散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

銀座の画廊&ギャラリー巡り

2009年01月18日 20時40分53秒 | ART
今回、銀座の画廊・ギャラリーを中心に2日間かけて28個所を見て回った。2日間の歩数は5万歩を超え、足腰が痛くなってきたほどなので、自分の中でも「かなりやった」という満足感でいっぱいである。

■永井画廊。どうやら「なんでも鑑定団」に出てくる永井龍之介の画廊のようである。いきなり1階に千住博の大作(3800万円が2点)。いつも私は千住博作品の値段にケチをつけているようだが、そんなことはない。高くて驚いているだけだ。作品は綺麗だと思う。

そのほか銀座オープン記念企画第3弾として、「高島野十郎展」をやっていたのがラッキーである。ずいぶんクラシックな油彩で、こういうのは好きだ。

6階では「新井明子・新井苑子展」。イラストレーターである新井苑子しか知らないのだが、早川文庫で「オズの魔法使い」シリーズの表紙イラストを描いていた人だ。

■日動画廊。「日本の美 ―金山平三とその時代展―」というのをやっていた。全く知らない人だが、それなりに面白い。その他、安井曾太郎、小磯良平、梅原龍三郎といった作家の、全然見たことのない感じの作品があった。こういう作品に触れる機会が欲しいなあ。

■和光並木ホール「日本陶磁協会賞受賞作家展」。フォルムであったり、色彩や絵付けであったり、受賞作品は多かれ少なかれ、美しいところがある。

■阿曾美術「常設展」。油彩、彫刻、青磁、漆器が特にキャプションもなく配置してある。芳名帳のところに硯と筆しかなく、部屋の一角には茶室があるという浮世離れしたところであった。

■龍の屋。こちらは銀座のど真ん中でありながら、入りやすいギャラリーだ。平野レミ似のギャラリー主にいろいろ話を聞いた。展示作の中では小川一衛の「蝶番蝶」という昆虫の蝶と、蝶番を合わせた版画が面白かった。ギャラリー主も刺繍でおせち料理や寿司などを象った明るく賑やかな作品を作って展示しているらしい。

■ノリギャラリー「油彩版画展」。「映香鏡」は宮下真理子の鏡に映る百合の花を描いたクラシックな作品。山内滋夫の「アマリリス」はシンプルな銅版画。

■ギャラリーオカベ「金巻芳俊彫刻展」。この人はなかなかの力量ではないか。小さな人体彫刻では、顔や手・足の部分が一人の人物でありながら二重になっており、内面のアンビバレンツな感じを表現している。腕を捻じ曲げて倒れこむ男の上半身や、それぞれ手で目隠しをされて連なる3人の男といった、力感のある大きな彫刻もいい。

■ギャラリーQ「うらうらら展」。ミッキーマウスとミニーマウスをモデルにした人形を配置し、カメラの方を台車に載せて動かしてぶれさせた写真作品。これはこれで面白い。

■ギャラリーアートグラフ「富岡畦草写真展 輝いていた時代そして現代」。東京の過去と現在の同じ場所の風景。東京人であったらもっと懐かしいのであろう。

■ギャラリームサシ。野見山暁治「今日になった」は紫と青が炎のように立ち上がる作品。朝もやの表現であろうか。伊東啓一「夏のおわり」はひまわりと青い空をバックに不思議な人物が描かれている。

■ギャラリーティ。東郷青児、草間弥生、藤井勉、千住博、棟方志功など売れ線がたくさんある。

■ギャラリー和田「奥山民枝展」。雲と太陽を描く。メルヘンまで行ってないので、何とか。

■ギャラリー朋「宮永直人展」。あまりに藤田嗣治を思い起こさせる作風。もう少し考えた方が良いのではないだろうか。その証拠に藤田風ではない作品から売れているのではないか。

■柴田悦子画廊「堀文子教室同窓展」。斎藤弥「蜥蜴」、シンプルに上手い。分島徹人は昆虫界でも相当有名な人らしいが、実にリアルな玉虫や矢守を象ったものがついている物入れを出品していた。

■シルクランドギャラリー「春の絵画展」。王元鼎など中国作家の風景画が非常にきれい。

■小林画廊。萬鉄五郎の見たこともない作品や、福井爽人の作品があった。点数が多いのは麻生三郎で、男の胸で泣く女の作品についたタイトルが「ひとり」。しばらく目が離せない程で、良い作品見せてもらいました。

■資生堂ギャラリー「宮永愛子展」。ナフタリンで作ったオブジェを、高い天井まで伸びるパイプの途中に配置している。パイプは銀座の地下にあった水脈を表現しているらしい。私は白い森に迷い込んでしまったようにも感じられた。

ナフタリンは常温でも昇華するため、オブジェは徐々に形が崩れ、昇華したナフタリンはケースの表面で霜のように再結晶するのである。その変化し続けるところも、興味深い。

■秀友画廊「ケーテ・コルヴィッツ展」。第二次世界大戦前のドイツで社会的な作品(版画、素描)を発表していた人。ナチスドイツに退廃芸術として活動を禁じられたらしい。「最近のお若い方は知らないのね」と画廊のマダムに言われてしまったが、確かに有名な人のようである。

***
ということで、残念ながら何の感想も湧かないケースもあったが、現代芸術からバリバリの古典まで、適当に歩いているだけで数多くの作品に出会った。しかしビルの上の方の画廊(特にエレベーターもなさそうなビル)や、貼ってあるDMの作品が明らかに好みでないものについては、かなりスキップしてしまった。東京全体を個人の力で網羅するのは不可能であろうと思う。

さて、銀座の画廊は敷居が高いかと思っていたが、そんなことはない。私は明らかに作品を買うことがなさそうに見えると思う。画廊は商売でやっているのだから、邪魔にならないようにし、最後になるべく「ありがとうございました」と丁寧に挨拶しておいた。

すると逆に丁寧にお礼を言われるところがほとんどで、なんとも優雅であることよと思った。しかし、何箇所かで「画をかく方ですか」と聞かれたので、私は売れない画家に見えていたのかもしれないな。

さすがに疲れた

2009年01月18日 13時52分17秒 | 食べ歩き

さすがに今日は疲れ切ったまま起きた。

朝から出張の写真整理と旅日記の記述に時間がかかる。デジカメを新しくしたが、1000枚以上撮ることができるようになったので、撮影の仕方が変わったのだ。メモ代わりに何でも取るようになったのは後で便利なのだが、何しろ枚数が多くなってしまった。

それから東京国立博物館の展示物が多すぎるのだ。興味のある作品と作品タイトルを撮っているだけでエライことになってしまった。東博と銀座のギャラリー・画廊巡りについては、いずれきちんと記事を書いてみたいと思う。

今週は札幌市内のギャラリーは回れなかった。昼食も何とか近所の中華「O」で麻婆春雨のランチを取る。少し中華の辛味とにんにく風味で元気が出たかも知れない。

20090118最近読んだ本

2009年01月18日 09時22分41秒 | 読書
出張中は毎晩飲んでいるせいか読書がはかどらず、2冊しか読めなかった。

■「春朗合わせ鏡」高橋克彦
若いころの北斎を主役にして江戸・美術ミステリ。そんなにミステリ風味は強くないが、江戸の雰囲気はよく出ている。

■「無限思考者 ペリーローダン356」ヴルチェク&フランシス
7つの公会議の新メンバーが登場。その7次元思考者(いったい何なの?)との出会いで、新展開に持ち込むのか。

■「茶わんのみかたⅡ」野村泰三
私は窯変天目が好きなのである。

■「ネクロポリス 上下」恩田陸
故人がよみがえり会うことのできるアナザーヒル。しかし今年は大量殺人の被害者が一斉に現れ、さらに別の殺人事件が発生と例年とは大違い。一体アナザーヒルはどうなってしまうのか。神秘性に終始し、論理的な解明はないが、これはこれで恩田ワールドと言えよう。

■「機巧館のかぞえ唄」はやみねかおる
ジュヴナイルの皮をかぶった本格もの。作中作もあり、構造的には相当複雑にできている。

■「プロバビリティスペース」ナンシー・クレス
最強の武器を手にした人類だが、同じセッティングで武器を作動させると、宇宙の構造を破壊してしまうらしい。相手の宇宙人との交渉は可能なのか。大スケールのSF三部作の最終巻。面白かった。

以下、図書館の1冊。
■「書票を楽しむ」土屋文男
「書票」と入力するたびに変換されないことに愕然とするのだが、版画のさらにマイナージャンルという扱いしか受けていないということか。東欧の作家を中心に、書票の展覧会でもやらないものかなあ。