よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

助産師の方々との語らい

2011年11月20日 | 健康医療サービスイノベーション

(講演のあと神奈川県助産師会の皆さん、美魔女群団?と)

夏は海外が多かったのですが、秋から冬にかけては大学での仕事に加え、国内、とくに関西方面での仕事が多く、行ったり来たりしています。ここ数年、面白いことに助産師の方々の集まりに呼ばれることが多くなってきています。

もともと健康・医療システムの中でも「ケアすること」への関心が強く、著作物も看護関係が多く、また社会イノベーション、アントレプレナーシップ支援もしているので「助産師の起業」というテーマには相性がいいのでしょうか。

11月の初めには神奈川県助産師会で「助産師のマネジメント力-勤務助産師も起業家になれる-」、先週は日本助産師会の大阪支部で「起業家の視点でとらえる助産所経営」について講演をしてきました。

私の講演は、よくあるような新しい知見や方法論を一方方向で伝えるというものではなく、参加者の方々とわいわいやりながら新しい知識をいっしょにわかち合ったり、高め合ったりすることになるべく多くの時間を使います。

さて、講演後の質疑応答では、皆さんの問題意識の強さと高さがひしひしと伝わってきます。また、講演が終わってからも主催者の方々と続きの議論に延々と花が咲きました。

問題は:

①そもそも少子高齢化現象が進む中で出産件数の減少が続いていて、また出産も病院でなされることが多いため、「出産市場」がシュリンクしている。出産市場のシュリンクは長期的には人口衰退に直結するので国力が低下してゆく。

②助産師のヒューマンサービス「技術」はいわゆる暗黙知に属することが多く、標準化、形式知化がうまくなされていない。ゆえに助産技術の共有化は「すりあわせ」によって現場レベルに沈着することが多い。

③助産師の起業(助産所の独立起業、院内助産施設)に際しては起業経営やマネジメント・サイエンスの応用があまりなされていない。

④非営利型のビジネスとして助産師の活動を発展させてゆくノウハウが体系化されたり共有化されていない。

⑤助産師の高齢化に伴って助産所の廃業があいついでいる。②で指摘した、助産技術が誰にも継承されないまま消滅してゆくのは社会的な損失である。また、廃業を未然に防ぎ、助産所事業を他の助産師に事業継承(サクセッション)させてゆくための手法が未開発。

       ***

では、どう問題解決するのか?ということで会長、理事の方々、参加者の方々と議論、議論。ちょっとメモしておきます。

上に整理したような助産師の①起業、②事業成長、③事業継承のビジネスサイクル全般をサポートする仕組みが今の日本にはまったくない。そのような仕組みを助産師会や地域で活動するアントレプレナー助産師と連携して作ることが大切だ。NPO(LLP,LLCあるいは非営利型株式会社のようなもの)を創って①②③のノウハウを共有して会員をサポート(ウェブ共有、研修、コンサル、政策提言)してしてゆく。

ついでといったらなんだが、そのようなネットワーク組織をベースにして臍帯血を保存するシステムとリンクさせてゆけば、親子が罹患するであろう、そして将来において発達した治療技術をもって治療可能になるであろう「未来のリスク」をヘッジすることにもなる。

 


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