ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.2.9  ハーセプチン80回目

2010-02-10 22:55:33 | 治療日記
 内科受付後20分ほどで中待合へ、その後10分ほどして診察室に入った。先週は、左胸の傷口周辺がこれまでの圧痛、鈍痛に加え、特に押したり触ったりしなくてもズキンと痛むことがあったことをご報告した。触診して頂き、傷口周りのごつごつ感を確認して頂く。
 気になっていた腫瘍マーカー値は横ばい。6ヶ月ぶりに上昇が止まり、安堵した。理由は不明だが、結果オーライだ。診察室に入るまでは(今月もまた上昇していたら、CTの後、来月から薬の変更かも・・・)等といろいろ考えていたので。先生からは「今後も自発的な痛みの状況の頻度等、変化に気をつけてみていきましょう。」と言って頂いた。
 今日は昼前に点滴開始。前回と同じ新しいタイプの針を使って頂いた。刺す時はこれまでの針より若干痛むが、順調に終了した。

 今日は明日の早朝会議に備えて、また、都心に前泊した。時間もたっぷりあり、合計5冊読めた。
 1冊目は藤原正彦先生と小川洋子さんの「世にも美しい数学入門」(ちくまプリマー新書)。このお二人の対談が面白くないわけがない。一気呵成に読み、「数学はただ圧倒的に美しい」というくだりに、職場である大学の数学専攻の先生方をふと思い浮かべた。私は数学が苦手だったけれど、数学の美しさには神の手がかかっている、ということを納得する。
 2冊目は茂木健一郎さんの「すべては音楽から生まれる 脳とシューベルト」(PHP新書)。「絶対的な座標軸-たとえば『喜びや美の基準』といったものさし-が自分の中にあれば、日々の雑事や苦しみはずいぶんとやわらぐものである。その存在がその人にとって生きる、ということの決め手になるのだと思う。」「『いかに、どれだけ、耳をすませられるか、人生はその勝負にかかっている』といってもかまわないだろう。」というくだりに実に納得した。私はクリスチャンではないけれど、今日は1冊目、5冊目の本も含めて、本当に神様はいらっしゃるのだ、との感を強くした。
 3冊目は梨木香歩さんの「りかさん」(新潮文庫)。おばあちゃんから送られた市松人形にまつわるお話だったが、あっという間に引きこまれて、これまた一気読み。後日談の「からくりからくさ」も読まなくては、と思った。文庫版書下ろし短編の“一歳児にとっての外の世界”の描き方も凄い。
 4冊目は同じく梨木さんの「エンジェルエンジェルエンジェル」(新潮文庫)。これまたおばあちゃんと孫の不思議なやりとりのお話。テーマはかなり重いのだが、こんなに読後感が良いのは彼女ならでは、だ。
 5冊目はご自身も乳がん経験者である中島みちさんの「がん・奇跡のごとく」(文春文庫)。”もっとも進行した病期で治療を受け、その後社会復帰してほぼ10年をクリアした”という条件をもとに、6人のがん患者を取り上げ、その闘いの過程を克明に記録。文庫化にあたり、6年後の再取材(この時点で全員が健在だった!)し、今日の治療水準も報告するという、2005年5月発刊のもの。ちょうど私の初発の頃にあたる。それから5年経っている。その間の医療の進歩たるや目覚しいのは言うまでもない。私など患者としてはまだまだ、だ。そして生きているからこそ、なのだ、と再び元気をもらった。

 病院を出る時、ロビーでボランティアの方たちがお雛様を飾り付けてくださっている最中だった。暦の上では、もう春、だ。
 今日はジャケットすらいらないくらいの暖かさ。東京では21度もあったそうだ。息子を含む花粉症の方たちには悪いけれど、早く暖かくなって欲しい、と思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする