語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【メディア】他社の誤報は叩き、身内の誤報は隠すのが得意技 ~産経新聞~

2016年06月25日 | 社会
 (1)「産経新聞」は、他社の誤報には容赦なく批判を加える。特に論調が自分と異なる社などの場合は、小躍りしているかのようなはしゃぎようだ。
 2014年8月に、「朝日新聞」が「従軍慰安婦」関連の記事を取り消した時が、正しくそれだ。
 しかし間もなく「産経」自身が同様の“誤報”を垂れ流していたことを指摘され、大恥を晒した。その様子は、「週刊金曜日」に掲載された植村隆氏の体験記に詳しい。

 (2)「産経」も誤報記事を掲載しているのに、他紙の誤報を責めることを、「産経」は繰り返している。
 1996年7月のアトランタ五輪でマラソンの有森裕子・選手が銅メダルを獲得した時のことだ。同選手の言葉「自分で自分をほめたい」は、同年の「新語・流行語大賞」を受賞するなど、レース終了直後から注目され、広く話題になった。
 「産経」の同年7月30日付けコラム「産経抄」は、「一部新聞ではこれが『自分をほめてあげたい』と記述されている。困った“改悪”である」と決めつけた。
 しかし、「産経」自身、前日29日の社会面では正確に伝えたものの、スポーツ面は違っていた。そこには「自分で自分をほめてやりたいと思います」とある。
 「産経抄」は、「せっかく有森さんが折り目正しい日本語を使ったのに」と他紙を批判していたのに、だ。この件で「産経」は訂正も謝罪もしていない。

 (3)今回また、「産経」はアンフェアな報道をしでかした。
 6月10日社会面の「八重山日報特約」記事だ。元米海兵隊員の事件に抗議する19日の県民大会に関し、石垣市議会が会場の変更を求める決議を7日採択したという。大会が那覇市・奥武山(おうのやま)陸上競技場で開催される。これに合わせ、高校野球沖縄大会の試合場が、隣接する沖縄セルラースタジアム那覇から他に移された。決議は、このことを不当としている。
 離島の高校チームは旅費負担などから、開会式直後に試合日程が組まれる。その大会初日にプロ野球の公式戦にも使用される球場を政治的集会で使えないのは、球児の夢を壊すものだ、と決議にある。

 (4)一見もっともに思える。
 ところが、同決議は沖縄大会の初日18日を19日と取り違えているものだった。多数決で決議を強引に採択した自民党系議員は立ち往生の状態にある、と8日の県紙2紙は伝えた。
 だが、石垣島の「産経」系「八重山日報」は、決議文のまま8日の一面トップで大きく伝え、誤りを拡げた。

 (5)離島の高校生の立場を代弁したはずが、事実の取り違えで恥をさらした同市議会の保守系会派。沖縄唯一の保守系新聞を自称し、「産経」傘下に入った「八重山日報」。ともに尖閣諸島問題で強硬方針を掲げる中山義隆・石垣市長を支持している。
 中山氏は、2010年の市長就任時の施政方針演説が、小田原市長のパクりだったことで知られている。
 共通しているのはズサンさだ。
 「産経」の記事では、日程取り違えの件に全く触れていない。論調を同じにする者の恥は隠すということだ。

□高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)「他社の誤報は叩き 身内の誤報は隠すのが『産経』の得意技」(「週刊金曜日」2016年6月17日号)
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1 コメント

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Unknown ( 武尊)
2016-06-25 14:48:26
惨剄新聞社は他の社や記者が賞を取ると「ボクそんな賞、ホチクナイモン。」と駄々を捏ねるのも得意(笑)
まるで何所かの首相みたい。困ったもんだよな、、。
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