英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

日本経済繁栄の終わりの始まりか   参院選開票結果と宮迫会見で思う

2019年07月22日 11時17分23秒 | 経済・財政
  私の表題「日本経済繁栄の終わりの始まりか」に反感を抱く読者がおられよう。しかし、所得格差による貧富の二極分化はすでに大きくなってる。「1億総中流」と日本国民のほとんどの人々が認識していた時代は遠い昔の話になった。また反社会的勢力のイベントに事務所を通さない闇営業で参加した宮迫博之氏と田村亮氏のお詫び会見から浮かび上がってきた日本人の病根。自民党と公明党の参院選勝利を受けた安倍首相のテレビ会見のピント外れな現実認識。これらを分析し推論すれば、日本の経済繁栄の終わりの始まりを感じざるを得ない。
  宮迫、田村両氏は会見で、雇用主の吉本興業から「静観です」「「ダメだ。記者会見はさせるつもりはない」と言われ、岡本昭彦社長は「お前らテープ回してないやろな。亮、ええよ。お前辞めて1人で会見したらええわ。やってもええけど、ほんなら全員連帯責任でクビにするからな。それでもええんやったら記者会見やれ。俺にはお前ら全員クビにする力があるんだ」と話したという。岡本社長は弁護士や社員を同席させずこう話し、宮迫氏らの会見要請を拒んだという。
  一連の流れが事実なら、岡本社長が宮迫、田村両氏らを謹慎処分にした時に、両氏ら闇営業に関係した芸能人を同席させて記者会見を直ちに開いていれば、ここまで重大な事態にならなかっただろう。小手先でこの件を解決しようとしたのだろうか。きょう(22日)午後に同社長は記者会見を開き、何を話すのかは分からないが、手遅れの感を否めない。
  昨年春に発覚した日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題での内田正人監督(当時)の対応も岡本社長と同じだが、なぜ、長期的な展望にたって不祥事を処理しないのか。目の前の小さな利益だけにとらわれて、上手く物事が運ぶとでも思っているのだろうか。大局観があまりにもない。
  大局観がないといえば、安倍首相も同じだ。ますます多くの国民が生活不安を抱き始めているのに、参院選勝利以後のテレビ記者会見で、こう話した。「改選議席の過半数を得ることができた。結果として(憲法改正の)議論をすべきではないかという国民の審判だったのだろう。私の使命として、残された任期の中で当然挑んでいきたいと考えている」
  安倍首相は自らの信念のみにとらわれ、安泰な国民生活ができるかどうかの踊り場に置かれている日本と日本国民の現在の状況を理解していないのだろうか。私は憲法改正議論を否定はしないが、それよりも国民にとって差し迫った重大な問題があることを認識している。
  自民党幹事長の二階氏は安倍首相の4選に言及しているが、首相は否定している。うがった見方をすれば、何の根拠はないのだが、2020年の東京オリンピック後に直面する日本の困難な経済・財政、外交問題を認識し、ここらあたりが責任回避の潮時だとでも考えているのだろうか。
  大幅な人口減少と少子高齢化に伴う国内総生産(GDP)の縮小。日本経済の構造的な問題であり、それに伴って悪化の一途をたどるであろう年金・介護、学童支援などの社会福祉政策。厳しさを増す対韓、対中、対米、対露政策など困難な諸問題が日本政府と国民を待ち受けている。
  安倍首相と吉本興業の岡本社長に、英国の歴史家ジェームス・ブライスが外交官として1919年にワシントンで幣原喜重郎・駐米日本大使(後の首相)に忠告した言葉をかみしめてほしい。「国家(会社)の運命は永遠であることを認めないのですか。国家(会社)の長い生命から見れば5年や10年は問題ではありません。功を急げば、しまいに二進も三進もいかなくなります。いま少し国運(会社の運命)の前途を見つめ、大局的な見地をお忘れにならないように願います」
  致命的なうそをついて、結局は重大な事態に至った宮迫、田村両氏には、英国の大宰相ウィンストン・チャーチルが前任者のネビル・チェンバレン首相を悼んだ演説での言葉を贈りたい。「歴史はまたたくランプのように過去を痕跡を照らし、過ぎ去った人々の人生の拠り所を明らかにします。人間にとって最も価値あるものは何でしょうか。それは良心(うそをつかないことなど)だけであります。・・・この盾を持たずに人生を歩むことほど軽率なことはない。なぜなら・・・この盾を掲げて名誉の隊列を進むほかに選択肢はないからです」
   チャーチルはチェンバレンがナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーにだまされたと認識し、上記のことを話し、人間は正直でなければならず、他人に裏切られても、その姿勢を堅持するようにアドバイスしている。
  宮迫、田村両氏は最初に世間に対し「うそ」をついた。江戸時代の名君で、米沢藩主の上杉鷹山公は「「謝って改めるに憚る事なかれ」という。 人は必ずミスを犯す。 私も同じだ。若いとき、うそをついて大変なことになったことを記憶する。大事なのはそのミスの取り返し方だ。両氏は記者会見で、そうしたと思う。チャーチルの言葉を胸に刻んで、これからの人生を歩いていってほしい。
  安倍首相と岡本社長には、ブライスの忠告に耳を傾けてほしい。目先の欲得や損得ばかりに目を向けて大局観を見失うと、いつの間にか二進も三進もいかなくなり、国民と社員を路頭に迷わす危機を招くことになるだろう。安倍首相にとって、再来年までの任期で一番重要なのは、憲法改正ではなく、日本の経済構造を改革し、社会福祉政策をいままで通りに可能にする道を拓くことではないだろうか。

(写真)ジェームズ・ブライス(James Brice) 

将来の経済破綻の可能性に危機感なき政治家   参院選の演説を聞いて思う

2019年07月19日 22時43分14秒 | 経済・財政
  今回の参院選で、安倍政権と与党は消費税率の10%への引き上げを掲げ、野党各党は反対の声を全国津々浦々で上げている。しかし近い将来に直面する厳しい経済危機を国民に知らせていないだけでなく、その対応策を示していない。
  人口動態調査から見えてくる2020年の東京オリンピック後に本格化する人口減少と少子高齢化による国内総生産(GDP)の縮小は、確実な暗黒の未来だ。
 GDPは、公的年金や学童の学費無償化などを保障にするエンジンである。現在のGDPレベルを堅持してこそ、現在の社会福祉水準は保障される。
  現在、多くの国民は公的年金などの社会福祉政策に不満を抱いていても、支給されているため、不満のレベルで押しとどまっている。しかし、GDPが縮小していけば、厚生年金を受け取る退職者の金額が2千万円不足するどころの話しではなくなる。生涯の年金不足額が6千万円不足するといわれている現在の国民年金受給者1471万人と将来の国民年金受給者には想像がつかない暗い老後が待っている。しかも、1471万人の半数は保険料未納なので低年金・無年金になる可能性がある。
 このままでは日本経済は確実に破綻する。資産運用会社ゴールドマンサックスの元アナリストのデービッド・アトキンソン氏は「今すぐにでも対応を始めないと、近い将来三流先進国に成り下がることは確実です。下手をすると・・・途上国に転落する危険すらある」と警告している。
 GDPが奈落の底へと落ちていけば、現在の社会福祉政策を維持するのは不可能になるばかりでなく、日本の借金が仮に増えなくても、縮小するGDPに対する比率が高まり、日本人の肩に現在以上の重荷として食い込んでくる。ましてや1200兆円とも言われる借金がさらに増えれば、どうしようもない事態に至るのは必至だ。
 しかし「嵐が目の前に迫ってきているのに、(日本人の)危機感はまったくといっていいほど感じられない」(アトキンソン氏の発言)。その危機感のなさの先頭に立っているのがノー天気な与野党政治家だ。
  安倍内閣や与野党各党、新聞各紙は現在のGDPのレベルが維持されるという前提で話している。安倍晋三首相は7月18日の三重県四日市市での演説で、消費税増税への理解を有権者に求めた。税率が一律なため、低所得者層に負担感が強い。このため、国民の負担感を軽くするため、国の借金返済に充てる予定だった消費税増税の税収分の一部を、幼児教育無償化などに振り替えた。
  首相は3日の日本記者クラブ主催の党首討論会で「(10%の消費税増税後)今後10年間は上げる必要はないと私は思っている」と語ったが、その根拠を示さなかった。また悪化の一途をたどっている国の財政をどうするのか、長期的な展望に立った解決策を示していない。
  社会保障の財源を消費税増税だけに頼る政府自民党の路線は、さらなる消費増税をもたらし、日本の経済破綻を遅らせるだけの効果しかもたらさないだろう。低所得者層への給付金などの消費税増税対策終了後の1世帯当たりの家計負担は、年間4.7万円増える。各家庭の所得が上がらなければ、ますます生活は苦しくなる。
