経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

最近、私が妻を大事にし始めたその理由

2005年10月17日 | Weblog
 1945年に封切られた「素晴らしき哉、人生!」というアメリカ映画は、まさにそのタイトルどおり、素晴らしい映画である。

 この2時間を超える映画の1時間40分は、ツキなし、お人好しの一人の男のただただひたすら奮闘記である。残りのうち20分が、その主人公が破滅に苦しむ。肝心な「素晴らしき哉、人生!」は、最後の10分程度。これでは、看板に偽りありだ。

 だがそうではない。またこれを単純なハッピーエンド映画と見るのでは、どうも納得いかない。

 それは最後の方で、「友がいる者は、敗北者ではない」という天使から主人公へのメッセージが出てくることで、でこの映画の長い長い前半が、実は複線になっていることがわかる。この謎解きができて、初めてタイトルの、「素晴らしき哉、人生!」の本当の意味が理解できるのである。
 それぐらい含蓄のある言葉なのである。
 このブログ映画の批評を行うつもりはない。(映画に興味がある方はhttp://geocities.yahoo.co.jp/dr/view?member=jatudonka をご覧ください)

 映画を借りて、言いたいことを言いたいのである。まずはネタバレしない範囲で、この映画を見て置きたい。

 主人公のジョージは、小さい頃から何事につけ貧乏くじを引いてしまう。町を出て、広い世界での成功を見ていたのに、出る寸前に父がなくなり、つぶれかかった家業を継がざるようになった。新婚旅行も出かける直前で、会社の信用不安が発生オジャン、といったようになにごとにつけ、うまくいかない。

 父親から引き継いだ家業は、住宅業なのですが、人が良いため取引はいつもお客さん有利で、ほとんどもうからない。さらに彼の会社を買収を狙う悪徳有力者に様々な嫌がらせを受け、ついに会社に80000万ドルの穴を出してしまう。そこで自殺を試みるのだが、これすらじゃま失敗。
 結局、結局ディームス・スチュアート演じるこの主人公 ジョージは、何1つ自分の夢は実現しませんでした。
 
 ここからです。申し上げたいことは。
 自分の夢は実現しないこと。イコール ジョージの人生は、不幸?とんでもない。タイトルのように彼の人生は、「素晴らしき哉、人生!」そのものだった。

 なぜか、彼は自分の夢を果たすことではなく、町の人々の夢を果たしたのです。
 事業では損ばかりしていた、と上に書きました。裏返して言えば、その分彼のお客さんは得をしたことになります。彼のおかげで、やすくで家を手に入れてた人は喜ぶことになる。

 でもそうしたことは事業の資金繰りにはマイナスになってもプラスになることはありません。ここが微妙なところですが、短期的にはそうです。。
 でも人生いのです。そうした自分の得を考えずに、町の人の方、良かれの彼のあり方が、町の人たちが、彼の友として潰れること間違いない彼の会社を支えてくれることになるのです。それが「友がいる者は、敗北者ではない」という言葉の背景にあります。

 ここで彼が目標として、困ったときに支えてもらうために、町の人に善くしていく目標を、最初に立てて動いていたらどうなったかわかりません。わかりませんが
それは、打算には間違いない。恩着せがましくとか、「いざというときのために人脈を」というのでは、どうでしょう。
 私は自分の専門が、「経営戦略」なのですが、そういったことが嫌い。受け付けません。

 ここはやはりジョージみたいに企みなしに、というのでなければ、こんな嘘みたいなラストシーンは出てこないのでは、と思います。企みのない人が、信頼や信用を蓄積できるからです。

 そもそも町から出られなかったことで、彼が町での「素晴らしき哉、人生」を送ることになった。こうしたことを考えると人間の浅知恵で、人生を動かそうなんて考えることが、どうかな、って気もします。

 彼の奥さん役が、この映画の数年後の作品「地上より永遠に」でアカデミー助演女優賞を受賞しているドナ・リード。この妻の存在も見落とせません。

 妻と友、これが素晴らしい人生には不可欠。生きるための手段として、「夢」が大切だ、ということは否定しない。しかしそれは目的ではない。では目的はなにか。、素晴らしき人生を送ること。そのために何が、この「何が」が人によって異なるのでしょうが、それが妻と友とこの映画ではいっている。
 これを広げれば、「 他人との繋がり(嶋崎喜一先生)」ということになるのでは、と考えらました。 時には、人智より天智、神よりかみさん、自得より他得、おおよそ経営学に逆らうところにも、素晴らしい人生があるかも、といったことに思いを寄せてもいいのかな、とそのことを書いておきたかった。
 
 ちなみにこの映画のDVD。書店で500円で買えます。