英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

岸田さん、失礼ですが、政治家として失格です      自民総裁選の不出馬に思う

2018年07月25日 10時55分33秒 | 日本の政治
 自民党の岸田文雄政調会長が24日、9月の党総裁選に立候補せず、安倍晋三首相を支えると表明した。理由は、西日本豪雨への対応や外交課題を勘案したという。しかし国会議員票と地方の党員票の両方で支持の広がりが見込めない中での決断だった。
 岸田氏は悩みに悩んだ末に安倍首相への支持を決めた、と産経新聞は報じている。また同紙は「6月18日夜、首相と二人だけで会食した岸田氏は冒頭、『どうしたらいいでしょうか』と語り、首相をあきれさせた」と記している。
 岸田氏は首相と距離を置き、首相との政策の違い(特に国防と安保)を示しながら総裁選出馬声明を模索してきた。しかし派内では「禅譲派」と「対決派」とのせめぎ合いに悩んだという。岸田氏は1年前ぐらいまでは、安倍首相から首相職を禅譲されることを期待していた。一方、首相周辺の幹部は「いまさら不出馬を表明しても遅い」と冷たい態度だという。
 有権者には、岸田さんの姿勢がどう映っているのだろうか。多分、優柔不断な政治家だと思っているだろう。私は岸田さんに尋ねたい。あなたは首相になることが目的なのですか、それとも自らの政策や信念を国民に語りかけ、それを実現するために首相になりたいのですか、と。私には岸田さんが首相になることが目的で総裁選に立候補するように思えてならない。
 岸田氏に対して石破茂元幹事長は地方遊説を重ね、地方の自民党議員に自らの政策を訴えている。24日付の毎日新聞のインターネットサイトによれば、「選挙はやってみなければ分からない。実際にそれぞれの議員がどう判断するかだ」と記者団に語った。
 岸田氏と石破氏のどちらが首相の資質に長けているか。一目瞭然だ。首相職は禅譲されるのではなく勝ち取るものだ。岸田氏は首相の器ではない。
英国の偉大な宰相ウィンストン・チャーチルは60年にわたる政治生活で、少なくとも総選挙で3回落選した。自らの信念や政策に忠実で、有権者に批判されても迎合しなかった。有権者に迎合するどころか、とことん議論し、説得した。政敵との議論も好んだ。自らの信念を持つ政敵を尊敬した。イエスマンを信頼しなかった、と警護担当者のトンプソン警部は語っている。
そのような政敵を、挙国一致連立内閣では一番初めに入閣させた。労働党の重鎮だったアーネスト・ベビィンだ。
 安倍首相は議論を嫌う傾向が強く、イエスマンだけを自分の取り巻きにする傾向がある。しかし、岸田氏はとことん安部首相に議論を挑んだのか。そのような事実は聞かない。
 岸田氏が首相になりたいのなら、明確な政策を国民に打ちだし、安倍首相と議論し、総裁選に出馬すべきだ。敗北が分かっていても、そうすることで国民や有権者の信を得ることができる。風見鶏の議員仲間の心も揺さぶるだろう。自らの政治信念に忠実であれば、たとえ首相になれなくても気骨のある政治家だと後世の人々に言われるだろう。そのような姿勢を堅持できなければ、政治家にならない方が良い。政治家は誰でもやれる職業ではない。

2020年の東京五輪は殺人オリンピックか            英紙が警告 開催時期の再考を

2018年07月25日 09時33分18秒 | 時事問題
英国の「タイムズ」紙は今年1月、「東京五輪では選手だけでなく観客も極度の蒸し暑さによる熱射病で死亡するリスクにさらされている」と報じている。英紙が警告するまでもなく、なぜこの時期に東京で五輪を開くのか、常識的に考えて理解できない。
 昨日、「東京五輪まで2年」になり、スカイツリーが五輪旗をイメージして五色にライトアップされたが、私の不安は増幅している。国際オリンピック委員会(IOC)と東京オリンピック招致委員会に、大丈夫ですかと問いたい。
 私はIOCがスポンサーの意向を尊重し、東京五輪を夏に開くと聞いた。しかし邦字紙によれば、五輪招致委員会が「この時期の天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる」とIOCをだましてもぎ取ったという。これが事実なら、日本の責任は重大であり、極論すれば犯罪行為に等しい。
 地球温暖化が深刻になっていなかった20年~30年前ですら、日本の夏に、五輪やスポーツイベントを野外で開くのは適切ではないと思う。確かに夏に全国高校野球が開かれている。長い伝統と風物詩として目をつぶるが、国際競技を夏に開催するのはおおいに疑問だ。
日本の5月初旬の気候に似るヨーロッパの夏を過ごしてきた欧州の選手らは、高温多湿の日本の夏に適応できない。それはだれの目にも分かる。ましてや今年の夏は35度以上の猛暑が全国各地で吹き荒れている。地球温暖化の影響だと思われる。これから毎年、7月下旬から8月上旬までの日本の夏は酷暑(日中35度以上)になる公算が強い。
 「タイムズ」紙は「東京の暑さで五輪選手が死亡する」との衝撃的な見出を打ち、こう記す。「東京五輪では選手だけでなく観客も極度の蒸し暑さによる熱射病で死亡するリスクにさらされている」。また医学博士の米山公啓氏は「日本の夏は高温多湿。・・・五輪では欧米の選手と観客が蒸し暑さのせいでバタバタ倒れ、死者が出る可能性もある。沿道の観客は応援に没頭するあまり水分補給を忘れて倒れるでしょう。本当は安全のために秋の開催に変更するべきですが……」と述べる。さらに米大手天気予報配信会社「アキュウェザー」も東京特有の真夏の高温と高湿度が長距離陸上選手に熱中症をもたらすと指摘する。
 一方、会場建設の進捗状況などを視察した東京五輪調整委員長のジョン・コーツIOC副会長は7月12日の記者会見で、「猛暑の中で開かれる五輪は東京が初めてではない。7月、8月というのはそういうものだ」と話した。
 日本の夏を経験していないコーツ氏のいささか楽観的な見解だが、果たして暑さ対策は進んでいるのか。どうもそうではないらしい。「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」が昨年4月、有識者などによる「暑さ対策検討委員会」を発足。4回の会合を開いたものの特筆すべき進展はない。「会場の外のお客さんのためにヒサシを設営して日陰をつくるとか、大型扇風機やミストの設備を導入する案などを検討しています」(組織委員会戦略広報課)
 たとえ猛暑対策を施しても、抜本的な完全対策はない。五輪期間中、たとえ一人でも選手や観客が熱射病で亡くなることになれば、世界中のメディアが日本を非難するのは必至。また夏の東京五輪が、暑さを避けるため早朝に行われることから、五輪の観客が朝の電車に乗るという。唯でさえ通勤ラッシュで混雑するのに、五輪の観客が加われば電車はすし詰めになり、駅のプラットフォームで乗客が立ち往生する。その結果、将棋倒しの危険にさらされる。
 1964年の東京五輪は10月初旬だった。私が高校1年の時だ。さわやかな秋晴れだった。今からでも遅くはない。アスリートと観客の命を守ること考え、米山博士がおっしゃるように、秋に開催すべきではないのか。