「世界中どの地域でも、人々の寿命は年々長くなり、子どもの死亡率は低下している。しかし病気にかかる人々は年々増え、現代社会に適応できない人々も増えている」。AP通信はこのほど、ロンドンからこのように伝えている。
1990年の最大の問題は、5歳以下の幼児の死亡だったという。毎年1000万人以上が亡くなった。この年以降、世界保健機構(WHO)や各国政府の努力で、5歳以下の幼児への小児マヒやはしかのワクチン接種率が向上し、この年代の死亡者は約700万人に減った。
開発途上国の子どもの脅威は、伝染病だけでなく、栄養失調だ。「現在、アフリカを除いて、世界の子どもは少なくとも飢餓から解放された」(AP)。
いまや子どもの死亡率の低下と反比例して成人病が増えている。こどもの生存率が上がっているが、大人の成人病は増えている。その主要な原因は高血圧、それに続いて喫煙とアルコール。喫煙やアルコールが原因と思われる病気が年々増えている。
ワシントン大学の健康評価研究所のクリストファー・マーレー所長は「幼児や未成年の死亡ではなく、成人の慢性病、交通事故死、精神病、病気の合併症が世界の人々の健康への脅威になっている」と話している。
先進国ではこの傾向が顕著で、「健康問題の半分以上を占めている」(AP)という。この傾向は高齢化によりさらに拍車がかかっている。
寿命が延びれば延びるほど、人々が“友人”として成人病と付き合う期間が長くなる。また白内障や緑内障などにかかり視力が失われていくし、耳も遠くなる。躁鬱(そううつ)病患者も多くなる。
英医学週刊誌『ランセット』(The Lancet)12月13日、この報告をインターネット上で発表した。同誌は、世界で最もよく知られ、最も評価の高い世界五大医学雑誌の一つであり、編集室をロンドンとニューヨークに持っている。
50カ国の研究者480人以上が2010年までに医学データ、各自の研究報告や各国の国勢調査を分析し、その結果を報告したという。この報告書によると、日本の平均寿命は1990年同様2010年も世界一で、男性は79歳、女性は86歳。米国は男性が76歳で女性が81歳だった。
南米では、殺人が死因の第3位を占めている。「治安が悪い」という言葉では表現できないほどのひどい状況だ。米国は21位、西ヨーロッパでは57位。各国の死因を合計した世界統計では、「殺人」が20位にランクされている。
自殺は世界で21位番目に多い死因。地域別でみれば、インドから中国にかけての“自殺地帯”で死亡原因の9番目にランクされており、北アメリカでは14位、西ヨーロッパでは15位を占めている。アフリカでは、15-49歳の死因のトップは糖尿病だ。
世界的に見て、心筋梗塞などの心臓病や、脳溢血などの脳卒中が依然として死亡原因の第1位。肺がんが5位に上がってきた。エイズは1990年には35位だったが2010年には6位に浮上した。
成人の慢性病が世界の死亡原因の主流を占めているが、アフリカではこの傾向が見られず、エイズ、マラリア、結核が主要な死亡原因。
公衆衛生の向上にはさらに多くのデータが必要だという。そうして初めて世界の病気を撲滅する糸口が見いだせる。ロンドン衛生・熱帯病スクールの熱帯病学者のサンディー・カーンクロス氏が「ランセットの報告書だけでは不十分で、もっとデータを集めてよりよい“映像”を映し出さなければならない」と話している(AP)。
AP通信社の報道から、現在、世界が抱えている死亡原因を理解できる。ただ、南米で殺人が死因の3位だというのには驚く。日本の治安がどんなに良いかを理解できる。日本の治安の良さは過去からの積み上げであり、一夜でできあがったものではない。14世紀半ばの南北朝の頃、京都で野盗が横行し、庶民を苦しめたと記録にあるが、現代の南アメリカの殺人件数の高さはこの比ではないのだろう。
