英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

二階自民党幹事長は辞表して故郷に帰るべし  NHK発言は常軌を逸している 詫びるのが最初ではないのか

2021年01月21日 17時11分45秒 | 時事問題
 19日夜のNHK放送の「クローズアップ現代+」に登場した二階俊博・自民党幹事長の発言に批判が高まっている。コロナ禍で高まる国民の不安に応えるどころか、居直っているように思えた。コロナ感染がここまで拡大した原因の多くは、政府と自民党の失政なのは明らかだ。コロナウイルスが日本で発生して1年。昨年4月の最初の非常事態宣言時に、PCR検査キッドの拡充や感染症医療体制の整備を急いでおけば、そして、「GO TO トラベル」などのコロナ抑制対策とは真逆の政策をしなければ、ここまでの感染拡大にならなかった。
 二階幹事長は「後付けの発言」だと言っているが、自らの政治能力がない、と公言しているようなものだ。高校生とは言わなくても、大学生なら十分に予知できる。予測できる。大学生の多くはそれぐらいの洞察力を持ち合わせている。
 コロナ対策の核心が「コロナに対する一秒でも早い医療体制の充実と封じ込め」にあることは大学生の能力なら理解できる。ニュージーランドや台湾などのトップはコロナ感染の初期に迅速にこのような手をうった。
 二階幹事長はNHKの番組で、国民に陳謝するどころか居直っているとしか思えない発言を繰り返した。NHKのキャスターは最新の世論調査(1月13日)を持ち出した。内閣支持率が40%にとどまり、不支持率の41%を下回った。菅政権の支持率が急落した。武田真一キャスターが番組で「国民の政権に対する評価をどう受けとめているか」と質問した。
 これに対し二階氏は次のように答えた。「これはねえ、みんなやり場がないんですよ。この今の状況を。どこへぶつけていきますか。野党の某政党に責任は『お前の政党にあるよ』って言ってみたって、これしょうがないんじゃないですか」
 さらに武田キャスターは「政府の対策は十分か」と尋ねると、二階氏はむっとした表情を浮かべ、「それじゃあ他の政党が何ができますか。他の政治家が何ができますか。いま全力を尽くしてやってるんじゃないですか。いちいちそんなケチつけるもんじゃないですよ」と言っ放った。 
  どうもこの男、国民の不安や不満を理解していないようだ。理解できないほど能力がないのかどうかは分からないが、とにかく理解していない。多くの国民は政策の中身や決断のタイミングに問題があると思っていることは誰でも理解できる。国民の批判に正当な理由があるのに、『ケチ』と発言するは私には理解に苦しむ。
 GoToトラベルの全国一時停止を菅首相が表明した昨年12月14日の夜、二階氏は東京都内のステーキ店で菅首相らと計8人で会食していた。参加者の一人で政治評論家の森田実さんは「二階氏の仲間が集まる忘年会のような会」と明かしている。
  この会の開催をめぐって菅首相が批判の矢面に立たされましたが、開いたのは二階幹事長だ。この頃の二階氏の言動はおごりとしか私には映らない。長年、自民党の要職についき、権力におぼれているのだろうか。 
  旅行業者を支援し、彼らをバックにもつ二階氏は「全力を尽くしている」という。確かにGoToイートやトラベルなる施策を全力でやってきた。そして、ここに来て感染拡大の主要因として飲食店をやり玉に挙げています。つまり自分たちが支援してきた人々のはしごを、ここに来て外した。支離滅裂といっても過言ではない。
  コロナに対する医療提供体制整備に全力を尽くさず、コロナウイルスが喜ぶ施策をほどこしてきたツケが今、ほとばしり出ている。医療に特化し、そこに資金の大部分を投じていれば、いまほどの感染拡大はなかった。コロナ感染症が始まったとき、コロナの本丸に大打撃を与えるのは、医療体制とPCR検査だと今、発言するのは「後付けではない」。的外れな政策「マスクを全国民に配布」「全家庭に10万円配布」は二階幹事長と自民党の戦略眼のなさを露呈している。
 コロナでなく戦争だったら今頃、日本は無条件降伏しているだろう。そんなときでも、この男は上記のような言い訳をするのだろうか。言い訳する前に敵方の捕虜となっているだろう。二階自民党幹事長は居直る前に、国民に頭を垂れ、自らの非力を詫びるのが最初の行動ではないだろうか。私はそう思う。

 