  一方、野党は消費税増税反対で足並みをそろえる。野党第1党の立憲民主党の枝野幸男代表は記者団に消費増税が参院選の大きな焦点だと位置づけ、「消費増税を容認する自民、公明に投票するよりも、いま凍結すべきだという野党5党派に入れる有権者が多い現実を突きつけることだ」と話した。(7月19日付け朝日新聞朝刊)
  野党各党は、内部留保が膨れあがっている大企業優遇政策を転換し、そこから財源を確保すべきだと説く。消費増税を撤回して大手企業や富裕層への増税を訴えるが、それだけで充実した社会福祉政策が可能なのか。
   総じて具体的な財源論に乏しい。消費増税に反対する社会保障の具体的な財源(大手企業や富裕層への増税)は焼け石に水だろう。
  膨らみ続ける社会保障関係費や天文学的な段階に達した国の借金1200兆円(日本の国家予算の10年分以上)は与党の自民党や野党各党が訴える政策を不可能にしている。借金のGDP比率は2倍以上で、世界で一番高い。
  日本経済が破綻するか、危機を脱して回復基調を始めるかの分水嶺に立たされているわれわれは、既存の延長線上で解決策をもとめるのではなく発想の転換をしなければならないと思う。
  GDP総額=人口×一人当たりの生産性、生産性=GDPの総額を国民の数で割ったもの(1人当たりのGDP)、GDP=労働者の給与、企業の利益、政府への税金などだ。
  日本の人口減少は総務省が4月に発表した2018年10月1日時点の人口推計によると、外国人を含む総人口は17年の同じ月に比べて26万3千人少ない1億2644万3千人だった。2008年をピークに減り続けており、減少率は0.21%で、統計を取り始めた1950年以来、最大となった。
  日本の総人口は減り続け、2060年には日本の生産労働人口は約3200万人減少し、その規模は現在の英国の総生産労働人口とほぼ同じだ。これは今まで世界が経験したことのない規模である。
  この大幅な人口減少では、日銀がこれまで進めてきた既存の金融の量的緩和ではデフレ解消は不可能だ。また人口減による需要の減少、それに伴う税収の減少は消費税増税をしたところで年金などの社会福祉対策の抜本的な解決にはつながらない。
  アトキンソン氏は「社会保障のためにGDPを維持する必要があり、人口減少と高齢化により需要が構造的に減る。・・・個人消費を増やすために継続的な賃上げ必要だ」と語る。人件費の増加による事業の利益の落ち込みを押さえ、さらには利益を上げるには生産性を向上させなければならないと説く。このようにして、日本のGDP総額を維持する必要があるという。
  私には現在のGDPを維持するためには生産性を向上させることが正しいかどうかは分からないが、日本の生産性が世界28位と低く、それでいて人口が減少していけば、GDPが縮小していくのは理解できる。GDPが縮小すれば、現在でさえ不十分な年金などの社会福祉政策が行き詰まることは目に見えている。
  21日に投開票される参議院選挙の各党党首や候補者の演説をテレビなどで聞き、あまりにもこの問題に対する危機感のなさに唖然とする。自民党のプリンス、小泉進次郎氏は「年金破綻はうそだ」と話すが、これから到来する大規模な人口減少と労働者の低い生産性を考えれば、必ずしも「うそ」とは言いきれない。
  私は「うそ」だと信じたい。しかし与野党の国会議員が危機意識を持たなければ、日本経済は三流先進国となり、年金は破綻しなくても、老齢者の悲惨な老後が待ち受けているだろう。

元AKB48女優と韓国大統領ら感情優先韓国人とを区別して! 島崎さんへの批判に思う 

2019年07月17日 11時19分38秒 | 日韓関係
   きょう、MSNニュースを読み、二つの記事 ー 「韓国、日本の北朝鮮制裁履行は『生ぬるい』と批判」「島崎遥香、日本と韓国電車マナーのツイート削除」が目にとまった。冷静な態度で、韓国政府の対日批判と、韓国旅行をめぐる島崎さんの感想を区別しなければならない。島崎さんの韓国人への好意的な感想を批判する日本人は、文在寅大統領一派や彼の支持者と同じ感情優先の姿勢だと言わざるを得ない。

  最初の記事はソウル発のロイター電で、その一部を転伝する。

   ①[ソウル 16日 ロイター] - 韓国の情報機関・国家情報院(NIS)の徐薫(ソ・フン)院長は16日、国会の情報委員会に対し、日本による国連の対北朝鮮制裁の履行は非常に「生ぬるく、受け身」だと批判した。
   徐氏は日本が最近、北朝鮮籍の貨物船に海上で石油製品などの積荷を違法に移し替える「瀬取り」を行った疑いがある船舶の日本への入港を許可したと指摘。NISの説明を受けた議員の1人が明らかにした。
   NISの報道官は徐氏が議員らに説明を行ったことは認めたが、詳細は明かさなかった。日本政府の報道官からコメントは得られていない。
  日本政府は先に、フッ化水素など半導体材料3品目について韓国への輸出管理を強化したが、日本のメディアは化学兵器製造などに転用可能であるフッ化水素が韓国を経由して北朝鮮に輸出されたと報じていた。


  ②もう一つは元AKB48で女優の島崎遥香さんが日本と韓国の電車内での光景を比較し、韓国人のマナーを褒めている。

   日本のスポーツ紙「日刊スポーツ」によれば、元AKB48で女優の島崎遥香(25)が、日本と韓国の電車乗客マナーを比較したことで一部から批判を受け、当該ツイートを削除した。
  島崎は16日、ツイッターで「おじいちゃんが子供に席を譲ってあげてるのに優先席に座ってる会社員の人たちは何で平気で座ってられるんだろう」と、日本の電車内で見掛けた光景に対し、理解に苦しむ思いをつぶやいた。
  続けて「韓国はすてきだったな~ 健康な若者はみんな立ってた 優先席はガラガラでした」と韓国の乗客マナーと比較し、「いろんな国へ旅してすてきなところを沢山吸収したいな」との思いをつづったが、一部ツイッターユーザーからは韓国の話を持ち出したことに嫌悪感を示す声も寄せられた。

 島崎さんは批判を受け、「今日のツイートで考えても考えてもやっぱり他国の方が快く思わないコメントが多くて 日本人として悲しくなったので消させてもらいました。私に向けての誹謗(ひぼう)中傷は構わないんですけどね」と当該ツイートを削除したことを報告。その後、このツイートも削除した。

