語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】委員の欠格 ~原子力規制委員会の記者会見~

2012年10月01日 | 震災・原発事故
(1)欠格条項 ~原子力規制委員会設置法~
 (a)第7条第7項(欠格となる前歴)
   (第3号)原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理若しくは廃棄の事業を行う者、原子炉を設置する者、外国原子力船を本邦の水域に立ち入らせる者若しくは核原料物質若しくは核燃料物質の使用を行う者又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)若しくはこれらの者の使用人その他の従業者
   (第4号)前号に掲げる者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)又は使用人その他の従業者

 (b)第11条第3項(兼業禁止)
  委員長及び委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

(2)原子力規制委員会の委員
 (a)委員長・・・・田中俊一(高度情報科学技術研究機構顧問/元・日本原子力研究開発機構東海研究所所長/元・原子力委員会委員長代理)
 (b)委員・・・・中村佳代子(前・日本アイソトープ協会プロジェクトチーム主査)、更田豊志(前・日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長)、大島賢三(元・国連大使)、島崎邦彦(地震予知連絡会会長)

(3)記者会見における委員答弁
 原子力規制委員会は9月19日に発足した。同日の記者会見における質問に対する回答は次のとおり。
 (a)田中俊一
   Q:副理事長を務めていた放射線安全フォーラムは、過去、原子力事業者から得た金銭の流れをすべて明らかにすべきではないか、という指摘が、市民団体等から出ている。それを明らかにする考えはあるか、ないか。 
   A:<私が決めることではないですから、それはここでお答えできません。>
   Q:原発の新増設を認めるか。
   A:<申請があって審査を求められれば対応する。その義務はある。>

 (b)更田豊志・・・・日本原子力研究開発機構は「もんじゅ」を設置
   Q:委員の欠格要件に当たるのではないか、との疑問が出ている。引き受けた、という事実は、自分では欠陥要件に当たらない、と判断したことと思う。その理由を具体的に教えていただきたい。
   A:<これはあの、私自身がどう考えるかというよりも、お話をいただいた時に、言ってみればその、欠格かどうであるかということは、その選ぶ側の基準ですので私自身は、その欠格であるのならば、お話がそもそも私のところにないであろうと、そう受け止めました。><自分自身その虚心坦懐に欠格に当たるかどうかということですが、(略)25年半、あのー、日本原子力研究開発機構に勤めておりましたけれども、そのうち半年間を除いて25年間、安全研究センター、または安全性試験研究センターという、いわゆる安全研究に重視をしておりました。><十分に、ちょっと上手い言葉が見つかりませんけれども、隔離された組織です。><まぁむしろ事業者から、これまでも煙たがられてきたという自覚を持っております。えー、そういう意味で、自分自身欠格に当たるとは考えておりませんし、またその基準というのは、その選ぶ側におありになるんだろうと考えております。>

 (c)中村佳代子・・・・日本アイソトープ協会は医療用放射性廃棄物処理工場を運営
   Q:委員の欠格要件に当たるのではないか、との疑問が出ている。引き受けた、という事実は、自分では欠陥要件に当たらない、と判断したことと思う。その理由を具体的に教えていただきたい。
   A:<アイソトープ協会に3年間勤めさせていただきましたが、そこでの仕事というのは放射線に関して、等しく情報を皆さんと共有するという仕事をずっと行ってまいりました。そのことに対しても一点の曇りもなく、アイソトープ協会が規制の対象を受けるような立場かもしれませんけれども、そういったことを杞憂して、なにか自分の信条を曲げたことも一切ありません。したがいまして欠格条件というふうに言われることに対しては合点がいきませんし、これから先もわたくしが今まで貫いてきた信条を透明性をもってきちっとお伝えしていくつもりであります。>

 以上、伊田浩之(編集部)「私たちを愚弄する民自公の原発推進翼賛体制」(「週刊金曜日」2012年9月28日号)に拠る。

 【参考】
【原発】原子力規制委員会委員案の違法性 ~欠格人事~
【原発】天下り容認の規制庁人事 ~民自公修正談合~
【原発】規制委員会委員長候補は「原子力ムラ」の中心人物
【原発】秘かに進行する全原発再稼働計画
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