経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

今良し、が暗い未来を造る

2005年10月11日 | Weblog
 割安感の乙類焼酎の、いわゆる3Mの1つが1.8リットル5万円で売られている。もちろん特定銘柄だ。大衆酒がこんなにも高額である。
 
 高いということは、自分が買う場合はチョイト困るが、それでも売れるのであれば業界としては悪いことではない、私自身むしろ喜ばしいことと思っている。

 だがそれが投機の対象として、不当に価格がつり上げられている。つまり価値を評価しての価格ではないのである。こうした状況は許されない。投機は見逃してはならない。

 ここまで売れるようになった芋焼酎。その背景には涙ぐましい焼酎業界の苦心があったことを知っている。それを思うとこれまでの苦労に水を差し、最悪の場合水泡化してしまうことになりかねない投機による価格釣り上げといったことは、許してはならない。

 だから、業界はそうしたことを招かないために、投機に対して手を打つべきだ。売れることに浮かれ対策を怠っては、必ず臍を噛む。清酒が通ってきた道を、せめて芋焼酎だけでも取ってはならない。
 そうした思いを一昨年専門誌に書いた。

 だが業界からは「せっかくのブームに水をさす」と冷ややかな反応が多かった。
 さらに原料の芋の生産量を上回る芋焼酎といった、あり得ない現象についても警告した。消費者は無知ではない。こうしたことが、売れるということでの「奢り」で」、見て見ぬふり、身内のかばい合いをしているのであれば、それは消費者を敵に回すことになる。

 対して「売れているからいいじゃないか。消費者が買っているからかまわないではないか。」という声がある。
 だが、この今良しが、先も良しに見えないことは、これまでの歴史が証明している。
 
 明るい希望に満ちた将来のために、今やるべきは、といった戦略眼が乏しいことは哀しいことだ。 今良しが暗い未来を造ることであっては、決してならない。