暗い夜道  コロナ感染症拡大がわれわれに何を教えているのか

2021年01月17日 11時51分23秒 | 時事問題
  私たちは今、コロナウイルスの暗い夜道を歩いている。ほのかな明かりがあると思える方向に歩いていると信じて歩いている。その希望的観測が、少し歩くと、現実ではないことがわかり、失望する。その繰り返しなのだ。それが現在の状況のように思える。
  新型コロナ患者が初めて日本で見つかってから1年たった。ちょうどこのとき、昭和史を書き続けた半藤一利さんが亡くなった(ご冥福を祈ります)。6年ほど前に一度だけ取材でお会いした。そのおり、満州事変から太平洋戦争までの軍人指導者の「ものの考え方」を批判された。
  「戦争指導者は近視眼的で戦略がなく、場当たり的で展望も洞察力もなかった。絶えず希望的観測で動き、最悪を予想はするが、最後には科学的根拠のない希望的観測にいきつく」と。さらに私は彼らは「勇気がなくリスクを恐れた」と付け加えたい。
  半藤さんは誰よりも戦争を憎み、平和を愛した歴史家だったが、それ以上に不合理と希望的観測で行動する人々に警告を発し続けた。半藤さんは昭和の軍人を批判した。
  半藤さんが指摘した「軍人の欠点」というよりも「日本人の欠点」は、現在繰り広げられているコロナウイルスとの戦いにも明らかになっている。菅義偉首相や前任者の安倍晋三・前首相、そして与野党政治家はコロナに対する戦略も長期的な展望もなく、近視眼的行動と希望的観測、場当たり的な政策に終始してこの1年間を過ごしてきた。「コロナ撲滅や押さえ込み」には何が不可欠か、という分析もなければ展望もない。
  子どもが遊園地でモグラたたきの器具で遊ぶように、目の前に出てきたことに集中してツケ刃的な政策実施に終始してきた。このため貴重な国家財政を「マスク配布」や「各家庭に10万円を配布」などコロナ撲滅とは無関係なことに使ってきた。最悪なのは、ことが悪化してから、政策を実施する。それまでは「検討する」「2~3日待つ」という姿勢に終始して、まるで悪化するのを待っているように見える。
  一方、国民はどうかというと、その多くは新型コロナウイルスに危機感を抱いていない。特に若者はそうだ。若者は感染しても軽傷で済むと思い込んでいる。しかしコロナ後遺症に苦しんでいる若者が多いと聞く。自らに禍(わざわい)が降りかかってはじめてことの重大さに気付く人間の弱点をさらけ出している。「親にコロナをかからせて後ろめたい気持ちだ」「味覚がなく、だるい日が続いている。同世代のみなさん、僕と同じようにならないで。コロナに気をつけて」
  コロナ禍に対する為政者と国民の姿勢や行動を考えると、私は、太平洋戦争の指導者のように希望的観測に終始して行動しているとしか見えない。科学的な根拠にたち、コロナを恐れるが、必要以上に恐れない姿勢がない。「希望的観測」「自分はコロナに罹患しない」という非科学的な見地に立って行動している。その行動を意識しているか無意識かは分からないが・・・・。
  いまこそ、日本人に欠けている「科学的根拠に基づいた行動」が不可欠だ。それは何か。政府は貴重な財源を「PCR検査の拡充」と医療設備と医療従事者への支援に特化すべきではないのか。PCR検査によって陽性者と陰性者を見分け、陽性者は隔離して市中感染のリスクを絶たなければならない。陽性者や発症者は「コロナ専用病院」で治療する。「コロナ専用病院」を感染拡大県に少なくとも一つつくるべきだ。
  もちろん医療従事者を拡充しなければならない。そうするために、後期研修医数万人を新型コロナ感染症の最前線に投入することだ。一方、菅首相や各県の県知事は自らの言葉で、官僚が用意した原稿を棒読みするのではなく、国民にこの危機を訴え、若者を説得すべきだ。
  この政策を昨年の夏、最初の緊急非常事態宣言解除後にしていれば、ここまで深刻な状態にはならなかった。現在、深刻な経済状況もここまで悪化しなかった。飲食店やホテルも倒産寸前の状況に追い込まれなかった。何度も小出しにしたコロナ・経済対策の行き着く先が現在の経済状況だ。昨年春の緊急事態宣言を徹底していれば、飲食店も耐えられたはずだ。それは台湾やニュージーランドの状況を観察すれば理解できる。今となっては愚痴と後悔に過ぎないが・・・。
  国民、特に若者と為政者が一丸とならなければコロナ感染症は克服できない。為政者がコロナの中枢を攻撃する明確なターゲットを絞り、そこになけなしの資金を投入しなければ、コロナに大打撃は与えられない。菅首相や与野党の政治家が昼夜の別なく会食を控え、自ら模範を国民や若者に示さなければ、誰もついてこない。リーダーが歯を食いしばらなければ、誰が歯を食いしばるのか。
  コロナは将来のさらなる国難に対して日本国民と指導者がどうするのかを試しているように思えてならない。このコロナという国難を乗り越えられなければ、将来に到来するコロナ以上の大国難で日本国民は滅びるのかもしれない。日本は専制独裁国家の足下にぬかずくのだろうか。

