく、過去の経験だけで多額の利益を得られる仕事、ということで、早めに「無理」と言わなければ損と言う考え方と通じるものがあるように思う。大した経験もない若いうちから「無理」「無理」と言って「おいしい生活」を追い求めて、いったいどこへ行くのだろうか。
そういえば「おいしい生活」が流行った頃から、日本人の海外旅行の好みに変化が現れた。それまでは海外でのバカンスといえばハワイが定番だったのであるが、多くの人がヨーロッパに目を向けるようになった。中でも、ギリシャ・エーゲ海は人気が高かった。ギリシャ・エーゲ海は「おいしい生活」のにおいがぷんぷんする場所だった。日本人の鼻は間違っていなかったのだろう。あこがれの青い海と白い家並み。そして日本より少ない財政赤字。たとえＥＵのお荷物と呼ばれようと。
「おいしい仕事」を求める気持ちがわからないではない。だが、「おいしい仕事」を追い求める姿には、「自分」の姿しか映っていない。あくまで自分中心に、自分だけの利益を追い求めているようにしか見えない。たまに「おいしい仕事」に出会うことはできるかもしれないが、「誰かと一緒に喜べる仕事」や「忘れられない感動的な仕事」、「寝る間も惜しい楽しい仕事」には出会うことができないのではなかろうか。
ジェイエスピーには残念ながら「おいしい仕事」は存在しない。努力して努力して努力して、それでも報われないことがあるかもしれない。そもそも儲けることを目的にすらしていない。お客様が求めるもののために一生懸命働いて、少しでもそのご要望に応えられたらうれしい、そう思って働いている。
中途応募しようとして頂いている方で、もし、「おいしい仕事」をお探しなら、他をあたって頂くほうがお互いのため、と思う。
monipet
動物病院の犬猫の見守りをサポート
病院を離れる夜間でも安心
ASSE/CORPA
センサー、IoT、ビッグデータを活用して新たな価値を創造
「できたらいいな」を「できる」に
OSGi対応 ECHONET Lite ミドルウェア
短納期HEMS開発をサポート！
GuruPlug
カードサイズ スマートサーバ
株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
先日やってきた方の面接の中で、妙に気になった言葉がある。それは、「おいしい仕事」という言葉である。
過去の仕事の評価が、「おいしい仕事」だったか「おいしくない仕事」だったかで分けられているような話しぶりだった。しかも会社は「おいしい仕事」を用意しているのがあたりまえと考えていらっしゃる。会って元気がなくなるのは、このような人との面接の後だ。
糸井重里さんが、あの「おいしい生活」を西武百貨店のコピーとして世に出したのは１９８３年のことであった。東京オリンピック、大阪万博を経て日本は世界第２位の経済大国だ、と自慢したい気分でいっぱいの時期だった。数年後にはバブルが膨らみ、「おいしい生活」から１０年も経たずに１９９１年にはじけている。
糸井さんがウディ・アレンを起用して表現した「おいしい生活」は、「洗練された」とか、「一つ上の」とか、そんな意味を持っていたように思う。しかし、ちまたに広がって違う意味に変わった。「おいしい」は至る所で使われるようになって「おいしい仕事」や「おいしい案件」のような用法も生んだ。昔から使われている言葉だったのだろうが、「楽をして儲けられる話」を、「おいしい話」という。おいしい話の何が悪い、というあっけらかんと開き直った勢いを「おいしい生活」というコピーが多くの日本人の心に刷り込んでしまったのではなかろうか。
「おいしい仕事」について考えていたら、数年前の若い技術者が盛んに言っていた言葉を思い出した。「無理」と言う言葉である。厳しい案件の説明をすると誰彼かまわず「無理」と言う。「めちゃ振り」とか「無理」とか言って終わり。それ以上は話を聞かない。
これもテレビの影響だろうと思う。バブル前後からとてつもなく激しいバラエティ番組が作られるようになり、熱湯に入ったり、ワニの頭をなでたり、タレントが「無理！」と叫びたくなる気持ちがわかるような過激なものが競って電波に乗った。テレビタレントは「無理」と叫びながらも結局最後には、その無理難題にチャレンジして乗り越えていくのであるが、視聴者には「無理」の部分がおもしろく、心に残るのだろう。
「無理」な仕事を振られるのがタレントにとっては「おいしい仕事」なのだが、世間はそう理解できなかった。できそうもないことは早めに「無理」と言わなければ損だと、そう理解したのである。
おいしい仕事とは、新しいことを努力して覚える必要がなく、過去の経験だけで多額の利益を得られる仕事、ということで、早めに「無理」と言わなければ損と言う考え方と通じるものがあるように思う。大した経験もない若いうちから「無理」「無理」と言って「おいしい生活」を追い求めて、いったいどこへ行くのだろうか。
そういえば「おいしい生活」が流行った頃から、日本人の海外旅行の好みに変化が現れた。それまでは海外でのバカンスといえばハワイが定番だったのであるが、多くの人がヨーロッパに目を向けるようになった。中でも、ギリシャ・エーゲ海は人気が高かった。ギリシャ・エーゲ海は「おいしい生活」のにおいがぷんぷんする場所だった。日本人の鼻は間違っていなかったのだろう。あこがれの青い海と白い家並み。そして日本より少ない財政赤字。たとえＥＵのお荷物と呼ばれようと。
「おいしい仕事」を求める気持ちがわからないではない。だが、「おいしい仕事」を追い求める姿には、「自分」の姿しか映っていない。あくまで自分中心に、自分だけの利益を追い求めているようにしか見えない。たまに「おいしい仕事」に出会うことはできるかもしれないが、「誰かと一緒に喜べる仕事」や「忘れられない感動的な仕事」、「寝る間も惜しい楽しい仕事」には出会うことができないのではなかろうか。
ジェイエスピーには残念ながら「おいしい仕事」は存在しない。努力して努力して努力して、それでも報われないことがあるかもしれない。そもそも儲けることを目的にすらしていない。お客様が求めるもののために一生懸命働いて、少しでもそのご要望に応えられたらうれしい、そう思って働いている。
中途応募しようとして頂いている方で、もし、「おいしい仕事」をお探しなら、他をあたって頂くほうがお互いのため、と思う。
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