生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

・1280 ・「没後をおそれることはない」

2012-06-11 06:36:32 | 日記
おはようございます。

生き生き箕面通信1280(120611)をお届けします。



・「没後をおそれることはない」



 野田首相は、大飯原発を再稼働させる決断をした理由として、「原発

を止めたままでは、日本は立ちゆかない」ことをあげました。本当に立ち

ゆかないでしょうか。そもそも「立ちゆく」とは、どういう状態を言っている

のでしょうか。また、立ちゆかなかったら、どうなるというのでしょうか。



 「これが私たちの望んだ日本なのか」というアンケート特集を、月刊誌

の「文藝春秋」が昨年4月号で組んでいました。超大型と同誌が銘打った

力のこもった企画です。その中に、国際日本文化研究センター教授の井

上章一さんが「没後をおそれることはない」という回答を寄せていました。

少し長くなりますが、本日の「箕面通信」は、それをそのまま引用します。

以下引用です。



 「私は京都のちかくで生まれ、そだちました。もう、半世紀以上にわたり、

この街をながめつづけたことになります。そして、日本がおとろえてゆく

今、あえて言うことにいたしましょう。



 京都にも、昔はかがやいた時代がありました。全国の富があつまり、

さまざまな文化をはぐくんできたのです。しかし、千年をこえる歴史のな

かで、いろいろつらい目にもあってきました。今は、首都の座を東京へ

ゆずりわたし、一地方都市になっています。



 ですが、京都にすんでいる人々が、さほど不幸だとも思いません。

街としては、はなやぎがなくなりました。さまざまな指標も、低迷して

いるでしょう。でも、人々はほこりをもって、もちすぎているくらいです

が、くらしています。



 没落の先輩として、言いきりましょう。没落をおそれることはありませ

ん。たいせつなのは、どうやって没落していくかというところに、ありま

す。都市であれ、国であれ、いちどさかえたところは、かならずおちて

ゆくのです。そのことを、必要以上におびえることはありません。ねが

わくは、ゆとりをもってどうどうとおちぶれたいものです。



 まあ、日本はおちてゆくことに、まだなじんでいないのでしょうね。ヨー

ロッパへでもでむいて、先輩を見ならってはどうでしょう。てぢかに、京

都を手本にするという手もありますよ。いかがですか。



 じつは、京都もそれほどいばれはしないのです。明治の東京奠都(てん

と)にさいしては、危機がさけばれました。このままほうっておいたら、京都

は奈良になってしまう、と。今の日本と同じで、おびえていたんですね。



 でも、今、奈良でくらしている人が、とくべつふしあわせなわけではあり

ません。奈良になって、何が悪いのでしょうか。京都も、今は奈良への途

をあゆみつつあります。日本も、こちらへいらっしゃい」



 歴史を振り返ると、四大文明といわれたインダス、チグリス・ユーフラテ

ス、ナイル、黄河文明はピークを過ぎると長期低迷の時期に入りました。

ギリシャ文明、大ローマ帝国の文明、産業革命を主導し大英帝国を築い

たイギリスのパクス・ブリタニカ文明も例外ではありませんでした。



 一方で、現代文明が行き詰まり現象にあえぐなか、ブータンの暮らし方

が注目されています。70億人を超えたとされる人類が現世紀からのミレ

ニアム(千年)を生き延びることができるのか、が根本的に問われていま

す。野田首相の「原発を止めたままでは、日本は立ちゆかない」は、目先

だけを見る、あまりにも思慮に欠ける発言ではないでしょうか。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