英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

若者の中に本来の日本人を見た!  内田、安倍両氏は恥を知れ 悪質タックルをした日大アメフト選手の会見に思う

2018年05月23日 14時42分23秒 | 時事問題
 「正直宮川くん 嘘つき安倍くん」。これは保守派の論客で漫画家の小林よしのりさんが5月23日に書いたブログだ。私は小林さんの右派的な考えには賛同できないところが多々あるが、このブログには100%賛同する。小林さんはこう綴る。
 
 『日本大学の宮川選手は責められない。あのように痛切に反省し、誤魔化しのない謝罪をしたことは評価できる。やったことは取り返しがつかないが、あの謝罪は彼の人生を歪ませずに済む。もともと正直な性格だったのだろう。たまたま指導者が悪質過ぎた。これが子供の頃から平然と嘘つくような人間は、大人になり、年季を重ねてくると、あまりにも平然と嘘をつく人格になる。日大の指導者たちはもちろんその種の嘘つきだが、一国の首相にも「平然嘘つき」がいる。安倍晋三くんは子供の頃に「宿題やったか」と聞かれて、まったく手をつけてないにも関わらず、「うん、済んだ」と平然と答える性格だったらしい。ウソがバレて、学校側から1週間でさらに別の宿題を罰として出されても、本人がやらず、安倍の養育係だった女性が代わりにやってあげていたという。いやはや実に伸び伸びと嘘つきに成長してしまったのだ。道徳の教科書に載せたらどうだろう?「正直宮川くんと嘘つき安倍くん」という題で』

 宮川泰介君の昨日の記者会見をテレビで拝見しているうちに、私の目に熱いものがこみ上げてきた。「「僕がアメリカンフットボールを続けていく権利はないと思ってますし、この先、アメリカンフットボールをやるつもりはありません。今のところ、何をしていくべきかもわからない」。率直に自分が犯した、取り返しがつかない行為を認めた。内田元監督、安倍首相、柳瀬唯夫・元首相秘書官らが決してできないことを、この20歳の若者がやってのけた。責任の取り方を大人に示したのだ。封建時代の武士が切腹したのと同じであり、現在的に言えば、好きだったアメフトを辞める決意をして責任をとったことになる。
  それにしても内田正人前監督ら日大首脳部は20歳になったばかりの青年を矢面に立たせて彼の後に隠れ、既得権を守ることに汲々としている。内田氏の自己保身は明らかだ。
 「潰してこい」という言葉に監督、コーチと宮川君の間に乖離があった、とこの時に至っても日大と日大アメフト部は主張する。宮川君の会見後、日大はいったんは今までの見解を否定しながら、4時間後に元の路線を踏襲し、いぜんとして「乖離」があると言い続けている。
 宮川君によれば、井上コーチから、「相手のクォーターバックとは知り合いなのか」「関学との定期戦がなくなってもいいだろう」「相手のクォーターバックがケガをして、秋の試合に出られなかったら、こっちの得だろう。これは本当にやらなくてはいけないぞ」と念をおされたという。
 内田監督は「宮川なんかはやる気があるのかないのかわからないので、そういうヤツは試合に出さない。辞めていい」と言い放ち、井上コーチからは「お前が変わらない限り、練習にも試合にも出さない」と話したという。
 宮川君の話は詳細でありかつ具体的だった。そして監督やコーチの責任にせず、理不尽な命令を跳ね返せるだけの強じんな気持ちがなかったと反省し、自分が悪いと話す。「監督、コーチからの指示に自分で判断できなかった。自分の弱さだと思っています」
 私はこの若者に、日本人がすでに遠い昔に失ってしまった武士道を感じ、抱きしめたい衝動に駆られた。20世紀の偉大な宰相ウィンストン・チャーチルは「すべての人間は自分が試される重大な時局に立ち至ったとき、どう行動するかで評価が決まる。そんなとき、勇気を振り絞るのだ。勇気こそ人間の資質の中で最初に挙げられる素晴らしい価値だ。なぜ?それは、いままで言われてきたことだが、ほかの資質すべてを担保するからだ」と明確に述べている。
 宮川君はチャーチル精神を見事に体現した。立派だった。彼のした危険きわまりない、スポーツのルールを逸脱した行為は決して許されない。宮川君が批判されて当然だ。しかし彼はそれを十分自覚し「アメフトをする資格がないし、するつもりもない」と責任をとった。そしてけがをした関西学院の選手とご両親に、神戸まで足を運び謝罪した。
記者が今回の事件でどんな教訓を得たかとの質問に「正しくないことを拒絶する強い気持ちを持たなければならないと思いました」と語った。
 宮川君は記者会見で、60歳をすぎている日大常務理事の内田氏(前監督)と一国の宰相、安倍晋三氏に教えている。本来は彼らが教えなければならないのに。本末転倒だ。内田氏は自己保身に走り、安倍首相は、愛媛県から新資料で出てきても、なお友人の加計学園理事長に2015年2月に会わなかったと言い張る。初めて会ったのは2017年冬だと主張する。根拠が崩れているのに。そして柳瀬唯夫・元首相秘書官は宮川君が持っている勇気がないため真実を話すこともなく、ただただ首相をかばうばかりだ。要するに大の大人3人は真実に向き合おうとする勇気がないのだ。
 宮川君の会見は日本の若者の良心がいまだ健在なのを示している。チャーチルはこう話す。「歴史はまたたくランプのように過去の痕跡を照らし、過ぎ去った人々の心の拠り所を明かしています。人間にとって最も価値あるものは何でしょうか。それは良心だけです。(過去を振り返り自分を正当化できる)唯一の追憶の盾は自分の行動に対する正直さと誠実さです。この盾を持たずに人生を歩むことほど軽率なことはない」
 宮川君はこの盾をしっかりと抱いて人生を進んでいる。宮川君が今から半世紀して老齢を迎え、過去を振り返ったとき、この記者会見は追憶の盾を持っていた証となるだろう。この盾を持ち続け、名誉の隊列を進んでほしい。「この盾を持つ以外に選択肢はないのです」と話した20世紀の大宰相チャーチルは、生きていれば、宮川君に「あっぱれ」と賞賛するだろう。

