語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>官僚とメディアとの取引 ~官報複合体~

2011年07月24日 | 震災・原発事故
古賀 今審議されている賠償法案は、電力会社と株主と銀行を守り、国民にツケ回しするとんでもないもの。結局東電を今のまま温存しようとしています。
上杉 何か仕組みを替えようとすると、抵抗するのが官僚機構の常ですから。
古賀 ええ。今の仕組みが変わると、官僚にとっては天下り先がなくなったりとんでもなく損する可能性があるから抵抗するんです。(後略)

上杉 (前略)アメリカの「THE NEW YORKER」の言葉を借りれば、日本は政治と官僚、産業界、メディアが四位一体になった、核マフィア国家に成り下がっているんです。
古賀 その通りですね。
上杉 自民党は電力会社の集まりである電事連(電機事業連合会)、民主党は労働組合の電力総連から金をもらい、人も入っている。特に選挙の時がそう。さらにメディアは広告費と接待費で完全に骨抜きにされて、誰も文句をいえない。原子力推進が、利権というか国策の公共事業になっている。
古賀 だから、そういう電力会社とマスコミの癒着構造をなくすために、僕は「私案」に電力会社の広告を禁止しろと書いたんです。電力会社は競争をしていないのに、なぜ広告を出さなければいけないのか。/原発事故で東京電力があんなになって、もう広告は出せないかもしれないと思っていたら、いきなり大量のおわび広告を流し始めた。そして次に節電広告。あれは「俺たちはまだまだ広告を出すよ」というサインなんですよ、明らかに。
上杉 だから賠償法案が電力料金の値上げと増税に向かっているのに、メディアは批判するどころか、完全に同調しているわけです。
古賀 財務省はとにかく今すぐにでも増税をやりたい。しかも段階的に、永遠に増やし続けるみたいなプロセスにしようとしている。ここにはたぶんメディアと財務省との取引があるんです。消費税が20%、25%とかが視野に入ってきたときに、「新聞だけ低税率にしますよ」とか。逆にもし大手各紙が揃って増税反対といえば増税しにくくなるけど、「増税したあかつきには、お前らも同じ税率だからな」といわれてしまう。
上杉 とくに新聞社は、増税に反対するふりをしただけで、国税調査が入って追徴で何億円もとられましたから。そもそも朝日、読売、日経、産経、それにNHKも本社の土地は国有地の払い下げ。財務省に抑さえ込まれるシステムに、自ら入っていってしまったんです。
古賀 テレビ局も、別に電力会社にやめろといわれているわけでもないのに、その前に自分でセーブしているところがありますね。プロデューサーが「ちょっとやめておこう」みたいな。/逆に報道で間違ったことがあれば電力会社からいってきますが、電力会社ってガミガミ怒らずに「これからは、ぜひご配慮をお願いします」っていうんですよ。
上杉 霞が関もやりますね。記事に抗議なんてせずに、「ご説明したい」と。要は緩やかな圧力をかけてくる。僕だったら「ご説明」っていわれた瞬間に「官僚がご説明に来るらしい」って書いちゃうけど(笑い)。
古賀 財務省は今、消費増税キャンペーンで各テレビ局とかを回っていますよ。面白いのは、財務省幹部が局に来るときに、局の幹部が彼らを正面玄関から通して、わざと見えるようにするんです。僕は最近、あるテレビ局で見ましたが、財務省の偉い人が4、5人連れて局に入っていくと、正面玄関で某部長が待っていて、みんなが見てる前でお互いに丁寧にお辞儀する。部長からすると、「俺が財務省を呼んだんだ」となって気分がいい。
上杉 社内では「あいつは財務省と太いパイプを持っている」となれば、それでもう出世コースですからね。でも海外だったら財務省との癒着は記者としてマイナスで、社内で見せたりしたら首が飛ぶかもしれない。
古賀 普通の感覚なら、誤解を恐れて堂々とはやれない。それをわざわざ人に見せるために表玄関でやるなんて、本当にすごい。
上杉 まさに官報複合体。

 以上、古賀茂明vs上杉隆「『原発官報複合体』を撃て」 (「週刊ポスト」2011年8月5日号)から一部抜粋し、引用した。
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