英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

2020年の東京五輪は殺人オリンピックか            英紙が警告 開催時期の再考を

2018年07月25日 09時33分18秒 | 時事問題
英国の「タイムズ」紙は今年1月、「東京五輪では選手だけでなく観客も極度の蒸し暑さによる熱射病で死亡するリスクにさらされている」と報じている。英紙が警告するまでもなく、なぜこの時期に東京で五輪を開くのか、常識的に考えて理解できない。
 昨日、「東京五輪まで2年」になり、スカイツリーが五輪旗をイメージして五色にライトアップされたが、私の不安は増幅している。国際オリンピック委員会(IOC)と東京オリンピック招致委員会に、大丈夫ですかと問いたい。
 私はIOCがスポンサーの意向を尊重し、東京五輪を夏に開くと聞いた。しかし邦字紙によれば、五輪招致委員会が「この時期の天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる」とIOCをだましてもぎ取ったという。これが事実なら、日本の責任は重大であり、極論すれば犯罪行為に等しい。
 地球温暖化が深刻になっていなかった20年~30年前ですら、日本の夏に、五輪やスポーツイベントを野外で開くのは適切ではないと思う。確かに夏に全国高校野球が開かれている。長い伝統と風物詩として目をつぶるが、国際競技を夏に開催するのはおおいに疑問だ。
日本の5月初旬の気候に似るヨーロッパの夏を過ごしてきた欧州の選手らは、高温多湿の日本の夏に適応できない。それはだれの目にも分かる。ましてや今年の夏は35度以上の猛暑が全国各地で吹き荒れている。地球温暖化の影響だと思われる。これから毎年、7月下旬から8月上旬までの日本の夏は酷暑(日中35度以上)になる公算が強い。
 「タイムズ」紙は「東京の暑さで五輪選手が死亡する」との衝撃的な見出を打ち、こう記す。「東京五輪では選手だけでなく観客も極度の蒸し暑さによる熱射病で死亡するリスクにさらされている」。また医学博士の米山公啓氏は「日本の夏は高温多湿。・・・五輪では欧米の選手と観客が蒸し暑さのせいでバタバタ倒れ、死者が出る可能性もある。沿道の観客は応援に没頭するあまり水分補給を忘れて倒れるでしょう。本当は安全のために秋の開催に変更するべきですが……」と述べる。さらに米大手天気予報配信会社「アキュウェザー」も東京特有の真夏の高温と高湿度が長距離陸上選手に熱中症をもたらすと指摘する。
 一方、会場建設の進捗状況などを視察した東京五輪調整委員長のジョン・コーツIOC副会長は7月12日の記者会見で、「猛暑の中で開かれる五輪は東京が初めてではない。7月、8月というのはそういうものだ」と話した。
 日本の夏を経験していないコーツ氏のいささか楽観的な見解だが、果たして暑さ対策は進んでいるのか。どうもそうではないらしい。「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」が昨年4月、有識者などによる「暑さ対策検討委員会」を発足。4回の会合を開いたものの特筆すべき進展はない。「会場の外のお客さんのためにヒサシを設営して日陰をつくるとか、大型扇風機やミストの設備を導入する案などを検討しています」(組織委員会戦略広報課)
 たとえ猛暑対策を施しても、抜本的な完全対策はない。五輪期間中、たとえ一人でも選手や観客が熱射病で亡くなることになれば、世界中のメディアが日本を非難するのは必至。また夏の東京五輪が、暑さを避けるため早朝に行われることから、五輪の観客が朝の電車に乗るという。唯でさえ通勤ラッシュで混雑するのに、五輪の観客が加われば電車はすし詰めになり、駅のプラットフォームで乗客が立ち往生する。その結果、将棋倒しの危険にさらされる。
 1964年の東京五輪は10月初旬だった。私が高校1年の時だ。さわやかな秋晴れだった。今からでも遅くはない。アスリートと観客の命を守ること考え、米山博士がおっしゃるように、秋に開催すべきではないのか。

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