 追伸:あす日大アメフト部は再度関西学院アメフト部に回答する。今までと同じ内容に思えるが、もし内田氏を守るために、今回は井上コーチに責任をかぶせないことを願う。もし私の杞憂が現実となるのなら、これは言語道断の行為であり、日大No2の内田氏は永遠に浮かばれないだろう。

嘘は必ずばれる   安倍首相と日大の内田監督からわれわれが学ぶこと

2018年05月21日 21時30分58秒 | 時事問題
 きょう、加計学園問題をめぐる新文書を愛媛県が参院予算委員会に提出し、これまでの安倍晋三首相の国会での答弁は根底から覆された。記者の質問に首相は無言で立ち去った。首相の最後のあがきなのだろうか。命運は決まった。安倍首相が地元の長州藩を誇り、幕末の志士、吉田松陰を尊敬しているのなら、潔く首相を辞任するよう勧告する。一方、日大のアメフト選手のアンフェアータックルに対する内田前監督(19日に辞任)の責任をめぐる問題はいよいよ大詰めに至ったようにみえる。反則行為をした日大の選手が22日に都内で記者会見を開くことになり、監督の指示があったかなどの反則行為に及んだ理由について詳しく話すという。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設について、2015年2月に学園の加計孝太郎理事長が安倍首相に説明し、首相が賛意を示したとの愛媛県の文書が存在することがわかった。愛媛県は21日、参院予算委員会に獣医学部関連の文書を提出した。
 安倍首相は加計氏が「私の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことは一度もなく、獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ない」と語っていた。また、加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは17年1月20日、と説明。文書には15年2月の段階で加計氏から相談があったと記録されており、発言の整合性が問われそうだ。
 この文書が安倍首相を陥れようとしてつくられたのではないことは、当時の状況を推察すれば火を見るより明らかだ。この機に及んで、安倍首相がじたばたするのなら、何をか況んや。この上は、与野党と衆院議員が一刻も早く事態を収拾して、朝鮮半島をめぐる問題に対応してほしい。
 安部首相と話題を二分する日大アメフト問題はどうなのか。内田前監督が学生に「潰せ」と指令していたのなら、一番の犠牲者はある意味、反則した学生だ。明日午後に会見を開いて何を言うのか。もし事実を話すのなら、世間はこの学生を守らなければならない。日大当局の不当な圧力を監視しなければならない。
 それにしてもいつから日本で嘘や自己保身がまかり通るようになったのか。この二つの事件は子どもへの素晴らしい教科書題材になる。「うそをつけば必ずいつかはばれる。どんなに苦しくても、恥ずかしくても、つらくても真実を語りなさい。良心の盾を持つ以外に選択の余地はないのです。真実を述べれば、批判されても、将来には必ず、人々の信頼を呼び戻すことができる」。チャーチルが生前、何度もこの類いの名言を述べている。

日大のアメフト監督は引責辞任すべき    選手に責任を転嫁するな!

2018年05月17日 10時27分48秒 | スポーツ
 アメフトの日本大学と関西学院大学の試合で、日大の選手が危険なタックルで相手を負傷させた問題で、日大の内田正人監督はいまだ会見を開かず、悪質タックルが問題化して以降、公の場に姿を現していない。一方、危険行為をした選手だけが矢面に立たされ、退部して退学する可能性もあるという。内田監督は、監督である前に教育者であることを自覚していないように見える。
