よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

ケアリング志向の庭文化

2005年03月22日 | よもやま話、雑談
箱庭療法は、ユングに端を発しその後、イギリスのD.カルフによってつくられた治療法の一つ。カルフは箱の中に砂をいれ、その中にいろいろな人形をおいて一つのまとまった世界を構成してゆく方法を提唱した。

箱庭を作り上げてゆくプロセスと結果を箱庭カウンセラーは制作者であるクライエントとともに味わう。さらに、カウンセラーは作り上げられた箱庭の分析を行うことで、制作者の意識の底に隠蔽された様々なメッセージを読み取る。また、制作者は内面に織り込まれた葛藤や意識を表現することによって、抑圧された感情をカタルシス(浄化)することができるとされている。

カルフが提唱した箱庭療法は過激なまでに療法としてアーティフィシャルだ。反面、日本には盆栽や、独自の箱庭や坪庭が病んだ人々の療法ではなく、ごく普通の健常な人々の嗜みとして日常生活の一画に文化として存在してきた。

日本の盆栽、箱庭、坪庭の生活文化は自然共存型で、かつ癒しのメカニズムを無理なく内包しているという点で深い部分でケアリング志向なのかもしれない。英国風のガーデニングがブームではあるが、その背後には長らく自然共存によるケアリングを志向してきた日本ならではの盆栽、箱庭、坪庭の庭園文化への回帰への息遣いが垣間見れる。

我が家の庭は日本風、ヨーロッパ風が習合した雑種系だが、せっそうのない雑種系ということ自体も現代日本的な要素か。そんなことをつらつら思い巡らしながら庭をいじるのも楽しいものだ。