釧路市文化会館で、
「『新しい戦前』の足音の中で忘れてはならないこと~命の尊厳の視点から」と題して、日本の「特攻」について研究をしてこられた山元研二さんの講演を行った。
いま「新しい戦前の足音」がひたひたと押しよせてきている。同時に「戦前にさせない」という流れも強まっている。
こうした76年経過したいま、「特攻」から考える講演であった。
山元さんは鹿児島県の知覧特攻平和会館を訪ねた時、特攻兵の遺書が展示されているところで、母親が「あなたもこの人たちのように勇気を持たないと」と述べていた。これを聞いて「先生、これでいいのでしょうか」と質問されたことが研究の始まりとのこと。
私も「知覧特攻平和会館」に行った。この最後の遺書の展示をみたとき、悲しい思いをした。そのとき、当時の厳しい検閲を潜った遺書が隊員の本当の思いを反映しているのであろうかと疑問に思った。
山元さんもそう思ったようで、劇の脚本を書き松本ヒロさんの一人芝居で演じられている。
「特攻」を批判すると必ず右翼から攻撃がかかる。
映画「ホタル」も右翼的潮流から批判を受けていた。
この映画は降旗康男監督のもと、高倉健と田中裕子主演の映画だ。
問題にしているのは、この無謀な「特攻」を計画し、強制した国家なのだ。
6000万とも8000万人ともいわれる人が亡くなった第二次世界大戦。
その悲惨な体験から戦争そのものを禁止してきた。
それが国連憲章であり、日本国憲法だ。
戦争はケンカとは違う。
クラウゼヴィッツは、戦争は政治の継続であるという。
国家権力の発動として、政治家が決定するのだ。
だからこそ、政治家の責任は重い。
紛争を戦争にしない。
これは外交の力であり、政治家のなすべき仕事だ。
すでにASEANが多大な努力で実践している。
しかし今の自民党や公明党、維新、国民などは、敵基地攻撃の大軍拡に走っている。
さらに憲法そのものを、9条を変えるために策動している。
戦後78年、一度も戦争で他国の人を殺していないし、日本国民も戦争で死んでいない。
このような国は世界で数か国しかないといわれている。
人類の病といわれる「戦争」を本当に禁止するために、
いま何がもとめられているか。