よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

日本医師会も20ミリシーベルト問題を非難・糾弾

2011年05月15日 | 健康医療サービスイノベーション

5/12になってようやく日本医師会が文部科学省「福島県内の学校・校庭等の利用判断における 暫定的な考え方」に対する日本医師会の見解の見解を公表しました。日本医師会は、日本に居住するすべての人々の健康・医療サービスをキュア、ケアするなかで大きな影響力を持つ、専門職の最大職能団体です。(ときとして圧力団体にもなってきましたが)

<以下貼り付け>

平成 23 年 5 月 12 日 

文部科学省「福島県内の学校・校庭等の利用判断における暫定的な考え方」に対する日本医師会の見解 

 

社団法人 日本医師会 

 文部科学省は、4 月 19 日付けで、福島県内の学校の校庭利用等に係る限界放射線量を示す通知を福島県知事、福島県教育委員会等に対して発出した。 

 この通知では、幼児、児童、生徒が受ける放射線量の限界を年間20 ミリシーベルトと暫定的に規定している。そこから 16 時間が屋内(木造)、8 時間が屋外という生活パターンを想定して、1 時間当たりの限界空間線量率を屋外 3.8 マイクロシーベルト、屋内 1.52 マイクロシーベルトとし、これを下回る学校では年間 20 ミリシーベルトを超えることはないとしている。 

 しかし、そもそもこの数値の根拠としている国際放射線防護委員会(ICRP)が 3 月 21 日に発表した声明では「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、1~20 ミリシーベルト/年の範囲で考えることも可能」としているにすぎない。 

この 1~20 ミリシーベルトを最大値の 20 ミリシーベルトとして扱った科学的根拠が不明確である。また成人と比較し、成長期にある子どもたちの放射線感受性の高さを考慮すると、国の対応はより慎重であるべきと考える。 

 成人についてももちろんであるが、とくに小児については、可能な限り放射線被曝量を減らすことに最大限の努力をすることが国の責務であり、これにより子どもたちの生命と健康を守ることこそが求められている。 

 国は幼稚園・保育園の園庭、学校の校庭、公園等の表面の土を入れ替えるなど環境の改善方法について、福島県下の学校等の設置者に対して検討を進めるよう通知を出したが、国として責任をもって対応することが必要である。 

 国ができうる最速・最大の方法で、子どもたちの放射線被曝量の減少に努めることを強く求めるものである。 

<以上貼り付け>

(私の意見)

この声明のポイントは2点あります。つまり、「1~20 ミリシーベルトを最大値の 20 ミリシーベルトとして扱った科学的根拠が不明確である」から、20ミリシーベルトの根拠を示せ。そして、「国ができうる最速・最大の方法で、子どもたちの放射線被曝量の減少に努めることを強く求めるものである」ということ。

 このブログでは、文科省の「福島県内の学校・校庭等の利用判断における暫定的な考え方」について「メチャクチャ」と書きましたが、日本医師会でも、ようやく場当たり的な基準について非難声明を出してくれました。できればもっと迅速に、かつ既存メディア、ネットメディアに対して会見を行いプロモーションしてくれればよかったですね。

さて、診断をして治療をするというのが伝統的に医師の業務の中心でしたが、近年ではそのワークフローを前後に引きのばして、健康増進・疾患予防→アセスメント→診断→治療計画→介入→評価となりつつあります。

放射線物質が発する放射能の低線量被ばく、内部被ばくは、明らかに健康増進・疾患の予防に直結する課題です。今後30年以上に渡って続く、主として低線量被ばく、内部被ばくが引き起こす多様な疾患、健康被害に見舞われる患者を現場でキュア、ケアする医師の最大職能団体がこの声明を出したことの意味は大きいです。

権力から独立した大規模な医学・社会医学・医療管理・疫学・毒物研究調査スキームをデザインして、今後の健康被害の動向を科学的にフォローすることも大切です。いずれ、暗く、根の深い、陰湿な社会的な問題に発展することが必至なので、このさい、未来に向けたアクションを始めるべきなのです。

①子どもたち、これから生まれてくる赤ちゃんは、日本の未来です。②すぐそこに来ている未来の健康被害の動向を科学的にフォローすること。このように未来をケアしてもらえれば、日本医師会をポジティブに再評価したいと思います。

内に閉じた開業医中心の利益誘導、既得権益の維持だけではいけません。

 


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