平成の大横綱の貴乃花親方が25日夕方、東京都港区の弁護士事務所内で会見を開き、年寄を引退する届けを相撲協会に提出したことを明らかにした。親方は「(貴ノ岩暴行事件での)告発状の内容を全て事実無根として認めなければ、一門に入れない、と相撲協会に迫られた」「真実を曲げて告発は事実無根であると認めることは私にはできません」などと訴え、会見を開くまでの経緯を200人を超える記者に話しかけた。一方、日本相撲協会側は、貴乃花親方が主張した引退理由を真っ向から否定し、引退届を受理せず、貴乃花親方の主張と対立している。
貴乃花の見解によれば、ことし8月7日に日本相撲協会から八角理事長名で、外部の弁護士の見解を添付した文書が届き、「告発状は事実無根な理由に基づいてなされたもの」と結論づけられていたという。
この告発状は、貴乃花親方が3月9日に内閣府に提出したもの。その中で、弟子の貴ノ岩が元横綱の日馬富士から傷害をうけた事件に関しての日本相撲協会の対応について訴え、協会への立ち入り検査などを求めた。しかし、その後、弟子の貴公俊が付け人を支度部屋で殴り、監督不行き届きを反省して3月28日には、告発状を取り下げた。だが、協会側は、この告発状を問題視し続け、外部の弁護士に調査を依頼して文書を作成。貴乃花親方には8月末までに、この結論に対する回答の返答を求めていた。
会見で、NHKの記者が貴乃花親方に質問ではなくお願いとして聞いてほしいと話し、次のように述べている。「親方、誤解されているんじゃないかと思って聞いています。告発状の内容を全て事実無根として認めなければ一門に入れない、ということを相撲協会の総意として決めるとは考えられないんです。告発状を出した親方には親方なりの真実があると思います。その上で事実無根と認めなければ一門に入れないというのは一部の理事の意向ではないかと思います。もし、引退届を受け取った協会が話し合いの場を求めた場合はそれに応じてほしいんです。親方を応援したいという一門、親方はかなりの数いると思うんです。結論を急がさないほうが良いんじゃないかなと思うんです。僕は色んな話を聞いていて、そう思うんです。これは質問ではなく、お願いです……」。貴乃花は深く頭を下げながら「はい」と答えた。
私は思う。貴乃花と大相撲協会の確執の始まりは、二所ノ関一門に所属する貴乃花部屋師匠の貴乃花が、2010年の理事選挙で、一門内の事前調整を拒否して独自に立候補した時期からではないのだろうか。上意下達の協会の体質、異論を許さないスポーツ界の体質がここまで問題をこじらせたのだろうか。
貴乃花のまっすぐな性格は素晴らしいとは思うが、時として現実社会と齟齬をきたし、結果として弟子8人の未来に暗い影を投げかけているだけでなく、多くのファンを落胆させている。
一方、相撲協会の八角理事長も理事長だ。理事長としてイニシアチブをとり、粘り強く話し合いの場を持つ努力をすべきだ。八角理事長は貴乃花に直接「会おう」と言わなかったのだろうか。またこれこれからも「会って話し合おう」と言わないのだろうか。
貴乃花は「自分の意見は正しい」と思い込んだら頑固一徹で妥協を知らない人物とみられる。八角理事長は我々のような外部の人間よりも貴乃花の性格を理解していよう。その性格を理解して粘り強く説得するのがトップの行動ではないのだろうか。
相撲協会が貴乃花の告発状を問題視し続けるのもどうかと思う。貴乃花は取り下げたのだ。それでよいではないか。八角理事長は度量を持ってほしい。協会内に異なる意見や方針があって当然ではないか。異なる異見があるから理事長や協会のガバナンスが保たれないというのなら、それこそ問題だ。
また芝田山広報部長(元横綱大乃国)も記者会見の場で、書類が不備などと発言するのもおかしい。書類の不備は裏で貴乃花に言えば良い話しで、それを公衆にさらす必要はない。さらに油を火に注ぎ、事態を複雑にしている。
NHKの記者の見解は一考に値する。貴乃花と八角理事長は胸襟を開いて話し合ってはどうだろうか。両者が共に持ち合わせていない言葉は「説得」「議論」「妥協」という言葉だ。徹底的に議論してから結論を出しても遅くないと思う。
「話し合い」の欠如は貴乃花や大相撲協会だけの問題ではない。安倍晋三首相や自民党、野党そして日本社会にもその傾向が日々強くなっている。相手を批判するだけですべてが終わりだ。批判合戦で終わりだ。それでは何らの進展がない。70歳の老人がそれを最も憂いている。
「議論」「話し合い」、「妥協」は民主主義の基本であり花である。議論し尽くして、最後にトップが決断する。そして皆がそれに従う。チャーチルはいつも異見論者に耳を傾けた。異見論者の見解を良いと思えば躊躇なく取り入れた。植民地問題を巡ってチャーチルと見解を異にした喜劇王チャールズ・チャプリンはそのようなチャーチルの姿勢を褒め、「チャーチルの魅力のひとつは他人の意見にどこまでも耳を傾けるところにある」と話した。貴乃花親方も八角理事長もチャーチルのような度量を持ってほしい。両者は冷静になって、テーブルに着くことをアドバイスしたい。