  私は、ロイター電の「韓国、日本の北朝鮮制裁履行は『生ぬるい』と批判」と島崎さんのブログを区別して考える。
  英国の通信社「ロイター」は、韓国の文在寅左派政権の内外に向けた宣伝工作の一環として、この記事を伝えている。文政権は金正恩委員長の北朝鮮との友好関係を望み、文大統領は2度も金委員長と会った。もう一度は南北休戦ラインの38度線、パンムンジョンで米国のトランプと一緒に会っている。それでいて、日本を批判したいばかりに、「日本は北への制裁が生ぬるい」という禁句を出してきた。これは事実上、北朝鮮を批判しているに同じだ。
  目の前の日本政府を批判したいばかりに、自らの立ち位置さえ忘れている。北朝鮮に対する友好の行動と批判の姿勢。支離滅裂で矛盾も甚だしい。平均的な韓国人の対日感情を考慮し、ポピュリズムに走っているために、自らの言動の矛盾にさえ気づいていないのだろうか。これでは北朝鮮に韓国は飲み込まれ、対日批判している文支持派の韓国人が気づいたときには、亡命するか、北朝鮮の思想教育センターに放り込まれているかのどちらかではなかろうか。
  一方、島崎さんは、自らの体験を記している。それが客観的な裏付けがある事実かどうかは別にして、自らの体験をブログに記したのだ。確かに日本人は30年前と違って、マナーが悪くなっているのは確かだ。良き伝統である日本人の道徳に基づくマナーがなくなっているのも事実だ。私も同じ思いだ。
  島崎さんは韓国の電車内で韓国人のマナーの良さを見つけ、日本人と比較した。島崎さんは何年も、何十年も韓国に住んでいないと思う。旅人としてたまたま素晴らしい韓国人を見かけたのかもしれない。彼女が電車内で見た韓国人は、そんな行動をしている大多数の数人かもしれない。それは一般的な、定着した慣習なのかもしれない。韓国へ数度しか訪れたことのない私には分からない。しかし島崎さんは一人の旅人として、自らの感想をブログに書き込んだのだ。
   島崎さんのブログを読み、彼女が見た光景をそのまま受け取ればよいではないか。島崎さんを批判している日本人は、文在寅大統領ら左派の連中や、元徴用工問題で騒いでいる韓国の連中と変わらないことになる。一言で言えば、時の流れを冷静な姿勢で客観的に見て分析できないということになる。
  私が島崎さんを批判するとすれば、あなたが見た光景と感想を削除したことだ。批判にさらされても、ブログをそのまま残すべきだ。あなたが見たことではないか。それはうそではない。事実なのだ。島崎さんの見たことは、韓国人を分析するひとつの資料になる。
  わたしがこんなことを書くと、「おまえは偉そうだ」「いきがっている」「もったいぶって」「韓国人の味方か」と、反韓や感情的な同胞から言われそうだが・・・。
  私は反韓でも親韓でもない。大局から冷静に判断できる韓国人を友とする日本を愛する一人の日本人だ。相手が感情的になればなるほど、冷静になって移りゆく事態の変化を観察する。そして分析し、本質を見抜き、慎重に行動を始める。外交官や政治家なら、そのような姿勢で祖国に有利なようにもっていく。
  45年前、晩年を迎えていた大英帝国の指導者から、最高学府で、このようなものの見方を教わった。私は、なぜ英帝国が100年以上もの間、世界を支配したかを理解したのだ。19世紀の弱肉強食の時代に英帝国は、アジア・アフリカ諸国リーダーの感情、見栄、誇り、国家としての面子と、そこから影響された非合理的な判断を突いて、アジア・アフリカ諸国を植民地にした。
  半導体輸出の韓国への優遇措置撤回については、日本の官僚と政治家は当初、元徴用工問題と絡める愚策を演じたが、現在は、日本の半導体をめぐる韓国の第三国への不正輸出疑惑だけにしぼっている。冷静であれば、最初からそう出るべきだった。韓国政府の宣伝戦の口実を与えてしまった。だが、今からでも遅くはない。国際社会にその姿勢で日本の正当性を訴えてほしい。
  文在寅大統領ら一派の最大の問題であり弱点は、理想と現実を混同し、事実を十分に分析しないで思い込みで行動する。感情が優先し、情緒行動をすることなのだ。島崎さんを批判する日本人も、文在寅ら韓国左派と同じ精神、感情行動をし、冷厳な事実を無視していることになる。

(写真)島崎遥香さん
  

日韓のものの見方の違いがあらわ?  半導体輸出優遇撤回をめぐる紛争から見えてくる現実(下)