 内田監督が学内の聞き取り調査に、「反則行為を指示したことはない」と話していることが分かった。日大広報部が16日明らかにした。たとえ反則行為を指示していようがいまいが、学生に反則行為を取らせるような言葉を投げかけたことは確かだ。試合後の記者とのやりとりで明らかだ。また「試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい」と言ったという。この危険な言葉を学生が額面通り解釈した。それを実行したとしても合点がいく。
 反則行為をしたこの学生はその後、交代した関西学院のクオォーターバックにラフなプレイを繰り返している。危険な行為をしたこの選手が同じ行為を繰り返すことは、監督やコーチの指示なくしてはあり得ない。唯一度だけなら、この選手の独断だと判断もできる。内田監督は”最高司令官”としての責任は重大だ。監督責任をとって、アメフト監督を辞任するのが筋だ。
 今から半世紀前に高校の運動部にいた私にはそう感じる。先輩や監督には何も言えない。内田監督のような指導者は50年前もたくさんいた。今も変わらないのかと思うと情けない。威圧やパワハラだけで試合に勝てるわけがない。かえって選手が萎縮する。
 記事によれば、この選手はチームから干されていて、精神的にも追い込まれている状態だった。試合の先発メンバー表には、反則を犯した選手の名前はなかったとして、「つまり、当該選手は関学大QBを『壊す』ためだけに出場の機会を与えられていた」と糾弾。相手QBを負傷させた選手は試合後に涙を流していた、とも伝えている。
 日大の広報担当者は16日夕のJ-CASTニュースの取材に、「一部の報道は事実ではないので、大変困惑している。監督やコーチが、ああいったプレーをしろと指示した事実はない。そんな指示を出しても、仕方がないでしょう」ときっぱり否定する。なお、同じ広報担当者は14日の取材時にも、「あくまでプレーは瞬間的なものですので、こちらとしては、今回の件は偶発的なアクシデントだったと認識しております」との見解を口にしていた。
 危険な行為をした選手が一度だけラフプレイをしたのなら、日大広報部の発言を理解する。しかし三度もやっていて何が「瞬間的」なのか?日大は「なぜ自ら記者会見を開き釈明しないのだ。内田監督も、なぜ記者会見を開き、事実を述べないのだ。
 内田監督が危険行為をせよとの類いの指令を出していたのか。もしこの事実を隠蔽することが日大の名誉を守ることだと日大首脳が考えているのなら、とんでもない間違いだ。日大の再生は真実を誠実に話すこと。これなくして日大アメフト部と日大そのものの再生はないと断言する。日大の名誉を守ることは、記者会見を開いて真実を話すこと以外にない。
 今日の日大の体質は1960年代後半から70年代初頭と変わらないように思える。使途不明金20億円問題と日大首脳の独裁に反対して立ち上がった秋田明大議長ら当時の日大学生の行動は左翼過激派とは違う性質だった。私の高校時代の友人も日大生で、この闘争に参加した。彼から日大内部のことを聞いた。
 内田監督は日大の常務理事でもあり、学内人事を担当している。大学のNo2だ。外部から見ていると、日大幹部は自分の名誉を守ろうとしている。反則学生を犠牲にして自分を守ろうとしているとしかみえない。感情的な言葉で言えば、「恥を知れ」と申し上げたい。もし私の誤解なら、一刻も早く記者会見をして真実を話せ!それが教育者だと日大幹部に申し上げる。また内田氏に強く言う。君はアメフトの監督である前に教育者ではないのか。だったら、雲隠れしているとメディアに批判される前に、堂々と皆の前に出てきて持論を展開すべきだ。「現在忙しい」ので会見できないという言葉が通じるとでも思っているのか。ボロが出てくるから会見できないと考えているのか。一刻も早く出てきてほしい。