貴乃花の見解によれば、ことし8月7日に日本相撲協会から八角理事長名で、外部の弁護士の見解を添付した文書が届き、「告発状は事実無根な理由に基づいてなされたもの」と結論づけられていたという。
この告発状は、貴乃花親方が3月9日に内閣府に提出したもの。その中で、弟子の貴ノ岩が元横綱の日馬富士から傷害をうけた事件に関しての日本相撲協会の対応について訴え、協会への立ち入り検査などを求めた。しかし、その後、弟子の貴公俊が付け人を支度部屋で殴り、監督不行き届きを反省して3月28日には、告発状を取り下げた。だが、協会側は、この告発状を問題視し続け、外部の弁護士に調査を依頼して文書を作成。貴乃花親方には8月末までに、この結論に対する回答の返答を求めていた。
会見で、NHKの記者が貴乃花親方に質問ではなくお願いとして聞いてほしいと話し、次のように述べている。「親方、誤解されているんじゃないかと思って聞いています。告発状の内容を全て事実無根として認めなければ一門に入れない、ということを相撲協会の総意として決めるとは考えられないんです。告発状を出した親方には親方なりの真実があると思います。その上で事実無根と認めなければ一門に入れないというのは一部の理事の意向ではないかと思います。もし、引退届を受け取った協会が話し合いの場を求めた場合はそれに応じてほしいんです。親方を応援したいという一門、親方はかなりの数いると思うんです。結論を急がさないほうが良いんじゃないかなと思うんです。僕は色んな話を聞いていて、そう思うんです。これは質問ではなく、お願いです……」。貴乃花は深く頭を下げながら「はい」と答えた。
私は思う。貴乃花と大相撲協会の確執の始まりは、二所ノ関一門に所属する貴乃花部屋師匠の貴乃花が、2010年の理事選挙で、一門内の事前調整を拒否して独自に立候補した時期からではないのだろうか。上意下達の協会の体質、異論を許さないスポーツ界の体質がここまで問題をこじらせたのだろうか。
貴乃花のまっすぐな性格は素晴らしいとは思うが、時として現実社会と齟齬をきたし、結果として弟子8人の未来に暗い影を投げかけているだけでなく、多くのファンを落胆させている。
一方、相撲協会の八角理事長も理事長だ。理事長としてイニシアチブをとり、粘り強く話し合いの場を持つ努力をすべきだ。八角理事長は貴乃花に直接「会おう」と言わなかったのだろうか。またこれこれからも「会って話し合おう」と言わないのだろうか。
貴乃花は「自分の意見は正しい」と思い込んだら頑固一徹で妥協を知らない人物とみられる。八角理事長は我々のような外部の人間よりも貴乃花の性格を理解していよう。その性格を理解して粘り強く説得するのがトップの行動ではないのだろうか。
相撲協会が貴乃花の告発状を問題視し続けるのもどうかと思う。貴乃花は取り下げたのだ。それでよいではないか。八角理事長は度量を持ってほしい。協会内に異なる意見や方針があって当然ではないか。異なる異見があるから理事長や協会のガバナンスが保たれないというのなら、それこそ問題だ。
また芝田山広報部長(元横綱大乃国)も記者会見の場で、書類が不備などと発言するのもおかしい。書類の不備は裏で貴乃花に言えば良い話しで、それを公衆にさらす必要はない。さらに油を火に注ぎ、事態を複雑にしている。
NHKの記者の見解は一考に値する。貴乃花と八角理事長は胸襟を開いて話し合ってはどうだろうか。両者が共に持ち合わせていない言葉は「説得」「議論」「妥協」という言葉だ。徹底的に議論してから結論を出しても遅くないと思う。
「話し合い」の欠如は貴乃花や大相撲協会だけの問題ではない。安倍晋三首相や自民党、野党そして日本社会にもその傾向が日々強くなっている。相手を批判するだけですべてが終わりだ。批判合戦で終わりだ。それでは何らの進展がない。70歳の老人がそれを最も憂いている。
「議論」「話し合い」、「妥協」は民主主義の基本であり花である。議論し尽くして、最後にトップが決断する。そして皆がそれに従う。チャーチルはいつも異見論者に耳を傾けた。異見論者の見解を良いと思えば躊躇なく取り入れた。植民地問題を巡ってチャーチルと見解を異にした喜劇王チャールズ・チャプリンはそのようなチャーチルの姿勢を褒め、「チャーチルの魅力のひとつは他人の意見にどこまでも耳を傾けるところにある」と話した。貴乃花親方も八角理事長もチャーチルのような度量を持ってほしい。両者は冷静になって、テーブルに着くことをアドバイスしたい。