2019年07月14日 13時22分14秒 | 日韓関係
   韓国向け半導体材料の輸出優遇措置撤回をめぐり、日韓両政府の事務レベル協議は平行線をたどり終わったが、「韓国側が日本側に輸出規制強化の撤回を求めた」との発言をめぐって、両政府が非難合戦を展開している。
  韓国当局者は「われわれは日本側に撤回を求めた。(会合は)問題解決のための協議と呼ぶのがふさわしい」と公表した。これに対し、経済産業省は「協議ではなく、事実関係の説明を行う会議だと、韓国側も合意していた」と批判した。
  また規制強化撤回要求についても、韓国の担当者が問題解決を求めてきたが、「撤回」の言葉は議事録で確認できなかったという。
  韓国は宣伝がうまい。特に左派の文在寅政権は上手い。事実を膨らませて述べたり、ときには人をだますことが上手だという。韓国人には申し訳ないが、犯罪のなかで窃盗がどこの国でも一番多いが、韓国では詐欺が窃盗より多いという。
  韓国人の呉善花・拓殖大学教授は共書「売国奴」で「韓国は詐欺なんですね。窃盗よりも詐欺が一番多い国なんて、韓国しかありません。日本でも昨今、オレオレ詐欺が流行していますが、それでも詐欺の発生率は世界的にかなり低いんです。・・・韓国では人をだますのは普通にあることで、だまされた方が悪いとすらいいます」と述べている。
  この本を読んで、私の在日韓国人の友人から聞いた話を思い出した。彼の息子さんは日本で生まれ、日本で育った。韓国籍のため、一年間にわたり韓国の高校に留学した。息子さんは同胞のうそや事実誇大にあきれることがあったという。
  彼の血は韓国人でも、日本人の考え方や、ものの見方、倫理観を持っていると言うことだろう。日本文化や慣習の中で育ったがために、日韓の倫理観の違いを肌で感じたのだろう。
  文在寅大統領の左派政権誕生後、輸出管理に関する不適切な事案が増加している。この事実は、日韓の倫理観や考え方の相違は事実として存在するが、左派政権がそれをさらに増幅させているのはぬぐえない。
  韓国の産業通商資源省の内部文書によれば、2015年から2019年3月まで、韓国から戦略物資が無許可で流出した不正輸出案件は156件。不正輸出された物資は、いずれも核兵器や化学兵器の製造・開発・使用に利用可能で、国際社会が厳しく統制・監視している。
 摘発件数は2015年が14件、2016年は22件、2017年は48件、2018年 は41件、2019年はわずか3か月の間に31件になっている。実際の数はこの数字より多いとみるべきだろう。文在寅政権の管理体制がずさんだといわれても反論のしようがない数字だ。
  その上、文在寅政権が誕生して以降、韓国人の国民性の短所である、事実を冷徹に見ない形式主義や自尊心、見栄などが際立っているように思う。宣伝戦を重視し、単眼思考の左派政権の本質を露呈しているのだろう。
  国連安保理北朝鮮制裁委員会のパネル委員だった古川勝久氏は「大量破壊兵器関連の規制品を巡る輸出規制違反事件がこれほど摘発されていたのに、韓国政府がこれまで公表していなかった事実に驚いている」と話している。
  韓国政府がこれから先、日本政府の「正論」や日本人の理にかなった議論に耳を傾け、姿勢を変え、日本の主張に従うとは思えない。
  日本は国際社会に日本の正当性を客観的に理路整然と論じ、国際社会を味方につけ、韓国に日本の「正論」を受け入れさせる以外に道はないと思う。世界の世論を納得させるためには、今回の措置の正当性の主張はあくまで輸出管理の論理で完結しなければならない。韓国民は特殊な考えを持った国だからだ。
 
