語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【心理】ネット依存の恐怖 ~全国で270万人~

2012年06月01日 | 心理
 昨年11月頃、東京で一人暮らしをしていた大学2年生の男性が自決した。
 その原因は、大学の友人いわく、「ネット上のトラブル」だ。ネットに対して異常なまでに執着していた男性の部屋には3台のパソコンがあり、ネットからダウンロードしたと思われるアニメ画像やゲームが数え切れないほど出てきた。

 いま、全国の医療機関や教育現場に、こんな事例の相談が後を絶たない。
 夏休みに、毎晩、深夜2~3時までネットをしたら、2学期から学校へ行けなくなってしまった、という小学生。
 ネット上での交遊関係のほうが大切、と学校での人間関係を一切遮断してしまう高校生。
 こんな事例は珍しくない。

 子どもだけではない。
 夫が携帯のソーシャルゲームにはまって会社に行かなくなり、生活保護を受けている一家。
 育児を放棄してまで熱中してしまう母親。
 こんな相談が年々増えている。

 なかには、やめさせようとする家族への暴力まで発展しているケースも多い。
 ①月額使用料やゲーム内でのアイテム課金がどんどん高額になる。 ⇒ ②食事や睡眠を削ってまでネットをする。常にネットのことばかり考える。 ⇒ ③登校・出社拒否、ゲームやネットを取り上げることで、家族への暴力に発展。 ⇒ ② ⇒ ③ ⇒ ・・・・

 対策や治療法の確立は、遅れている。
 昨年、国立病院機構九里浜医療センター(アルコール依存症の治療実績のある)に「ネット依存治療部門」が設置された程度だ。
 ネット依存が疑われる人は全国で270万人と推定される。しかし、定義もまだ決まっていない。実態がわからない。【三原聡子・九里浜医療センター臨床心理士】
 ひょっとしたら自分も、と思うは、九里浜医療センターが作成した「インターネット依存度テスト」でチェックできる【注】。

 韓国は、2002年から政府主導で対策に動いている。昨秋、16歳未満の深夜0時から朝6時までのオンラインゲームを禁ずる法律(通称「シンデレラ法」)が、ゲーム業界の猛反対を押し切って施行された。
 シンデレラ法だけで依存が解決できるわけではないが、依存はよくないという感覚を養うだけでも意義は大きい。【清川輝基・NPO法人子どもとメディア代表】

 【注】九里浜医療センター ネット依存治療部門(TIAR)

 以上、記事「若者を中心に全国で270万人 無視できないネット依存の恐怖」(「週刊ダイヤモンド」2012年6月2日号)に拠る。

   *

<事例>未成年への高額課金
【Q】携帯電話会社から会社に電話がかかってきた。最近、深夜の時間帯の利用料金が高額になっている、このままでは今月の利用料金は10万円を超える、云々。
 これまで、携帯電話の請求はせいぜい2万円だった。娘がスマートフォンに替えて以来、金額が徐々に高くなっていた。あわてて娘に問いつめると、母親の名義を使って「ソーシャル(交流)」ゲームに登録、夜な夜な遊んでいたのだ。
 契約の取り消しと返金は可能か。

【A】未成年のトラブルの場合、民法により「未成年者契約の取り消し」が主張できる。とはいえ、ゲーム会社の多くは、未成年が契約する際には保護者の同意を求めている。「保護者の同意があった上での高額課金」となれば、これまで契約の取り消しや返金は困難だった。
 しかし、このようなケースが余りにも増えてきている。ゲーム会社も対応を変えてきている。
 すでに支払っている場合でも、戸籍謄本などの公的書類で未成年であることを証明できれば、契約の取り消しと全額返金に応じることもある。
 消費生活センターや弁護士に相談することで、解決する場合もある。

 以上、記事/法律監修強力:高木篤夫・ひかり総合法律事務所弁護士「もし被害に遭ってしまったら 自衛マニュアル徹底解説」(「週刊ダイヤモンド」2012年6月2日号)に拠る。
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