語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~

2013年04月20日 | 社会
 (1)水利省などの調査によれば、中国の19の省の中心都市の4割で地下水がひどく汚染されている。【中国誌「南風窓」、2013年3月】
 2011年には、中国誌「新世紀」が、中国のコメの1割がカドミウムに汚染されている、という南京農業大学の調査結果を伝え、衝撃を与えた。別の試算によれば、毎年1,200万トンの穀物が重金属汚染にさらされている、という。
 汚染で退化した耕地は、絶え間なく増えている。経済が発展した南部の地域では、4割の田畑で重金属が含まれる濃度が基準値を超えている。【環境保護省が北京市内のビルの一室に設けた展示、一般公開はしていない】

 (2)中国政府も、中国の空気、水、土の汚染を認めざるを得なくなっている。
 中国内の川、湖、海、野生動物、人体から多種の化学物質が検出されている。内分泌を攪乱する物質が高い濃度で存在しているケースもある。化学物質がもたらした深刻な公害病が発生している(これまで見ないふりをしてきた)「癌村」の存在も認めた。【環境保護省が2月に発表した化学物質リスク管理計画】

 (3)水、空気、土が汚れている場所では安全な食べ物は育たない。エビアン水でも輸入して野菜、米を水栽培するしかない。【北京の環境NGOの幹部】
 しかし、そのエビアン水も偽物が横行している。
 乳幼児が被害を受けたりメラニン入りの粉ミルク、廃棄物から作った有毒油(地溝油)が流通している。高級スーパーで売られている通常の2~数10倍の価格の有機野菜でさえ懸念しつつ買うのが実情だ。
 共産党の幹部が子息を外国に送るのは、懐のカネを安全な場所に移す拠点を作りたい思惑もあろうが、我が子を安全な環境で育てたい思いもあろう。【北京の環境NGOの幹部】

 (4)中国産「危険食品」小史
 2002 中国産冷凍ホウレンソウから基準を上回る農薬クロルピリホスが検出され、回収。
 同年  中国製やせ薬を服用し、肝機能障害、甲状腺障害などで死者が出た。
 2005 中国産ウナギから発癌性物質マラカイトグリーンが検出された。
 2006 パナマで、中国産原料使用の風邪薬服用による死者が出た。
 2007 モンゴルや中国で、中国産インスタントラーメンを食べたことによる死者が出た。
 同年  北米で、中国産原料を使ったペットフードを食べた犬や猫が大量に死亡。
 同年  中国で製造されたおもちゃ「機関車トーマス」の塗料から鉛が検出された。
 2008 中国製冷凍ギョーザを食べた10人が食中毒に。ギョーザから農薬成分メタミドホスが検出された。
 同年  中国などで化学物質メラミンが混入した粉ミルクが出荷されていたことが明らかになった。 
 同年  中国産冷凍インゲンから農薬ジクロルボスが検出された。
 同年  米国で、中国産材料を使った薬剤ヘパリンを注射された人の死亡が相次いだ。
 2010 下水道の汚水を精製するなどして作られる食用油が出回っていることを初めて中国政府が認めた。
 2012 ドイツで、中国産冷凍イチゴを食べた1万人の子どもがノロウィルスに感染し、下痢、嘔吐。
 2013 上海で1万頭を超す豚の死体が発見された。

□吉岡桂子(朝日新聞編集委員)「「黒心食品」発生の現場 ~習近平新体制が背負う重い課題」(「AERA」2013年4月22日号)

 【参考】
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
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