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日本はコロナ軍に敗れたり! 硬直した政府の分科会

2020年08月03日 12時25分15秒 | 時事問題
 日本はコロナ軍に敗れたり!今朝、テレビ朝日の番組「羽鳥慎一モーニングショー」で、日本医師会の釜萢 敏さんがPCR検査は70%しか正確でないので役に立たない、と主張し、コロナとの戦いの武器にならないと話した。これに対し、玉川氏は「武器になる」と反論、ゲストの白鴎大学の岡田教授は「医学の立場だけから述べて下さい。政治的な配慮はやめてください」と懇請していた。
 ニューヨークで、 PCR検査を使いコロナを封じ込めたことなどに対し、 釜萢氏は十分な数の症例ではないとの内容を話し、反論した。釜萢氏や分科会のメンバー、政府の政治家、官邸のトップ官僚はリスクをとりたくないと言っているのだ。
 第2次世界大戦中、イギリス軍と国民を率いた20世紀の傑物政治家、ウィンストン・チャーチルは「リスクをとらない、勇気を持たない政治家やリーダーは駄目だ」と言った。今の政府の政治家やトップ官僚は何もしないことが、一番安全だと言っているのか。
  どうも今も昔もゼロか100という考え方。旧日本陸軍参謀の思考と同じだ。 また対策が硬直だ。 「Go To トラベル」を続けると、西村経済担当相は言い続ける。太平洋戦争のガダルカナルやそのほかの戦いと同じ。
  旧陸軍参謀本部のお偉方は最初に立案した作戦を頑なに守った。現場指揮官から戦況の変化により作戦変更を願い出ても正面突撃ばかりを命令した。ああ~、凡将に対する兵、愚鈍政治家に対する国民。悲劇だ!
  旧ソ連の名将ジューコフ将軍が1939年夏のノモンハン事件の日本軍について、モスクワで独裁者スターリンに報告した。「日本軍は柔軟性がない愚かな将軍や参謀ばかりでした。しかし佐官以下の兵士は優秀でした。素晴らしかった。粗雑な作戦を命令されながら、涙ぐましい敢闘精神と勇気がありました」と話した。
  昔のノモンハンの戦い、ガダルカナルの戦い、そして幾多の太平洋戦争の戦い、今日のコロナとの戦いはすべて構図が同じだ。愚鈍なリーダーと優秀な佐官以下の将兵。愚かな政治家やトップ官僚と、涙ぐましい勇気と職責を果たしている医療関係者。そして一部の者をのぞく大多数の日本国民の涙ぐましい努力だ。ああー、コロナ軍に敗れたり!そうならないことを願うばかりだ。

有事での日本の指導者と官僚の能力がばれてしまった 座して死を待つ愚策

2020年07月27日 12時00分00秒 | 時事問題
 昨年の12月から中国で始まったコロナ戦、日本はこれから悲惨な”敗走”が始まるのだろうか。コロナとの戦いで、安倍政権と日本の”優秀”な官僚機構の能力の程度が世界にばれてしまった。7月25日付朝日新聞のインターネットサイトを読んで、思わず失笑した。読者の皆さんも抜粋を読んでほしい。

  政府が新型コロナウイルスの感染防止策として始めた布マスクの配布事業で、介護施設や保育所など向けの布マスクの発注と製造が続き、今後さらに約8千万枚を配る予定であることが厚生労働省などへの取材でわかった。全戸向けの配布は6月に終わり、すでに店頭でのマスク不足も解消されて久しい。配布はいつまで続くのだろうか。「忘れた頃に突然、という感じだった」。東海地方にある保育園には、4月に続いて6月にも、職員用の布マスクが届いた。園長(53)は「万が一の時のために備蓄しているが、今のところ出番はない。自分で使うなら、もう少し呼吸しやすい形のマスクを選びます」と困惑気味だ。