 ●過去の人々の価値観で、その過去を判断する必要性
  韓国政府と多くの韓国民は1910年に日本による韓国併合は不法だと主張する。しかし過去を、現在の社会通念や国際法、意識、理念で裁いてはならない。過去と現在の人々の考え方やものの見方は違う。昨日の常識は今日に非常識であることが、時の変化の流れの中で、しばしば起こる。これは歴史学のイロハだ。 
  歴史は変化する。現在と過去は違う。現在の価値基準で過去を判断すれば、大きな過誤をきたす。これが多くの韓国民、とりわけ文在寅大統領のような左派弁護士には理解できないようだ。
 「日本による韓国併合は合法か」をめぐって、2001年11月に米ハーバード大学で開催された締めくくり第3回会議で、国際法の権威で英国人のジェームズ・クロフォード・ケンブリッジ大学教授は、当時の国際慣行法から、英米を始めとする列強に認められている以上、手続きなどで大きな瑕疵があろうとも「無効」ということはできないと指摘し、韓国以外の欧米日の学者が賛意を示した。日韓米のほか、英独の学者も加え「日韓併合問題」で結論を出す総合学術会議だった。
  過去を判断するには過去の人々の社会通念や常識、法律に照らして判断しなければならない。現在の価値観で過去を裁いてはならない。分母が違えば比較できないのと同じだ。
 韓国では盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時の2005年に「親日反民族行為者財産還収特別法」(親日財産帰属法)が制定・施行された。日本への併合を民族の恥とし、日本の手先として働き財を為した者から、財産を取り上げる法律だ。
  この法律に基づき、戦前の親日派や日本に協力した韓国人の子孫を法廷に引きずり出し、有罪にした。しかし、かつて大学で法律を学んだ人々なら理解できるが、決して見逃せない禁じ手が内在している。日韓併合時の法律では認められていた爵位や土地、現金の取得が、その後にできた法律で罪とされ返還を命じられている点だ。法律の施行前にまでさかのぼって法を適用させる(法の遡及)のは、法治国家の法律では認められない。「罪刑法定主義」に反する。
  この具体的な説明を、産経新聞が最近の記事で説明しているので引用する。「仮に2020年の東京五輪にあわせ、日本で喫煙が全面禁止にされたとしよう。罰は一律に懲役5年と法改正され、法の施行(運用開始)は2020年1月1日に決定したとする。この場合、1月1日以降に喫煙した者は起訴と裁判を経て有罪となる。これが正しい、というか韓国を除くほぼ全ての国の法運用だ。だが、韓国のように法を遡及させた場合、法の施行日以前に喫煙した者も全員犯罪者として処罰できる。施行日の前日に30本吸っても、30年前に1本吸っただけでも、等しく有罪だ」
  韓国社会はこのようには考えず、次のように論ずる。喫煙は悪いと断じ、法で罪にあたると定める。その悪いことを、過去にさんざんやってきた連中がいる。法の不備につけこんで悪いことをしてきた連中を罰しなければ正義にもとる。こうして「遡及すべし」の世論ができあがる。
  世界の先進国が、なぜ「遡及」を法律から除外したのか。法の遡及が可能なら、与党議員は、政敵を始め自分たちの気に入らない人物をことごとく刑務所送りにするだろう。それが可能になる。政府に反対する者を刑務所に収監したい場合、その人物がデモに参加しているところを動画や写真で記録し、デモ参加の証拠を固めてから、デモ禁止法を施行すれば、逮捕できる。
  日本から独立してから反日教育を受けた韓国人のうちの多くとみられる人々、とりわけ文在寅大統領のような左派弁護士は、遡及不可能とする国際社会と各国の法律に違反する考えをもっているため、元徴用工問題、慰安婦問題など植民地に絡む対日問題について、日韓の取り決めをことごとくひっくり返すのだ。

 ●韓国人に偏見を持たず、それでいて理不尽な行為には毅然に対応
 日本の対韓半導体輸出厳格化問題の背景には文大統領ら韓国の左派知識人の歴史観、法律観があり、韓国メディアの主観的な“正義感”がある。これを覆すのは並大抵のことではない。
 日本政府と日本人はこの現実を直視し、文在寅政権を相手にしないことだ。そして日本自らは国際慣例と国際法を厳格に履行して諸懸案を遂行し、国際社会に日本の立場を理解させる努力をすることが重要だと思う。
  韓国は元徴用工のような問題についての日本の会談要請には見向きもしないが、今回の半導体問題では会談を日本に要請する。日本人には理解しがたいことであり、われわれの倫理観では許しがたいことだとは思うが、そうであって、韓国からのいかなる挑発には乗らない冷静な姿勢を貫くべきだ。
  韓国は日本の敵ではないが、味方でもない。友好国でもない。しかし日本人の長所・短所を理解し、たとえ日本人と異なる見解や見方を持っていても、冷静で客観的な態度で理路整然と議論する韓国人(在日韓国人を含む)を大切にしなければならない。そして良識的な韓国人に日本の正当性を訴えていくことだ。それが韓国世論が日本の主張に耳を傾ける端緒となる。
  また韓国民に偏見を持たず、多くのビジネスライク国家のひとつとして淡々と公平に韓国に対応する姿勢を貫くべきだ。親北朝鮮で左派の文在寅政権が辞任し、韓国政治の表舞台から去るまでは、少なくともこの姿勢を堅持しなければならないと思う。
    日本政府と日本国民は、文政権だけでなく将来の韓国のどの政権に対しても、「理不尽」な行為には毅然とした態度で臨むことがこれから必要だと思う。日韓の歴史観、法律観、文化、ものの見方など多くの点で大きな違いがあるからだ。

(写真)半導体規制強化をめぐる日韓事務レベル初会合

半導体輸出強化の正当性を国際社会に訴えよ 元徴用工問題と絡める韓国政府の巧みな戦略(上)