 追伸:スポーツマンシップに反する行為についてのこの問題で、NHKが関西学院大学アメフト部の記者会見を今日の午後に生中継したのには驚いた。それほど社会を震撼させた大きな出来事だったのだろう。どうも内田氏はことの重大さに気づいていないようだ。
 関西学院大アメフトの鳥内秀晃監督が会見でこう述べた。「内田氏が最初の反則をした選手を直ぐに呼び戻して『壊すと言う意味は私の意図と違う』となぜ注意しなかったのか」。本当にそう思う。呼び戻さなかったこと事態、内田氏の「壊してこい」という指示の根拠になる。内田氏が新聞各紙の報道を否定するのなら、なぜ反則行為直後に選手を呼び返さなかったのか?
 内田氏の会見発言が気にかかる。日刊スポーツは試合直後の内田正人監督の「うちは力がないから、厳しくプレッシャーをかけている。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」という発言を報じている。「あれぐらいやっていかないと」という発言は、あの汚いプレイを認めているとしか思えない。
 日大が内田氏の学内での地位(常務理事)に配慮し、反則学生を切り捨てるような行為をしているようにも見える。日大アメフト部おOBで共同通信社運動部記者の宍戸 博昭さんはNHKのテレビで「私は内田さんに話したが、とりあってくれなかった」と語っている。
 内田氏の指示だと考えるのが妥当だが、もし反則学生の個人的な行為なら、アメフト部を退部させるのではなく、教育的な指導をすべきだ。ましてや退学をさせるようなことがあってはならない。もし内田監督の指示であり、日大当局が彼を守ろうとして学生に全責任を押しつけるようとしていうのなら、日大の教育機関としての存在はない。日大のダメージは計り知れない。来年の入学者は激減するだろう。
 内田監督は62歳。私は内田氏より年長だ。歳上の人間として言いたい。「あなたの年代になれば、責任という言葉をご存知だと思う。たとえ反則学生の個人的な行為だったとしても、あなたには指導上の責任がある。ましてや学生に誤解を与えるような激しい言葉を述べている。あなたはそれを認めている。責任をとり、監督と理事を辞するべきだと思う」。内田氏が記者会見を開き、見解を述べ、ケガをした関西学院のアメフトの選手や家族に直接謝るのが筋ではないのか。1週間以上がたってもそんな行動をしていない。情けないと思わないのか。
 また、反則学生の将来を考えるのが日大当局と内田監督の教育者としての務めではないのかと思うが、日大当局と内田氏は真逆の行動をしている。若い大学生には洋々たる前途がある。これから50年以上は生きていかなければならない。これに対して内田氏や私の人生は長くて10~25年だろう。内田氏の賢明な行動を願う。
 
