英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

中国の法治はペテンにすぎない  共産党支配の永続の道具  「消えた弁護士たち  中国“法治”社会の現実」を見て 

2018年07月22日 22時01分13秒 | 中国と世界
 22日午後9時から放送されたNHKスペシャル「消えた弁護士たち 中国“法治”社会の現実」は大変良い番組だった。「法治(Rule of Law)]は共産党独裁体制維持の道具であり、中国国民の「法治」ではないことを赤裸々に映し出していた。
 共産党と政府が住民に何らの補償も与えずに彼らの住居から立ち退かせ、住民の権利を守るために活動している弁護士を「国家転覆容疑」で拘束する。人権派弁護士が共産党の意にそぐわなければ、弁護士資格を剥奪する。まさに独裁国家そのものの姿がテレビから浮かび上がる。民主主義国家で、ごく普通に行われている、補償の慣行を独裁政党は無視する。
 紀元前2世紀に始皇帝が中国を統治してから今日まで、中国は独裁の歴史だった。そこには日本が経験した封建時代もない。一君万民の統治だ。1911年から12年かけてに辛亥革命により清帝国が倒れて以来、軍閥、蒋介石の国民党独裁、中国共産党独裁と続いてきた。中国の統治者は変われど、独裁体制は維持され続けている。 
 NHKの制作者は次の観点からこの番組をつくった。「経済成長とともに、人々の権利意識が高まる中国。習近平指導部は発足以来『法治』の徹底を掲げ、法に基づいて人々の利害の対立を処理し、社会の安定を図ろうとしている。その一方で、共産党支配に悪影響を与えるとみなされた人々への締め付けはかつてなく強まっているとも指摘されている。番組では、習近平指導部が推進する『法治』の現場を取材。そこから浮かび上がる中国社会の光と影を見つめる」
 この番組を見ての感想だが、中国共産党が中国を支配する限り、われわれが享受している「民主主義」が中国に実現することはない。中国当局に雇われた市民がまるで「幕府の犬」のように共産党に協力し、反政府の人々に暴力を振るう。
 ただ、独裁者や独裁集団は必ず国民の力で滅ぼされる。見方を変えれば、中国共産党は「万民に平等で公平な法治」を求める人権派弁護士を恐れている。彼らが中国民衆と固く結びつけば、共産党の存立基盤は脆弱になる。そして独裁政党は滅びる。しかし次の支配者が民主主義国家を望んでいるのか。中国の歴史はそれを否定しているようにもみえる。
 中国人がこんな文章を中国で書けば、十中八九、中国官権から逮捕されよう。中国人は自由と民主主義の下で、政府や統治政党を批判できない。わたしはいつの日か、私が亡くなった後になるだろうが、中国社会に自由にものが言え書ける日が来ることを願う。中国共産党の一党独裁が崩壊し、中国に自由と万人に公平な民主主義社会が到来したときこそ、日本と東アジアの国々の安全が保証され、共存共栄の国際社会が訪れる。そのことを信じてやまない。中国の朝貢外交の復活だけは御免被る。私は中国共産党のペテンに満ちた宣伝を信じない。共産党が唱える「平等互恵の外交」を決して信じない。


写真:NHKの番組「消えた弁護士たち」から