ドキッとするほど「茜色」に染まった雲。そしてその光をバックに綺麗な曲線を描く富士山。
こんな贅沢なシルエットは滅多にお目にかかれない。ほんの一瞬の光の芸術だ。
「おとしゃん。そんなことはいいの。あそこでジェリー爺さんがアタシのご飯を食べちゃっているわ」
「お前がいつでも食べれると思って残しておくからだよ」
「そんなこと言ったって。この前も私の煮干しを横取りしたのよ。クソ爺い!!」
「そのような紛争は、二人の間で解決してください」
「だから、おやつを頂戴よ」
「却下」
ドキッとするほど「茜色」に染まった雲。そしてその光をバックに綺麗な曲線を描く富士山。
こんな贅沢なシルエットは滅多にお目にかかれない。ほんの一瞬の光の芸術だ。
「おとしゃん。そんなことはいいの。あそこでジェリー爺さんがアタシのご飯を食べちゃっているわ」
「お前がいつでも食べれると思って残しておくからだよ」
「そんなこと言ったって。この前も私の煮干しを横取りしたのよ。クソ爺い!!」
「そのような紛争は、二人の間で解決してください」
「だから、おやつを頂戴よ」
「却下」
連休最終日。天気ははっきりしないが、雨は降らずなんとかもつだろう。こんな日の富士山は写真を撮っても白黒モード。
「おかぁしゃんはどこにいったの」
「おばぁちゃんのところに行ったよ」
「じゃ、アタシは寝るよ」
「そうだね。その方が男たちにとっては喜ばしいよ」
「ジェリー、ゆっくり寝ることができるぞ」
「おい、ラウラどこにいる」
沈黙
「見つけたぞ」
本人はステルス潜水艦のように、白いお布団に紛れていたが、潜望鏡のような目が開いた瞬間、発見される。
「おい、起きろ」
「やだ」
「それならこれでどうだ」
「やめてくれよ。それだけはご勘弁」
「しょうがない。起きるか」
と言いながら、また深くお布団に潜っていった。
甘夏の花。
「Voici des fruits, des fleurs, des feuilles et des branches」
「受け給え、ここに果実と花と枝とこそあれ」ポール・ヴェルレーヌ詩集より