世界一「阿呆」な政治家は誰か。米国のドナルド・トランプ大統領だと私は思う。私は名誉毀損と思える言葉をリードにあえて置いた。それは私の嘆きであるばかりか、世界の人々の慟哭である。
トランプ政権は4日、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」からの脱退を国連に通告し、正式に手続きを開始した。
パリ協定は、温暖化に向かっている気候変動に歯止めをかけるため、長期目標として今世紀末までに、国連加盟国に気温の上昇幅を2℃未満、できれば1.5℃以内に収めるよう求める。そのため、22世紀の夜明けまでに人為的な温室効果ガス排出量を実質ゼロにまで減らすことを規定する。
トランプ大統領の脱退への思惑は明確だ。彼は3年前の大統領選期間中、気候変動は「でっち上げ」だと主張し、炭鉱労働者に媚びを売った。来年の大統領選挙に勝つために、石炭や鉄鋼などの重厚長大産業の労働者の支持を得たい気持ちは4年前と変らない。
今までアメリカの主要なエネルギー供給源だった石炭産業界や、経済成長を支えてきた重工業産業は米国のパリ協定からの離脱を歓迎している。
朝日新聞の報道によれば、ポンペオ米国務長官は「(パリ協定が)米国の労働者、ビジネス、納税者に経済的な重荷を課している」と、脱退理由を説明した。パリ協定に基づいて、米国が拠出(一部は拠出済み)する30億ドルを、ポンペオ国務長官は「重荷」と述べたが、はたいしてそうなのか。それは「重荷」ではなく、「貢献」だ。
今まで米国産業を支えてきた石炭労働者や鉄鋼労働者は、イギリス産業革命(18世紀後半から19世紀前半)当時の英労働者と同じ心理だ。そして、目の前の現象(来年の大統領選)にのみとらわれ、長期的な展望を描く能力が全くないトランプが彼らの票を求める構図だ。
産業革命当時、英労働者は、さっそうと登場した蒸気機関などの「新兵器」を打ち壊して、自分らの仕事を守ろうとあがいた。しかし、時の流れは彼らを押し流した。トランプと石炭労働者も、パリ協定に反対しても、石炭や鉄鋼産業を押しつぶす元凶であるIT革命に飲み込まれよう。時の流れの変化に対抗する者は必ず滅びる。IT革命はパリ協定を背後から後押ししているように見える。
歴史は将来、トランプという史上最悪の指導者を正しく評価するだろう。それは必然の歴史の法則だと思う。この男の判断尺度はすべて「金」である。環境問題だけでなく、安保もしかり。政治家にとって致命的な欠陥だ。
米国での山火事の多発、アマゾン流域の山火事による広大な森林焼失面積、台風によって一度に多数の河川が氾濫した今年の日本。どれをとっても温暖化現象の証拠にほかならない。
米国のビル・クリントン元大統領はツイッターで「パリ協定に背を向けることは大きな間違いだ。気候変動は現実だ。子供達にもっといい未来を。未来を保証することによってもっと仕事が生まれる」と書き込んだ。それは歴史の流れを正確に捉えている。
(写真)パリ協定からの離脱を発表するトランプ米大統領
トランプ政権は4日、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」からの脱退を国連に通告し、正式に手続きを開始した。
パリ協定は、温暖化に向かっている気候変動に歯止めをかけるため、長期目標として今世紀末までに、国連加盟国に気温の上昇幅を2℃未満、できれば1.5℃以内に収めるよう求める。そのため、22世紀の夜明けまでに人為的な温室効果ガス排出量を実質ゼロにまで減らすことを規定する。
トランプ大統領の脱退への思惑は明確だ。彼は3年前の大統領選期間中、気候変動は「でっち上げ」だと主張し、炭鉱労働者に媚びを売った。来年の大統領選挙に勝つために、石炭や鉄鋼などの重厚長大産業の労働者の支持を得たい気持ちは4年前と変らない。
今までアメリカの主要なエネルギー供給源だった石炭産業界や、経済成長を支えてきた重工業産業は米国のパリ協定からの離脱を歓迎している。
朝日新聞の報道によれば、ポンペオ米国務長官は「(パリ協定が)米国の労働者、ビジネス、納税者に経済的な重荷を課している」と、脱退理由を説明した。パリ協定に基づいて、米国が拠出(一部は拠出済み)する30億ドルを、ポンペオ国務長官は「重荷」と述べたが、はたいしてそうなのか。それは「重荷」ではなく、「貢献」だ。
今まで米国産業を支えてきた石炭労働者や鉄鋼労働者は、イギリス産業革命(18世紀後半から19世紀前半)当時の英労働者と同じ心理だ。そして、目の前の現象(来年の大統領選)にのみとらわれ、長期的な展望を描く能力が全くないトランプが彼らの票を求める構図だ。
産業革命当時、英労働者は、さっそうと登場した蒸気機関などの「新兵器」を打ち壊して、自分らの仕事を守ろうとあがいた。しかし、時の流れは彼らを押し流した。トランプと石炭労働者も、パリ協定に反対しても、石炭や鉄鋼産業を押しつぶす元凶であるIT革命に飲み込まれよう。時の流れの変化に対抗する者は必ず滅びる。IT革命はパリ協定を背後から後押ししているように見える。
歴史は将来、トランプという史上最悪の指導者を正しく評価するだろう。それは必然の歴史の法則だと思う。この男の判断尺度はすべて「金」である。環境問題だけでなく、安保もしかり。政治家にとって致命的な欠陥だ。
米国での山火事の多発、アマゾン流域の山火事による広大な森林焼失面積、台風によって一度に多数の河川が氾濫した今年の日本。どれをとっても温暖化現象の証拠にほかならない。
米国のビル・クリントン元大統領はツイッターで「パリ協定に背を向けることは大きな間違いだ。気候変動は現実だ。子供達にもっといい未来を。未来を保証することによってもっと仕事が生まれる」と書き込んだ。それは歴史の流れを正確に捉えている。
(写真)パリ協定からの離脱を発表するトランプ米大統領