alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

ニュータウンという小さな街で

2010年11月07日 | 私の人生

 フランスに前回行ってたときに
「平成狸合戦ぽんぽこ」や日本のアニメを
なんとなく フランス語吹き替えで話されるままに
目にしていたら パリから遠く想いをはせる
日本の田舎の光景は やたらめったら美しくって
だけどそれらが破壊されてく その後に
つくられたのは ニュータウン。


 パリのアパルトマンの一室で
日本の団地の絵を見せられると
なんだかとても形容しがたい奇妙な感じを
覚えてしまって だけどそこで描かれていた
しっかりくっきり描かれていた 日本のアニメが
描いた団地の風景は まさに京都の自宅そのもので
なんだかそれに とても違和感を感じていたのを覚えてる。


 そんなニュータウンという街も 
こちらは35年が経ったらしくて
たくさんの問題があり それをなんとか
解決しようと 「洛西ニュータウン創生委員会」というのが
できたらしい。それで今日はそのお祭りで
近所のカフェのおじさんが「君、本売るかい?
よしわかった、じゃあ頼んどくわ!」と
ブースをとっておいてくれ
こんなところで売れる訳が、、、と
思いながらも ドタバタと支度をして
徒歩圏の中心街に向かって行った。



 さてお祭りがはじまると 
案の定私の本は売れるわけもなく
だってとなりで100円とか30円とかで
ものを売っているというのに
1冊2500円もして しかも
なんだか難かしそうで
しかもパリ?それも昔の?
なんでそんなの ここで売るわけ、、、?
そんなの通りすがりに興味ないよ!
朝市の野菜買いに来たついでに寄っただけだよ!
みたいな感じ(どころか見てももらえない)なのだろう。


 というわけで はじめの2時間くらいは
両脇で沢山売れるお店の人たちをうらやましく
眺めては ネガティブモードの私は
来たことを後悔してたのだけれど
最終的にはそのカフェのおじさんたちの尽力で
なんと4冊も売れました!!
まわりの人も自分ごとのように喜んでくれました。
本当にありがとうございます!


 さて、そんな流れの中、いつもお世話に
なってるカフェのおばさんが「うーん
あの人なら売れるかも」と狙いをつけて
「あの人ね 京大の学生さんなの」と
教えてくれる。「いやあ学生さんは
いっつも「お金ないんです」って
断られますよ」と言ってはみたけど
おばさんは彼らのところに言ってくれ
なんだか話を聞いてくれてるみたいだったから
私も後を追ってって ちょっと話をすることにした。


 そうしたら話が合うのなんのって!!


 いたの?!こんなところにこんな人!(涙)
彼らは京大桂キャンパスの建築学部の
院生らしく なんと洛西ニュータウンの
まちづくりの研究をしてるんだそうな!
そんな若い人がいるなんて、、、
研究してくださってありがとう、、、


 洛西なんて だあれもしらない
西京区なんて(めちゃくちゃ素敵なお寺があるのに)
ガイドにはまるで載ってない。
「京都人」でも 「は?洛西?」
やっとそんな言葉をみつけたかと思っても
それは嵐山あたりのことだったりで
こちらはてんで無視されている
それにやっぱり何にもないし
「京都人」たちも「ごめん 遠いからちょっと行けない」と
引っ越してからは一度きてくれたらいいほうで
(多分最初で最後なのでは?三条の家とは大違い!)
なーんで こんなとこ 引っ越してきちゃったのかな と
最初は後悔ばっかりだった。


 でも少しずつ 市内に出るのもめんどくさくて
それなら徒歩圏をもっと楽しくするしかないと
カフェの人たちと仲良くしたり なんやかんやと
顔出してみたり そーんなことをしていたら
あれ?まだ2年しか住んでないのに
今日私は驚いた。
この街で 「カフェ文化研究家」なんて
名乗ったことは一度もないから
この街で は 私は旦那の名字で呼ばれる
専業主婦でしかないわけで 蓮太郎のママなだけだから
そんな私が 今日は本を売っている
それも中古の本ではなくって
自分が自分で書いた本。
それを見られるのが恥ずかしくって
私はいろんな人を避けていた。


 あ やばい 目をそらしとこう、、、
あ あの人もきてるのか、、、
ちょっとばれないようにしよう 


 と なんでなんだか 
ついそんな風に思ってしまって
いろんな人を見ていたけれど
よく考えたら それだけ私は
この街に 知り合いがいるということなんだ。
「友達」か?と問われれば 
「友達」なんて ほとんどいない かもしれない。
でも不思議なことに 挨拶できる
知り合いの人は沢山いてて
スーパーではあの人とあの人に会い
お祭りでは何人もの人を見かけて
なんだか不思議だ こんなことって
うまれてはじめてかもしれない。


 たった2年だけなのに
よく頑張って来たんだなあ、、、
そしてはじめて私はこの街の中で自分を出して
ママサークルの人にもちょっとばれ
ヨガのおばあちゃんも「あらまあ!これ
あなたが書いたの!!」と本を気前よく買ってくれ
そうして出会った京大の人たちと意気投合して
語ってしまった。なんだか不思議な出会いだなあ


 こうして沢山の人と知り合いになり
沢山の人が声をかけてくれるようになり
(これらはひとえに蓮太郎のおかげです)
もしかして もう一歩くらい どこかに
進んで行けそうな 何かは変わってゆくのだろうか
本当は沢山の人的資源がある街で
人と人がお茶をのんでゆったりとつながりあったら
もっと面白い街になるのだろう
私が発してきた小さな声は
どこかに響いていくのだろうか
ちょうとうまいこと研究と
私の置かれたこの立場 が
ピタッとリンクしてくれたなら
きっと私がここに来た意味もあるのだろう。


 私が活き活きするときは
言葉に火がついたときであり
言葉に力がこもったときで
今日はそんな会話が何度かあった。
私はカフェを通してもっと社会を良くしたい。
だってカフェは沢山の人を救えるはずで
相互作用を生み出してくから
そんな場が 社会にもっと増えたなら
それが私の想いなのだろう
私はほんとはもっと語っていたいのだろう
誰かに向けて声を発していたいのだろう
わかってくれる人がいる
ピンと来てくれる人がいる
うすうす感づいている人がいる
そんな人たちに「そうです カフェです!」と
私はいいたい。そうして何もないようなところから
何かがうまれていったらいい。

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