《あなたは、哀れでも可哀相でもないんですよ
北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサエは、両親の顔を知らない。昭和十年、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られる形で根室に舞い戻ったミサエは、ボロ雑巾のようにこき使われた。しかし、吉岡家出入りの薬売りに見込まれて、札幌の薬問屋で奉公することに。戦後、ミサエは保健婦となり、再び根室に暮らすようになる。幸せとは言えない結婚生活、そして長女の幼すぎる死。数々の苦難に遭いながら、ひっそりと生を全うしたミサエは幸せだったのか。養子に出された息子の雄介は、ミサエの人生の道のりを辿ろうとする。数々の文学賞に輝いた俊英が圧倒的筆力で贈る、北の女の一代記。》
《絡み付いてね。栄養を奪いながら、芯にある木を締め付けていく。最後には締め付けて締め付けて、元の木を殺してしまう。その頃には、芯となる木がなくても蔓が自立するほどに太くなっているから、芯が枯れて朽ち果てて、中心に空洞ができるの。それが菩提樹。別名をシメゴロシノキ。》
本のタイトルを見た時、前年5月末に屋久島に行った時同じ名を耳にした記憶があった事も借りる事に影響があったと思います。(その時のブログを読み返しても記述がなかったけど、たぶん「アコウ」だったと思います。)
お釈迦様が悟りを開いたインドボダイジュ(印度菩提樹)は、Wikiによれば「他のイチジク属と同様、絞め殺しの木となることがある。耐寒性が弱く元来は日本で育てるには温室が必要であるが・・」との事で・・、本の中では、寺人がその様な話と共に、絞める側も絞められる側もいずれ死ぬという様な話も・・。
余談が長くなりましたが・・、前半はミサエ、後半は雄介が狭い地域で絡み合う人間関係の中でシメゴロシにあったように苦闘する生き様・・、読み応えのある本でした。
(画像借りました。)