親孝行のつもりで
月に一回は屋久島に里帰りする
1人では島に行けない母親だから
たったの一泊二日だがお供する
僕に与えられた限られた時間の
唯一の親孝行の一時だ
母は
その後一週間ほど屋久島の家に残り
1人で鹿児島に帰ってくる
その僅かな時間を使って釣りに出た
久しぶりの釣りに
時間を忘れる母
釣り糸を垂れるだけの楽しみでもと・・・
思った矢先に
魚が食いついた
ベラに続いて
カサゴ(アラカブ)とカゴカキダイだ
数十年ぶりに
母の誇らしげな笑顔を見た
島の家には花がいっぱいだ
ゲットウの花に迎えられて
我が家に入ると
玄関には
真っ赤に咲き誇るベゴニヤ
庭にはオオタニワタリを囲むように
アガパンサスの花と
カノコユリが踊っていた
隅っこに隠れていたミョウガの花
ベランダを覆いかぶさる時計草(パッションフルーツ)
長生きをしてくれと
長命草(ボタンボウフウ)が
両手両足を広げたように
ボタンのような
真っ白な花を咲かせるために
蕾を一杯に抱えていた
屋久島の我が家は
僕らの帰島をいつも歓迎してくれる