2019年07月14日 13時08分50秒 | 日韓関係
  日本政府は4日、半導体などの材料3品目を対象に、韓国への輸出許可の手続きを厳密にする規制強化策を発動した。これを受け、米紙「ニューヨークタイムズ」など海外紙や国内主要紙のなかには、「世界貿易機関(WTO)のルールに違反か」「自由貿易に逆行」などの日本政府への批判がわき上がった。一方、韓国政府は日本がWTOのルールに違反していると非難し、WTOに提訴すると息巻いている。
  また韓国政府は、韓国人の元徴用工問題をめぐる最高裁判決に対する日本の報復だと国際社会に訴えている。韓国最高裁は日本の植民地時代に元徴用工を動員した日本企業に損害賠償を支払へとの判決を下した。
  日本政府が韓国への規制強化策を発動して以来、1週間あまりがたった。経済・金融分野において全くの素人である私は、日本政府が日韓請求権協定に基づいて元徴用工問題をめぐる話し合いを韓国政府に申し入れたが、韓国政府が現在まで応じないことへの強攻策だと思った。しかし、元経済産業省貿易管理部長の細川昌彦・中部大学特任教授らの話から判断すると、そうではないとの結論に至った。
  かつて経済産業省で貿易管理の責任者だった細川氏は「韓国に対して新たに『輸出規制を発動』するものではない。2004年から特別に優遇して簡略化していた韓国向け輸出手続きを、2003年まで実施していた普通の手続きに戻すものだ」と強調。輸出に際しての「個別許可」は、輸出管理の世界では国際的な原則であり、特別に信頼できる相手国についてのみ、「包括許可」による手続きの簡略化が認められていると話した。
  優遇対象国は、3年ごとに有効な「包括許可」を得られ、その期間は日本当局の許可なくいつでも輸出できる。日本はこの対象国を「ホワイト国」と呼ぶ。2004年にこの「ホワイト国」に韓国が追加された。
  個別許可は韓国企業と日本企業との半導体についての一つの契約ごとに必要だが、製品について一度個別契約を締結すれば、その製品を何度も出荷してもよく、出荷ごとに許可を得る必要ないという。
  日本は安保戦略友好国のインドや友好国のインドネシアを「ホワイト国」に指定していない。また欧州連合(EU)が輸出管理のうえで特別優遇しているのは日本を含めて8カ国で、これに韓国は入っていない。
  細川氏は「EU並みの手続きに戻したとも言える。それでどうして『自由貿易に逆行する』との批判が各国から出るのだろうか」と疑問視している。
  「ホワイト国」は4分野での輸出管理の枠組みに参加し、国内で厳格に輸出管理をしていることが必要不可欠だという。
  日本は厳格に輸出管理をしているかどうかを確認するための協議をホワイト国と定期的に話し合ってきた。この協議を、日本は欧州などほかのホワイト国と実施してきている。しかし近年、韓国だけは、日本との輸出管理の協議に応じていないという。その理由は分からない。
  韓国は1990年代、国際的な輸出管理の枠組みのメンバーではなかった。細川氏は「私は韓国がそのメンバーに参加できるよう、各国に働きかけ、韓国にも再三足を運んで、韓国が輸出管理をしっかりできるように全面的に支援していた。その結果、韓国も国際枠組みのメンバーになることができ、韓国からも日本のそれまでの協力、働きかけに感謝されていた」と話す。
  韓国への半導体素材の輸出規制を実施した責任者の世耕弘成・経済産業相がツイッターで、今回の措置について3点を挙げた。

 (1)輸出管理での意見交換に韓国が応じていないこと
 (2)輸出管理に関する不適切な事案が発生していること
 (3)元徴用工問題などで信頼関係が損なわれたこと

  細川氏は世耕大臣のコメントは適切ではないと論じ、「(3)はあくまで一般的な『背景』で、今回の措置を行う『理由』とは違う。理由はあくまでも輸出管理上の理由でなければならない。国内の対韓国強硬論の声に応えたいのかもしれないが、それは国内政治の論理だ。また韓国にもそうしたメッセージを送りたいのかもしれないが、それは本来の輸出管理とは別次元の問題だ」と話す。
  私も細川氏の話を聞いて納得した。(3)を持ち出しては、国際社会や世界各国政府の理解を得られないと思う。あくまで韓国が(3)を絡めて、米国や国際社会に日本の不当性を訴えていくだろう。