ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2016.6.14 マスコミ報道もさることながら

2016-06-14 22:49:49 | 日記
 海老蔵さんの奥様である小林麻央さんの進行性乳がん報道が全国を駆け巡ってから数日が経った。
 進行再発乳がん患者の一人として思うのは、本当に芸能人の方たちは気の毒だということ。心底そっとしておいてほしいだろうなと思うし、そっとしておいてあげてほしいと思う。
 あれだけの情報であれこれ推測することはとても失礼な話で、当事者以外が憶測の域で何かを語ることは何の意味がないのだけれど、とも思う。

 ところで、本題は、夫が夕食の時に、ぽろっと言ったことで感じたことだ。
 職場でこの話が話題になって、女性たちがワイワイガヤガヤ話すのをなんとなく聞いていたそうだ。
 そして「女性だからって皆が、乳がんのことを知っているわけじゃないんだね~」とのこと。夫でもあれ?と思うようなトンチンカンなお喋りが続いたのだろうか。

 夫は初発から数えて11年半、再発進行がん患者(つまり私)とともに暮らして8年半にもなるから、まあそれなりにこの病気のことは普通の男性よりも良く知っているだろう。
 ただ、それはあくまでも私のケースであって、全てに通じる一般論ではない。私自身も、自分のこととせいぜい自分と同じタイプのこの病気のことを、他の人よりも経験した分だけ少し知っているというに過ぎない。この病気には実に様々なタイプがあり、辿る経過は百人百様だ。

 まあ、具体的にどんな話がされていたのか、あまり聞きたくもなかったし、あれこれ詮索したところで誰も幸せにならない。
 だからサラリと「そりゃ、そうでしょ。私だって自分がかかるまでは詳しいことは知らなかったし、あえて知ろうとも思わなかった。皆、自分なり家族なりがかからなければ所詮他人事なのよね。そして、このがんは他の部位に比べて予後が長いし、なってから勉強するという時間的余裕があることも事実だしね。」と返してその場を納めた。

 色々な医療関係者も、今回の件でどういう状況が考えられるのか、とあれこれ文章を書いておられるようだが、結局のところ、推測でしかないのではないだろうか。
 先日、検診によるマンモグラフィで判別不能なケースについてはノーコメント(異常なしとみなす)という記事も読んだばかりだけれど、検診レベルではおそらくそうなのだろうな、とは常々感じていた。

 早期発見してその時出来る標準治療をしても再発転移することは十分にありうるから、安易に早期発見すれば治るなどとは言ってほしくないし、検診さえしておけば大丈夫(若い女性には過剰検査等が必要になって却ってマイナスになるケースもある)だといった無責任な情報は流さないで欲しいな、と思うのだ。

 一生懸命治療に頑張っている患者さんと、それを支えている家族の方たち。お子さんが小さければそのストレスはいかばかりかと心が痛む。

 2人に1人ががんになる時代。女性の12人に1人が乳がんにかかる時代である。どうか決して他人事、対岸の火事と思わずに、静かに暖かく寄り添ってほしいと強く思うのである。
コメント (2)
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