 

チャーチルを尊敬する安倍首相   果たしてチャーチルを尊敬できるのか?  柳瀬元首相秘書官の参考人発言を聞いて

2018年05月11日 20時33分52秒 | 日本の政治
 柳瀬唯夫・元首相秘書官が昨日、参考人として衆参両院で与野党の質問に答えた。官僚が事実を喋らず、巧みにつじつまを合わせる名手だと感心した。
 柳瀬氏は国会で、加計学園の関係者との面会を認める一方、県と今治市の職員との面会については「今でもわからない」「いたのかもしれない」と主張した。メインテーブルの吉川泰弘元東大教授(現・岡山理科大獣医学部長)や学園の事務局の職員らと話したとし、彼らの背後にいた10人ほどの人物の中に今治市と愛媛県の職員がいたかどうかは分からないと答弁した。
これに対して、愛媛県の中村時広知事は11日の定例記者会見で改めて批判した。そして柳瀬氏の名刺を記者に見せた。
 同知事は「職員はメインテーブルに座っていた。後ろじゃない」と説明。面会したのは加計学園の関係者、県職員、今治市職員の計6人で、全員がメインテーブルに座っていたとした。また県職員が積極的に発言したとも主張。職員が記憶をもとに作成した発言内容のメモを会見後公表した。
 「ウソは最後にはばれる。恥を知りなさい」と日本人の親は子どもに諭すが、安倍首相も柳瀬氏も「ウソはばれない」とでも考えているのだろうか。また安倍首相が英国の名宰相ウィンストン・チャーチルを尊敬しているというのにも驚く。
 総理番記者は「実は、総理が尊敬してやまない政治家の一人がチャーチルなのです。愛読書の一つに彼の伝記『Never Despair』を挙げているくらいですから」と話す。「Never Despair」は日本語に翻訳されていない。安倍氏は英語でこの本を読んだのだろうか?
 チャーチルは生涯、正直を貫いた。政治的な立場が悪くなろうが真実を議員や国民に話した。自らの考えを語った。だからこそ、1930年代、自らが所属する保守党の大半の議員から総スカンを食らい孤立した。それでもナチス・ドイツについての見解を述べ続けた。何よりもウソをつかなかった。だからこそ、英国民は英国の危急存亡の土壇場になって、チャーチルが正直な人だと気づき、支持し、彼の下で団結したのだ。
 チャーチルは1940年11月12日の議会で、前首相で政敵のネビル・チェンバレンの追悼演説をした。チェンバレンはヒトラー・ドイツに宥和政策をおこない、ものの見事に裏切られた。
 チャーチル首相はチェンバレン前首相の追悼演説でこう述べた。
「歴史はまたたくランプのように過去の痕跡を照らし、過ぎ去った人々の人生の拠り所を明らかにします。人間にとって最も価値あるものは何でしょうか。それは良心だけです。(過去を振り返り、自分を正当化できる)唯一の追憶の盾は、自分の行動に対する正直さと誠実さです。この盾を持たずに人生を歩むことほど軽率なことはない。なぜなら、自分の希望が(他人から)裏切られうまくいかなくなっても、運命がいかようであろうとも、この盾を掲げて名誉の隊列を進むほかに、選択肢はないからです」
チャーチルは、チェンバレンが何事を犠牲にしてでも平和を希求する宥和政策を推進したことを批判したが、彼の誠実さと良心はたたえた。
 安倍首相はチャーチル首相のどこを尊敬しているのか、理解できない。チャーチルに対する世間の評価を聞き、チャーチルから深く学ばずに、ただただ闇雲に尊敬しているのだろうか。もしそうなら、天国のチャーチルはさぞや迷惑しているだろう。
 安倍首相を知る私の元同僚の中には、彼を「ぼんくら首相」だと批判する。ウソは必ずばれることを理解しないのだろう。チャーチルを尊敬しているというのであれば、森友・加計問題で、良心を持って事実を語ってほしい。


