語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>官邸の対応は業務上過失傷害

2011年07月04日 | 震災・原発事故
 若狭勝弁護士(54)は、元東京地検特捜部検事で、横浜地検刑事部長・東京地検公安部長を歴任したヤメ検だ。
 官邸の原発対応は、理論的には業務上過失傷害に問われる、という。

 (1)原発事故後、ケガをした人がいる。3月12日に水素爆発が起きた後、原子炉建屋内にいた東電社員2人、協力会社員2人、計4人が負傷した。その後敷地内で自衛隊員や消防関係者もケガを負っている。
 (2)事故処理で大量に被曝した作業員に今後健康被害が生じた場合、業務上過失と捉えることができる。

 官邸のみならず、東電や原子力安全・保安院なども同様に罪に問われる。
 いわゆる“過失の競合”に当たる。<例>焼き肉チェーン店のユッケによる集団食中毒事件は、店側と卸売業者の双方に過失があった、と見られる。それぞれの立場で罪が併存する。

 若狭弁護士は、業務上過失傷害どころか、さらに殺人未遂罪も考えられる、ともいう。
 次のような場合だ。事故により放射能が大量に流出した。もしこれが白血病やガンになってしまうほどの放射線量だと分かっていながらパニックを恐れて放置、もしくは隠蔽していた場合、理論上、殺人未遂になる。
 3月12日、文科省が運営する「SPEEDI」は午後4時から毎時予測結果を吐き出していた。が、その情報は伏せられた。その間、避難区域は同心円で3km、10km、20kmと広がっていった。後に判明した「SPEEDI」の予測結果は、福島第一原発から北北西に細長い楕円形状で拡散していた。

 だが、殺意がないのに殺人未遂に問えるのか。
 問える。例えば電車の中に爆弾が仕掛けられて誰も気付かなかった場合、乗客の一人が気付いたものの、黙って次の駅で下車した場合、この人が一般のサラリーマンや主婦なら罪に問えない。だが、逃げた人が警察官や救命救急士などなら、“不作為の殺人未遂”が適用される。
 人命を守る立場の職業の場合、危険を察知しながらその場を立ち去ったり、情報を隠匿すれば罪に問われるのだ。
 国民の生命と財産を守る政治家であれば、当然、これに該当する。

 実際起訴されるかといえば、法律家の100人のうち9割以上が「難しい」と答えるだろう。原発事故による異常事態は平時とは違う要素があるからだ。しかし、原発事故に巻きこまれた人々は、“被災者”ではなく“被害者”だ。今後、責任の所在をはっきりさせることは絶対に必要だ。【若狭弁護士】

 以上、記事「ヤメ検が告発『官邸の原発対応は殺人未遂罪!』」(「サンデー毎日」2011年7月10日号)に拠る。
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【言葉】政治家

2011年07月04日 | 社会

 心すべきは、一般大衆と、一般大衆の代表者ないし代弁者をもって任ずる人とを、不用意に同一視しないように、ということだ。この両者は多くの点でちがった行動を、いや、正反対の行動をさえとるのだから。

【出典】G・W・F・ヘーゲル(長谷川宏訳)『精神現象学』(作品社、1998)
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