語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】現代社会の落とし穴 ~過失の谷~

2015年04月22日 | 詩歌
 誰にも咎められずに
 工場のなかにきた
 焼鈍炉があって
 輻射熱を浴びた
 その先は
 材料置場で
 整頓された五ガロン罐の山
 攀る
 それは空虚の堆積で
 わたしの体重を支えない
 ひとつが崩れる
 連鎖反応を示す
 五ガロン罐の山が崩れ去り
 つぎには耐火煉瓦の山が崩れた
 もはやでるにでられぬ
 守衛にみつけだされよう
 相手は過失を許すまい
 隠れ逃げ終せなければならないが
 過失を
 犯罪に
 仕上げるために
 五ガロン罐と煉瓦の山は
 谷底に崩れつづけた

□関根弘「過失の谷」(『唱和詩集(2) ~日本詩人全集34~』(新潮社、1969)
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