『われらの文学 22 江藤淳 吉本隆明』 講談社 1966年 490円。
古書店 高原書店より買う。数日前到着。 1000円。
買った経緯は、絓秀実の 『junkの逆襲』 にこの本のことが紹介されていた。
すなわち、1965年秋江藤淳と大江健三郎の完全責任編集とのうたい文句で文学全集全22巻が刊行開始。第一巻は「大江健三郎」であり解説は江藤。そして、22巻のうち評論集が1冊。それがこの『われらの文学 22 江藤淳 吉本隆明』であり、解説が大江なのである。作家は戦後日本の現代作家、石原や開高など。そんな中、評論家として選定されたのが江藤(まあこれは自選だ)と吉本のみ。
こんな全集があったなんて今まで全く知らんかった。そもそもおいらは文学音痴なのだが、がきんちょの頃は江藤の著作を古本屋で一生懸命集めたのに気づかなかった。さて、完全責任編集者の江藤と大江は当時、32歳と30歳だって。 (32歳と30歳って、いまだと、例えば、阿部和重はもう37歳、東浩記も34歳。) すごいですね。なにがすごいって、江藤淳 吉本隆明 大江健三郎の御三人ずーっと出ずっぱりですよ、このあと。江藤は最近死んだけど。これは彼らが偉かったことだけでなく、彼らが構築した戦後文学空間に彼らが必須だったっていう一面もあるのではないでしょうか? 江藤淳や吉本隆明の現状否定派が主流となってしまう現実。 ちなみに吉本は最近、中学生に向けて本を書きました。中学生のための社会科。
で、『われらの文学 22 江藤淳 吉本隆明』の存在を知ったのでさっそく古書検索。あっただよ。
内容は;江藤は「小林秀雄」、「夏目漱石」、「アメリカと私」、吉本は「マチウ書試論」、「丸山真男論」、「転向論」のひとり3作づつ、計6作の評論。
うれしい。とても充実している1冊。江藤の作品はよく読んだがおいらの流浪の生活で今手元になかったのでうれしい。吉本の3作品は孫引きではよく見るものだが今回まじめに読もう。特に「丸山真男論」。そもそも、絓秀実を読んだのは「戦後民主主義批判」について調べていたからで、その「戦後民主主義」主流こそ丸山真男にほかならない。ここ四半世紀のポストモダンにせよ西部邁流の「保守」思想にせよ佐々淳行流の実務派による空論民主主義批判にせよ、まずは「丸山真男」を仇役としている。
ちなみに、いまだに丸山を寿ぐweb siteの一例 があります。とてもinformativeですよ。
この本の発行年は、ビートルズ来日の年です。
http://blog.goo.ne.jp/ck1956/e/67d04adb47863a7e7295700a6e0d7df5