英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

ロシアのプーチンの戦争は上手くいくのか 賭けの先行きは誰も分からない

2022年02月27日 20時05分11秒 | 国際政治と世界の動き
 ウクライナ侵攻の引き金を引いたロシアのプーチン大統領は賭けに成功するのか。未来は誰も分からない。彼の想像を超えた展開を見せるかもしれない。
 20世紀の偉大なイギリス宰相ウィンストン・チャーチルは断言する。「戦争を始めるとき、確実に自分の描いた結末になる保証はどこにもない」
 ロシア軍は2月24日、ウクライナに侵攻し、宣戦布告なき戦争を始めた。2日でウクライナの首都キエフが陥落する、との専門家の読みは外れた。
 プーチンの目的はウクライナのゼレンスキー政権をロシアの武力で打倒し、親露政権を樹立することにあるのは明白だ。そしてウクライナを緩衝地帯にして、プーチンが恐れる北大西洋条約機構(NATO)加盟国の増大を食い止める。
 果たして上手くいくのか。そうは思わない。
 予想に反して、ウクライナ軍は頑強な抵抗をしている。ただロシア軍はロシア・ウクライナ国境に集結させた兵力の3分の1しか投入していない。これからはなり振り構わず、残りの兵力を投入し、クラスター爆弾を落とし、もしかすれば戦術核をも使う可能性がある。
 ロシア軍は最終的にはウクライナ軍を打倒し、ウクライナ軍はロシア軍に降伏する可能性が高い。だとしても、これでプーチンは戦争に勝ったと言えるのか。プーチンは4,400万のウクライナ国民に支持される傀儡政権を打ち立てることができるのか。現在の状況を見ていると、ウクライナ国民の抵抗、レジスタンスは必至だ。言い換えれば、プーチンはウクライナ国民の支持と合法性を有した政権を樹立できるのか。答えはNOだ。
 さらにプーチンの侵略はプーチンにとって悪夢のシナリオを作り出している。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、北大西洋条約機構(NATO)は25日、オンライン形式で緊急の首脳会議を開催した。その会合に、よりによってEUとともに中立国のスウェーデンとフィンランドが参加したのだ。
 フィンランドのサウリ・ニーニステ大統領は今年1月、ウクライナ状勢を目の当たりにしてNATOに加盟する用意があると声明を発表。ロシアのウクライナ侵攻後、「ヨーロッパの安全保障の秩序全体に対する攻撃でもあります。私たちはウクライナに深い同情を感じる」と述べた。
 ロシア帝国の時代、フィンランドはロシアの一部だった。そして第1次世界大戦終了後、フィンランドは独立した。1939年、旧ソ連のスターリンは「安全保障上の問題だ」としてフィンランドに侵入し冬の戦争をした。半年でこの戦争は終わったが、その後フィンランドはナチス・ドイツ側につき、敗北した。
 旧ソ連は1948年、フィンランドと条約を締結し「フィンランドの中立化、フィンランドゼーション」に成功した。旧ソ連とロシアにとってフィンランドは決してロシアの敵側に味方してはならない国だ。
 西ヨーロッパからウクライナの廊下を通ってロシアに入ることを許さないと同様に、スカンジナビア半島からロシアに攻め込まれることをロシアは許さない。しかしロシアのウクライナ侵略は、フィンランドやスウェーデンの不安と恐怖を倍加させ、中立を捨ててNATO加盟に傾いている。
 プーチンは数日前、フィンランドに警告した。「もしフィンランドがNATOに加盟したら、ウクライナと同じ運命をたどる」
 19世紀的な帝国主義者、冒険主義者のプーチンと米国の国力衰退は現在の平和と安定を揺るがしている。さらに中国の習近平指導部の台湾統一の野望。さらには「プーチンのウクライナ侵攻」を「天才のなせる技」と絶賛したアメリカのトランプ前大統領の荒唐無稽な発言だ。
 この3人の愚か者によって世界はまさに動乱の時代を迎えている。日本史では、ロシアのウクライナ侵攻は、応仁の乱なのか。戦国時代に入るのか。ただ、16世紀の戦国時代は核兵器がなかった。今はある。プーチンは米国に向けて核の脅しをした。私は不安でいっぱいだ。

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