「今を生きる」ことを訴えた山口弘子さん       5月6日付朝日新聞を読んで思う

2018年05月09日 20時29分55秒 | 時事問題
 がんのため19歳で余命半年と宣言されてから、一生懸命「今を生きて」今年3月25日に25歳で亡くなった神戸市の山口弘子さんについての5月6日付朝日新聞の記事を読み考えさせられた。
 弘子さんは生前「人生は一度きり。長くても短くても、笑って過ごす人生がいいんじゃない」と語っていたという。ご主人の前田朋己さんは「がんだけでなく、病気やいじめ、経済的な問題で苦しんでいる人もいるが、今を生きてほしい。それが彼女へのはなむけになる」と話す。
 がんで入退院を繰り返しながら海外旅行や富士登山などに挑戦し、生命保険会社「アフラック」のCMでアイドルグループ「嵐」の櫻井翔さんと共演した。著書「雨上がりに咲く向日葵(ひまわり)のように~『余命半年」宣告の先を生きると言うこと』」を書いた。
 がんは肺などに転移し、肝臓や肺の手術は20回に及んだ。「なぜ自分が」と泣き叫んだり、物にあたったりすることもあったという。それでもただ一度の人生を力一杯生きた。そしてブログを通して同じ病気に苦しんでいる人々や健康な人々に勇気を与えた。
 山口さんだけでなく、志半ばにしてこの世を去った人々はたくさんいる。私の回りにも志し半ばで交通事故死した24歳の青年がいた。彼は2年半前に亡くなった。東日本大震災の津波で亡くなった宮城県石巻市立大川小学校の生徒74人もいた。
 20世紀の英国の宰相ウィンストン・チャ-チルは警護官のウォルター・トンプソン警部に「人間は死ぬ時が来れば死ぬのだよ」と死について達観したような口ぶりで話し、人生を通して勇気を示し、リスクをいとわなかった。そして彼は「皆人生は一度だけ」と話し、90年の生涯を力一杯生きた。いつも何かしていたという。
 人間の一生は一度だけ。権力ある者もない者も、富める者も貧しい者もみな同じだ。死は万人に到来する(生き物はみな同じ)。ただ人生は早いか遅いかの違いだけである。山口さんは若くして亡くなった。無念だったと思う。しかし「人生は一度きり。長くても短くても、笑って過ごす人生がいいんじゃない」と語り、人生を力いっぱい生きた。いくら長命であっても、無為に過ごす人々もいる。このような人生ほどもったいないことはない。
 人生の中で、不遇のときもあろう。経済的に恵まれない時もあろう。なかなか結論は出てこないが、その不遇の人生であっても、一生のうちでキラリと光ること、楽しいことがあるのではないのか。
 私は幸運にもことし古希を迎える。経済的にも並の人生だ。山口さんの記事を読み、今までを振り返り、無為に過ごしはしなかっただろうかと自問する。残りの人生はせいぜい15年前後だろう。25歳で亡くなった山口さんや大川小学校の児童に思いをはせれば、今を有意義に生き、無為に過ごさないようにしたいものだ。何歳になっても何かしらの夢を持ち、前向きに生きるたいと思う。チャーチルも生前、無為に生きることほど罪深いことはないという主旨のことを述べていた。25年の生涯を一生懸命生きた山口さんを思い、今一度これからの人生の生き方を考えたい。

 写真:アフラックの「生きるためのがん保険Days」のCMに出演した山口さんと櫻井さん。