経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

馬鹿殿はこうして出来る

2012年01月19日 | Weblog
情報は、ことの判断材料である。

だから、
自分の好き嫌いで、入ってくる情報を分別し、
採ったりはねたり、といったこと。
あるいは自分にとって都合のよいものと、
都合の悪いものといった基準で、分別するといったこと
こうしたことは、ありえないのである。
なぜなら、判断は、明暗、生死、盛衰、功罪、損得といった
ことを決めるからである。

だから、こうしたことでの事例は、枚挙に暇がないが、
有名なのは、桶狭間合戦時の今川義元である。
休憩中、信長勢か急襲されたのに、
「兵隊どもがさわいでおるわ」
で、貴重な第一報に、予見を加えたうえで一蹴している。

「騒いでいる」と理由に対して、
「身内のじゃれあい」といった予見を加えてしまい、
織田勢来襲という可能性を最初から切り捨ててしまっているのである。

こうしたことは義元がかねがねから、
要するに、自分によって都合の良いものだけを採り、
そうでないものは捨てる癖を持っていることを、
如実に現わしている。

義元だけではあるまい。
企業でもよく見かけることである。
情報、情報といいながら、集めるときに
自分にとって都合の良いものを、「ウエルカム」
と、鵜呑みして、都合の悪いものは、最初から見ようともしない。
あるいは一別する。

そうした取捨選択を行いつつ、さらに自分と同じものを集める
部下なりが、そういうのを持ってきたら、
「そう、そう、それはいい」
と嬉しそうな顔をする。

自分にとって気に入らないのがあると、

「なんじゃこれ」、
「誰だ、こんなつまらんこと報告したのは」

と、不快感を言動に露わにする。

だから、
次から皆そのトップと同じ意見しか言わない。
トップが喜ぶ、都合の良い情報だけを伝える、
といったように、周囲が今度は情報を分別、
取捨選択するようになる。

こうして企業のトップは、義元同様
取り巻きに囲まれ、事実を見ない馬鹿殿となる。