雨降りの土曜日。庭の草取りもできないし、うるさい二人も今爆睡中。だから朝食を済ませ、珈琲を入れて音楽を聞くことにした。庭の甘夏の無数の蕾は大きく膨らんだが今日は温度が下がり、冷たい雨に濡れている。そして音楽を聴く前に、Mihoちゃんに首筋から肩にかけて「トクホン」を貼ってもらい軽くなった身体で行動を始めた。
今日はデジタル音のCDを聞くことをやめ、と言ってもLP盤を聴くには部屋を移動しないといけないので、今日は仕事部屋にある小型のオープンデッキ(1973年製、小型と言っても重量18kg)で、「Giacomo Puccini La Bheme(1966録音)」を聴くことにした。
まずはA-2300Sの電源を入れ、そして古いアンプの電源を入れる。この順番は絶対に守らないといけない。外から電源を入れそして中央の機械に電源を入れないと、もしサージが生じたりして古い機械は一発でお釈迦になる可能性がある。源太郎だけのルールかもしれないが、今のデジタル機器とは消費電力が違い過ぎて思わぬトラブルが発生する。のであります。
ラボエームはソプラノ歌手で良し悪しが決まるだろう。「私の名はミミ」をストレスなく歌い上げる歌手はそう多くはいないと思っているが、普通だとマリア・カラスが有名で、誰しもが一番という。でも、源太郎はレナータ・デバルディが最高だと思っている。レナータは、1950年代から1960年代にかけてイタリア・オペラ界でマリア・カラスと人気を二分する人気を得たソプラノ歌手で82歳でなくなった名プリマで、数々の名舞台とともに優れた録音を残している。この歌劇ボエーム「全曲」のテープは大切な一巻。今でも柔らかい艶のある音を聞かせてくれる。
Si, Mi chiamano Mimi,・・・・と始まる「私の名はミミ」
はい、皆さんは私をミミと呼びます。
でも私の名前はルチーアですの。
私の話は簡単なの。
家や店で刺繍をするのです。
私は穏やかで、幸せ。
そして気晴らしはバラやユリを作ること。
私は素敵な魅力を持つものや愛や春を語ること、
夢や幻想を語ること詩が好きなのです。
お分かりになりますか。
この後、ミサにはいかない、でも神様にはたくさんの願い事をする。そして小さな白い部屋で一人で生活している。そして雪解けが来て、最初の太陽は私のもの・・・・と続きます。想像して見てください「可憐な、美しく、そして寂しがり屋」の彼女を。このイメージを歌える人はそういないのです。
【第1幕】
時は19世紀初頭のパリ。あるアパルトマンの屋根裏部屋で、ボヘミアンと呼ばれる芸術家の卵たちの詩人ロドルフォ、画家マルチェッロ、音楽家ショナール、哲学者コルリーネが貧しいながらも陽気に共同生活をしている。クリスマス・イブの夜、ショナールがたまたま稼いできたお金で4人は街に繰り出そうと意気投合します。しかし詩人ロドルフォだけは原稿を仕上げてから行くことになり、ほかの3人は先に出ていきます。そこへ、ロウソクの火をもらいに隣人のお針子ミミがやって来ますが、ミミは戸口で鍵を落としてしまった上、風でロドルフォのロウソクも消えてしまいます。暗闇の中、手探りで鍵を探す二人の手がふれあい、二人は恋に落ちた。(偶然にしてもこの設定はべただなぁ)
【第2幕】
ロドルフォは、カフェ・モミュスで先に愉しんでいた仲間3人にミミを紹介します。
そこへ今度は画家マルチェッロのかつての恋人ムゼッタが現れます。始めはぎこちなかったものの、再度お互い惹かれあった二人はよりを戻します。そして、4人のボヘミアンと2人の娘は、ムゼッタのパトロンだった男に勘定を押しつけて、笑って帰宅したのでした
【第3幕】
冬のある日。マルチェッロとムゼッタが働く酒場に、ミミが訪れます。ミミはマルチェッロに、自分の恋人ロドルフォが最近冷たいことを相談しにきたのです。そこにロドルフォが現れたのでミミは物陰に隠れましたが、彼がマルチェッロに「ミミを愛しているが、彼女は結核を患っており、貧乏の自分には面倒が見切れない。別れる方がいい」と言うのを聞いてしまいます。ミミがいるのに気づいたロドルフォは彼女に駆け寄ります。二人は愛を確かめ合いながらも、お互いのために別れる決心をしました。一方のマルチェッロも浮気の多いムゼッタと口論になり別れてしまいます。
【第4幕】
元の屋根裏部屋。相変わらずボヘミアンの4人は貧しいけれど陽気に暮らしています。そこへ、ムゼッタが瀕死のミミを連れて駆け込んできます。ミミは愛するロドルフォの元で最期を迎えたいと望んだのでした。彼女のために薬を買おうと、仲間たちはお金の工面に出掛けていきます。二人きりになったロドルフォとミミは、楽しかった日々を語り合いました。そして、みんなの帰りを待っていたかのようにミミは静かに息を引き取ります。部屋にはミミの名前を叫ぶロドルフォの声がこだましたのでした。
美しく、悲しすぎる。恋はロウソクの炎のように消え去ります。こんなミミの切ない歌を聴くには雨降りが最高なのです。
ラウラ、少しはミミのような可憐さがないのかなぁ。
「おとしゃん。皆さんアタシのことをラウラというんです。なんでかしら、本当の名前はセシリアというのよ」
「馬鹿野郎、その名前はおかぁしゃんの名前だろ」
「デヘッ」