ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.2.14 「講演会とランチ」

2010-02-14 20:53:23 | あけぼの会
 今日はあけぼの会の「講演会とランチ」に参加した。メールで参加を申し込んだ翌日「受け付けました」の返信とともに「つきましては、今回の講演のテーマ『乳がん患者が本当に知りたいこと』ですが、あなたが術前術後に知りたかったことを思い出して、教えてほしいのです。今、知りたいことでもいいです。どんなことでもいいですから、箇条書きにして、いくつでも書いて送ってください。当日、講師の先生にお答えしていただけるか、こちらで判断して、前もって資料を作る予定です。返信はこのメールでおねがいします。なお、あなたのお名前を発表することはありませんので、心配なく。」とのお願いがあった。2日ほど悩んで返信を送った。

 どう書こうとしても、自分にとって一番聞きたかったことは、結局聞いても仕方のないことなのだ、ということは分かっています・・・、と自己完結してしまう。「予後」も「副作用」も「治療計画」も結局のところ百人百様。似たケースはあるかもしれないけれど、自分と全く同じ、はないのだし、確率論を聞いても自分に起きてしまえば100%、起きなければ0%。前回も書いたとおり”ALL OR NOTHING”である。だから慰めにはならない。
 いろいろ書いては消し、書いては消ししながら、私が本当に知りたいことは何だったのだろう、逆にこれを知っていたら今の状況にはならなかったのだろうか、と考えこんでしまい、だんだん辛くなった。
 そんな気持ちのままで、まとまりもなくお返事してご迷惑をかけたなあ、と反省した。

 確率論については、再発してからすっかり頼りにしなくなった。合格率だって同じ。合格すれば100%、不合格なら0%。80%受かるといっても10回受けて8回合格をもらえるわけでなし、再発率20%といっても自分が再発すれば100%なのだから。だから早期発見、早期治療がベスト、検診を受けましょう、とも言い切れない。へそ曲がりの私だ。
 定期的に検診を受けつつ、早期に自分で見つけ、早期で標準治療をしていてもこうなるときはこうなるのだ、という良い例ではないかと思う。別に斜に構えるつもりもないし、投げているわけでもない。不思議なことに淡々とそう言えるようになった。
 今、言えるのはもちろん検診は大事だし、自己検診も大事。でもそれだから絶対安心、ということはない。まじめにフォロー治療をしていてもそれは予防ではない。再発するときは再発する。もちろんきちんとフォローしていればそれが少し早く見つけられるだけだと。
 そう悟ってしまえば、あまり高望みはしなくなる。幸せのハードルが低くなったのは事実だ。
 負け惜しみではないけれど、人をうらやましがったり、自分を不幸がったりもしなくなった。
 もちろん、病気を得たことは幸せではなかったけれど、身の回りに小さな幸せはいっぱいだ。病気になったのが夫や息子でなく、私でよかった、とも思う。病気を得たことでやはり少し成長したかもしれない。

 定員50名のところ90名申し込みの盛況だという濱岡先生の講演のテーマは、1.「私はなぜ乳がんになったのだろう」 2.「再発する人としない人の分岐点」 だった。最初の会長さんからのお話の通り、誰もが乳がんになったとき「なぜ私が・・・」と思うのに、実際治療が始まるとこの根本的なことを考える暇もなくなる、実にその通りだ。これまで講演会でのテーマにはなかったけれど、一度吐き出して考えたいことだった、ということに深く納得した。
 確かにもう再発してしまった事実は変えられないけれど、これからの再々発をなるべく遠くにおいておくために危険因子を知ることは大事なことだろう。原因はストレス、と考えていらっしゃる方が殆どだったが、実際のところそうでもないようだ。ストレスは生活する上で避けられないし、逆に適度なストレスならある程度は必要なのだろう。好きな食べ物も飲み物も“ほどほどに”明るく暮らしていくことが必要だ、ということがよく分かる。
 今や自費でOncotype DXやMamma Printで再発率などの予想ができるようだが、かつて早期と診断された私と同じような症例で危険率95%という結果が紹介されていたから、私ももし今検査してみればきっとそうだったのだろう、と納得してしまった。質疑応答も良かった。「乳がんと牛乳」というベストセラーは私も読んだけれど、現代の食生活で乳製品を全て避けきるのは本当に難しい。「今あるがんが消えていく食事」もしかりだ。
 その後、会場を1階のレストランに移してのランチバイキングでのおしゃべりも楽しかった。食後はまた会議室に戻り、北は北海道、南は鹿児島まで、全国支部長さんや事務局の方々の自己紹介の後、再発グループ、術後日の浅いグループ等4つのグループに分かれてお話した。11時から夕方4時までという長丁場であったのに、最後にはもう時間・・・と思ったほどあっという間で、前回同様会長さんの思いが伝わってくる集いであった。おかげさまでまた新しいお友達も出来て、「ブログを読んでいますよ」と声をかけてくださった方もいらして、やっぱり参加してよかった。また次回もお会いしましょう、と言い合って名残惜しくお別れした。
 別れ際には会長さんと握手もしていただき、元気を頂いた。事務局の皆様方にも毎回感謝、感謝である。

 来月からは毎週この会場で講演会や相談会が定期的に開催されるそうだ。来週にはピンクのはがきが届くという。病気になって、さらには再発して、それでも生きていかなければならないけれど、一人では辛いときもある。そんなときに同じ病を経験した者たちが話し合える場、『あけぼのハウス』。2010年のあけぼの会のビッグテーマはこうして少しずつ患者の声をまとめて全国のドクターたちにわかってもらうこと、だという。
 これからがますます楽しみだ。

 さて今日はバレンタインデー。出がけには、日曜日で職場の義理チョコももらえなそうな夫と男子校で下駄箱にも何も入っていそうにない息子にチョコレートを渡し、帰りにはケーキのお土産を買った。
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