今年最後は暗い話になった。健康がもっとも大切だ。健康であれば、歴史がわれわれに味方した時にはどんなことでもできる。一にも二にも健康だ。よいお年をお迎えください。
1990年の最大の問題は、5歳以下の幼児の死亡だったという。毎年1000万人以上が亡くなった。この年以降、世界保健機構(WHO)や各国政府の努力で、5歳以下の幼児への小児マヒやはしかのワクチン接種率が向上し、この年代の死亡者は約700万人に減った。
開発途上国の子どもの脅威は、伝染病だけでなく、栄養失調だ。「現在、アフリカを除いて、世界の子どもは少なくとも飢餓から解放された」(AP)。
いまや子どもの死亡率の低下と反比例して成人病が増えている。こどもの生存率が上がっているが、大人の成人病は増えている。その主要な原因は高血圧、それに続いて喫煙とアルコール。喫煙やアルコールが原因と思われる病気が年々増えている。
ワシントン大学の健康評価研究所のクリストファー・マーレー所長は「幼児や未成年の死亡ではなく、成人の慢性病、交通事故死、精神病、病気の合併症が世界の人々の健康への脅威になっている」と話している。
先進国ではこの傾向が顕著で、「健康問題の半分以上を占めている」(AP)という。この傾向は高齢化によりさらに拍車がかかっている。
寿命が延びれば延びるほど、人々が“友人”として成人病と付き合う期間が長くなる。また白内障や緑内障などにかかり視力が失われていくし、耳も遠くなる。躁鬱(そううつ)病患者も多くなる。
英医学週刊誌『ランセット』(The Lancet)12月13日、この報告をインターネット上で発表した。同誌は、世界で最もよく知られ、最も評価の高い世界五大医学雑誌の一つであり、編集室をロンドンとニューヨークに持っている。
50カ国の研究者480人以上が2010年までに医学データ、各自の研究報告や各国の国勢調査を分析し、その結果を報告したという。この報告書によると、日本の平均寿命は1990年同様2010年も世界一で、男性は79歳、女性は86歳。米国は男性が76歳で女性が81歳だった。
南米では、殺人が死因の第3位を占めている。「治安が悪い」という言葉では表現できないほどのひどい状況だ。米国は21位、西ヨーロッパでは57位。各国の死因を合計した世界統計では、「殺人」が20位にランクされている。
自殺は世界で21位番目に多い死因。地域別でみれば、インドから中国にかけての“自殺地帯”で死亡原因の9番目にランクされており、北アメリカでは14位、西ヨーロッパでは15位を占めている。アフリカでは、15-49歳の死因のトップは糖尿病だ。
世界的に見て、心筋梗塞などの心臓病や、脳溢血などの脳卒中が依然として死亡原因の第1位。肺がんが5位に上がってきた。エイズは1990年には35位だったが2010年には6位に浮上した。
成人の慢性病が世界の死亡原因の主流を占めているが、アフリカではこの傾向が見られず、エイズ、マラリア、結核が主要な死亡原因。
公衆衛生の向上にはさらに多くのデータが必要だという。そうして初めて世界の病気を撲滅する糸口が見いだせる。ロンドン衛生・熱帯病スクールの熱帯病学者のサンディー・カーンクロス氏が「ランセットの報告書だけでは不十分で、もっとデータを集めてよりよい“映像”を映し出さなければならない」と話している(AP)。
AP通信社の報道から、現在、世界が抱えている死亡原因を理解できる。ただ、南米で殺人が死因の3位だというのには驚く。日本の治安がどんなに良いかを理解できる。日本の治安の良さは過去からの積み上げであり、一夜でできあがったものではない。14世紀半ばの南北朝の頃、京都で野盗が横行し、庶民を苦しめたと記録にあるが、現代の南アメリカの殺人件数の高さはこの比ではないのだろう。
今年最後は暗い話になった。健康がもっとも大切だ。健康であれば、歴史がわれわれに味方した時にはどんなことでもできる。一にも二にも健康だ。よいお年をお迎えください。