薬罐だつて、
空を飛ばないとはかぎらない。
水のいつぱい入つた薬罐が、
夜ごと、こつそり台所をぬけ出し、
町の上を、
畑の上を、また、つぎの町の上を、
心もち身をかしげて、
一生けんめいに飛んで行く。
天の河の下、渡りの雁の列の下、
人工衛星の弧の下を、
息せき切つて、飛んで、飛んで、
(でももちろん、そんなに早かないんだ)
そのあげく、
砂漠のまん中に一輪咲いた淋しい花、
大好きなその白い花に、
水をみんなやつて戻つて来る。
□入澤康夫「未確認飛行物体」
【参考】
「【読書余滴】「わたしのいつた国」 ~擬物語詩の神秘~」
「【読書余滴】わが出雲・わが鎮魂」
「【読書余滴】現代詩における心中」
↓クリック、プリーズ。↓
空を飛ばないとはかぎらない。
水のいつぱい入つた薬罐が、
夜ごと、こつそり台所をぬけ出し、
町の上を、
畑の上を、また、つぎの町の上を、
心もち身をかしげて、
一生けんめいに飛んで行く。
天の河の下、渡りの雁の列の下、
人工衛星の弧の下を、
息せき切つて、飛んで、飛んで、
(でももちろん、そんなに早かないんだ)
そのあげく、
砂漠のまん中に一輪咲いた淋しい花、
大好きなその白い花に、
水をみんなやつて戻つて来る。
□入澤康夫「未確認飛行物体」
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「【読書余滴】わが出雲・わが鎮魂」
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