社会はかわるし、かえられる!

格差社会の縮小めざして、誰もが安心できる社会をめざして!
 

新版「資本論」完結

2021-07-16 07:09:37 | 日記
新日本出版社
本体価格
1700円

新版の「資本論」が12分冊で完結した。

最後は「諸収入とその源泉」
その最初の「三位一体的定式」がおもしろい。

資本は利子を、土地は地代を、労働は労賃を生みだす。
これは資本主義社会の表面にあらわれた「現象形態」だ。
これこそ「俗流経済学」の真骨頂だ。
マルクスは、キリスト教の「三位一体」を引用して皮肉っている。

「資本と同様に、賃労働も土地所有も、歴史的に規定された社会的形態である」P1469・・・これがマルクスの立場だ。発達の科学ともいわれる弁証法の考えだ。

現象と本質が同じなら科学はいらない。
「もし事物の現象形態と本質とが直接に一致するなら、あらゆる科学は余計なものであろう」P1487

8時間働いて、8000円の給料をもらう。あたかも労働が労賃を生みだすように。しかし、これは現象形態だ。
このどこに秘密があるのか。その本質は?

新版「資本論」の1~3分冊に。
この最初の部分を読み切れば、目の前が開ける。しかし、もっとも困難な、最初の崖を登る大変さがある。

若い人たちに、ぜひ挑戦してほしい。

この「三位一体的定式」の章の最後に「俗流経済学者は、ここでますます満足する。・・・彼は、価値の概念を把握する義務から解放されるからである。」と、これまた皮肉っている。

大学での経済学は、現代経済社会の現象の一面を反映している。統計や多変量解析、微分方程式など高度な数学を使って結果を出す。結果が一致するため、あたかも正しいものと錯覚する。そのままでは形而上学にとどまってしまう。
マルクスの言う、価値の概念から「解放」されてしまう安心感があるのではないか。

これでは資本の運動はつかめない。
現代社会の環境破壊、地球温暖化はなぜ起きているのか。持続可能な社会をどうつくっていくか。そのヒントを「資本論」でつかめるのではないか。