alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

ワインに触れる

2010年09月04日 | フランスの食文化


 「飯田さん フランスにいるからには
美味しいもの食べてるんですよね?」と
昔 留学していたときに たまに
パリにきた年上の日本人にきかれたりしていたけれど
そう言われてみる度に はて、美味しいもの、、、?
と思ってた。うーん クロワッサンに
パンオショコラ?あとカフェクレームか。

 だけど私は学生だったから
いわゆるまともなフランス料理だなんて 
食べる機会もほとんどなくて だから
何のことだかわからなかった。

 しかも私はお酒が得意じゃなかったし
ましてやワインはあまり美味しいとも
思えてなくて 何か集まりがあるときも
選び方すらわからないから
とりあえず安くていいや と
あまり美味しいのを飲んでこなくて
「フランスにいるのに美味しいワインを
飲まないなんて!」とたまに嘲笑的な目で見られてた。


 でもさー ワインって美味しいかなあ
と 思っていた訳なんだけど


 なんでなんだか 6月にフランスに行った際には
急にワインに興味をもって せっかくだから
少しは勉強してみよう と そんな気持ちになっていた。


 おそらく私にそんなモチベーションを抱かせる
かなりのきっかけになったのは 
私が一緒に仕事をちょっとさせてもらってる
Paris-bisrtot.comというサイトをつくっている人が
私がパリにもう少し残ると決めた時
「それならせっかくだからコンフェランスドゥラプレス
というのに行ってみる?フランスの食物を知るのには
いい機会だよ ワインとかチーズとかソーセージ
なんかについての話をする集まりでね きっと
ミキには何のことやらわからないだろうけど
機会としてはいいかもしれない」と誘ってくれたからだろう。



 はっきりいって その電話では
コンフェランスドゥラプレスというのが
何を意味しているのか全くわからなかったけど
うーんいろんな製品が見れたりするのかな?
小さな見本市みたいなものか?と想像をして
「行きます!」と言ってみた。


 じゃあ木曜4時にマドレーヌでね と言われたものの
直前に彼から電話がかかり「申し訳ないけど
急用ができてどうしても行かれないから
悪いけどミキ一人で行ってみてくれる?」と言われてしまう。
えええ!!!と思ったものの もう私は
会場のほぼ隣まで行っていたから ここは
勇気を出してみるか!と重い扉をあけてみた。


 それが悪夢のはじまりだった。


 「あの、、コンフェランスドゥラプレスに来たんですけど、、」
と受付で話をすると「はあ?あなたが?」という顔をされ
説明をして2階にのぼると またしても「はあ?」という
顔をされながら席につく。え?なんか ここ
教室みたい そうあの悪夢のパリ政治学院の
小さな小さなあの教室で みんながフランス語をしゃべってる、、、


 そして会がはじまって お偉いさんが
「どこどこのワインのなんたらという仕組みが
変わることになりました くわしくは明日発表が、、、」と
話をしてる?は?AOC?アペラシオンって何のこと?
グランクリュって?大きな、、、生?
(ポワソンクリュは「刺身」でジャンボンクリュは「生ハム」)
まったくもって意味がわからない。ヒエラルキー?何の?
これほどまでに言葉が全くわからないのは
シアンスポーの授業以来で 本当にあのころの
授業のように 急に私の心臓はドキドキしはじめ
息は苦しくなってきて かなり危なくなってきた。


 なんなんだろう 私けっこうフランス語
やってきたと できるようになってきたと
思ってたのに それは錯覚だったのか、、
何もかもがわからないから もう病的に眠くなり
早く終われ!!としか思えない
あきらかに専門的なフランス人ジャーナリストの集まりの中で
わけのわからぬ日本人がただ一人。
わからなくっても仕方ないでしょう
きっとあなた方はそう思うとは思えども
どう振る舞えばいいのかすらもわからずに
ただただこの場を去りたいと願う。


 ええい もう やっぱり行こう!


 そう思った2、3分後 会は終わるきざしを見せて
ほっとしながらさよならを言って席を立つ。



 これほどまでに 屈辱的に何もかもわからないのは
一体どうしてなのだろう どうしたらいいかわからないけど
とりあえずこの足でオペラにいって ブックオフで
ワインの本でも見てみよう。 なんだかそういう気になって
そうして私はよせばいいのに フランス語のワインの
本を買ってみて それから会った友人たちに
ワインのことを教えてもらって そうしてそれが始まった。

神の雫(1) (モーニングKC (1422))
オキモト・シュウ
講談社

(フランスで教えてもらったワイン漫画
これでいろんなことを知りました)



 この日は本当に何一つ 私は知らなかったけど
それから3ヶ月が経った今 少しはワインのことを知り
沢山の人に助けてもらって へーワインって
こんなに美味しく飲めるんだ!とか
こうやってラベル読むんだとか、 へーこれはこんな味なのかと
だんだんと 楽しめるようになってきた。
みなさん本当にありがとう。

 そしてフランスにおいて ワインがある生活を
するというのと ワインのない生活をするというのは
雲泥の差があるなあということに
今になってようやく気づいた。
だっておいしいワインはとても美味しい。
それに美味しい料理があったなら
それは本当に幸せで 忘れられない瞬間になる
クロワッサンだけ食べてちゃだめだね
フランスには「生きる喜び」というような類いの
言葉が沢山あるのだけれど 公園で一人
サンドイッチをかじっているのと 誰かと一緒に
美味しいワインとご飯を食べるのじゃ
「生きる喜び」が全然違う。





 そしてそんなワインをもうちょっと知るために
今日は京都で開催中のフランス映画祭
(つい最近その存在を知ったのだけどかなり面白そう)
上映されてた'Mondovino'を観てきました。

モンドヴィーノ [DVD]
クリエーター情報なし
東北新社


たくさんの人のおかげで少しは知識もあったので
すごく得るところが大きくて
とってもフランス的な映画で
その表現の仕方とか その皮肉っぷりと
ユーモアだとか そのアンチグローバリゼーションや
生産者の人の頑固さだとか でももはや
ものすごくインターナショナルで
でてくる人たちの何人も が
さっきまでフランス語でしゃべってたかと思うと
イタリア語でしゃべっていたり 英語になったりと
バイリンガルに生きていて さすがだなあ!と
思わされる。とってもグローバルな視野の映画で
日本人にはあっちいったりこっちいったりで
大変な感じがするだろうけど 日本の外に出てみると
他の世界は もうこんな感じになってるんだな
アメリカいったり イギリス行ったり イタリアの土地を
買ってみたり 世界はめちゃくちゃグローバルな
つながりの中で動いてて それを動かす人たちがいる
それに抵抗する人たちもいる
でもどっちにも言い分があり 納得できる
その両面をそなえているのが まさにフランス なのかなあ。


 カフェだけでなく 子育て 家族 ワインに
アンチグローバリゼーションに 哲学 文学
絵画に社会変革に? やっぱり私にとって
フランスのことを知ることは とっても意味があるようで
少しずつ 学んでいったら ここでも還元できるかな?
沢山の問題を抱える中で 彼らは彼らで動いてく。
何が正解なのかだなんて 誰もわからないけれど
それでも彼らは声をだし デモやなんかをやってみる。
そこから変わることがあるから もっといい
暮らしがあるのかもしれないのだから
そんな姿勢が私は好きだ。


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