語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】&鈴木琢磨 情報力:メモ・ノート・スクラップ帳の使い分け

2018年01月06日 | ●佐藤優


(1)メモ
 後の管理が面倒になるから、小さなメモ帳はまったく使わない。メモは、居酒屋の箸袋など、ありあわせのところに書いている。数字や固有名詞を書きおく程度でよい。録音や撮影ができる場合、メモをとる必要はない。企画の思いつきや発想をちょっと書いてポケットに入れておく程度で十分だ。自分の、裏が真っ白な名刺を小さなメモ帳代わりに使っている。名刺は、掌におさまって目立たないし、その紙は使い勝手がよい。【鈴木】
 会話中にメモをとるなら、キーワード、固有名詞、数字くらいに限ったほうがよい。小さなメモ帳をいつも必ず持ち歩いている。自分の記録用ではない。自分の住所を書いて相手に渡すとか、こちらの話を外国人が聞き取れないようなときに固有名詞や日付を書いて渡す。小さなメモ帳は、ロシアで外交官に就いていたときは必携だった。会話が盗聴されている可能性があるため、筆談に必要だった。そのときの習慣がいまでも残っている。小さなノートを折々利用している。【佐藤】

(2)ノート
 取材にはノートを持参する。ひとつのテーマについては、なるべくノート1冊で終わるようにしている。【鈴木】
 現役の外交官時代、日常的に使うノートには通し番号をつけて管理していた。たとえば、エリツィンの生まれ故郷エカテリンブルクに出張したとき、A4版ノートを2、3冊使った。テーマ別のノートも使っていた。たとえば、ゲーデルの不確定性定理を少し勉強しようと思ったときには、ノートの表紙に「ゲーデル」と書いて1、2冊つくる。しかし、いまではメモをとる量が圧倒的に減ったので、厚めの1冊のノートに統合し、これだけで済ませている。その日に食べたもののメモから、語学の練習問題の答まで、何でも書く。できるだけ情報整理にかける時間を短くしている。【佐藤】

(3)スクラップ帳
 アトランダムにスクラップする。スクラップ帳には、いろいろなものが張り込まれている。他人が見たら、わけのわからないムチャクチャなものに見えるかもしれない。「貼りまぜ帳」だ。インターネットで拾えるような情報をわざわざスクラップしても意味はない。たとえば、「北朝鮮で最近アイスクリームが発売された」といった話が新聞に載っていれば、漏らさずスクラップする。北朝鮮関係者に「アイスクリームが発売された」という話題を提供すれば、その話が呼び水となって情報が引き出しやすくなる。人にインタビューするに当たり、そういう素材をどれだけ蓄積しているか、だ。相手がニヤッと笑い、思わず本音を語り始めたら、しめたものだ。【鈴木】

(4)情報の活かし方
 新聞記者は、つねに細かな生の情報を収集しながら、つねに記事を考えなければならない。むろん、情報をただたくさん集めたところで、記事に結びつくとは限らない。しかし、「北朝鮮に立ち飲み屋ができた」という情報は、単発では記事にならなくても、企画によってはそのエピソードがスパイスのように効いてくる。北朝鮮のいまが見えてくる。【鈴木】

□佐藤優/鈴木琢磨『情報力 -情報戦を勝ち抜く“知の技法”-』(イースト・プレス、2008)の「第4章 膨大な情報を瞬時に捌く『整理力』『勉強力』」
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