 国民への10万円給付といい、全世帯に配ったマスクといい、的外れな戦術に、さぞかしコロナも喜んでいるだろう。今年2月から半年、政府と官僚は何をしていたのかと問いたい。貴重な時間を失い、コロナは退却したと見せかけて、現在、われわれに総攻撃を仕掛けている。 それに対して政府は「いまだ重症者は少ない。この春とは違う」とのんきな言葉を繰り返す。
 まるで、児童が遊園地の「モグラの遊具」をたたいているようだ。モグラが出てくれば、それを叩く。児童はそれを繰り返して楽しむ。児童の行為と政治家や官僚の行動は似ている。
 政治家や官僚は、目の前に起こったことに対して対処するだけ。あとは、ひたすら国民に「現状を話し、ひたすら不要不急の外出をするな」と要請するだけ。それ以外はただただコロナウィルスの攻撃を指をくわえてみているだけのようだ。
 2月から半年、欧州は日本の数十倍、数百倍の死者を出しながらも、必死になってPCRキッド増産と、それを扱うことができる医療従事者の訓練に邁進した。 ニューヨーク市は今月22日には「死者ゼロ」、感染者数もほぼ10人前後にまで減っている。激減させたのは検査の徹底である。感染者の蔓延と死者数の増大で医療崩壊が起こっていたにもかかわらず、 それを横目に見ながらもクオモ市長とニューヨーク市民は必死になってPCRキッドを増産し、コロナの陽性者と陰性者を分け、陽性者を隔離することに成功した。
 クオモ市長は経済活動の再開にも慎重だ。クオモ知事は再開の条件として、「検査、追跡、隔離の徹底が重要。多くの住民が検査を受けることが経済活動再開の条件」としている。レストラン店内の飲食は今も禁止。違反すると約1000万円の罰金か営業停止だ。
 クオモ市長は勇気を出して、住民からの訴訟のリスクをものともせず、勇敢にコロナと戦った。市民に「市民の権利を制約する、さまざまな措置を、市民に理解させ納得」させた。
 吉永みち子(作家)さんは「(ニューヨークは)日本と比べて悲惨な状況から新型コロナ対策始めましたが、いま、同じ時間が経ってみると、この開きが出ているわけです。やるべきことを懸命にやったかどうかの違いでしょう」と冷ややかに語っている。
 日本の指導者である安倍首相ら政治家や官僚はこの段になっても「我が身」が大切らしい。特に厚生労働省の医学系技官の保身のすさまじさは想像を絶する。テレビの専門家の話を聞いていると、彼らはPCR検査の増産に消極的だという。
 PCR検査器機の精度が完全でないものは使えない、と言っている。本当に硬直している。旧陸軍の高級参謀と同じ態度だ。またハンセン病患者の隔離について、最高裁で敗訴して隔離は「懲りた」という。PCR検査から派生するかもしれない偽陽性のため、偽陽性者から訴えられるのを「恐れている」という。
 太平洋戦争で、連戦連敗のアメリカ軍が初めて勝利したガダルカナルの戦いでの日本陸軍参謀本部の硬直した作戦、場当たり的作戦、敵の急所はどこなのか、敵の戦略は何かを深く考えない姿勢は、現在の安倍政権と官邸に巣食う高級官僚や厚生労働省の医学系官僚(技官)の姿勢と同じだ。
 戦略は何か。コロナとの戦いに勝利するには何をすべきか。ワクチンや薬がない現状では、政府と官僚がすべきことは、PCRキッドを増産し、器機を取り扱う医療者を訓練することではないのか。そして医療体制を充実し、そこに多くの資金をつぎ込み、物心両面で、最前線で戦っている医師や看護婦を支援することではないのか。偏差値教育の結末なのか。これが本当なら、国民がかわいそうだ。
 現状において取り得る道はPCRキッドの増産と医療体制のてこ入れではないのか。それがいやなら「緊急事態宣言」を出すべきだろう。これが劇薬であり、経済を破壊すると政治家と官僚が認識しているのなら、PCRキッドで、感染地域の住んでいる何万人もの人々を検査する以外に、コロナに大打撃を与える方法はあるのか。あるなら、われわれ国民に説明してくれ。小池東京都知事のように、毎日、「患者は何人だ」と言うだけでは国民の不安は、都民の不安は解消されない。
 政治家も官僚も、私が今まで言ってきたことを知っているはずだ。日本の官僚は有能な村社会の人々だ。当然知っている。彼らに足りないのは勇気だ。自己犠牲を覚悟する勇気だ。コロナ検査を大量にすることによる不慮の災害(ワクチンと違って生命に及ぼす危害はない)を引き受ける勇気がないのだ。この壊滅の危機に至っても自らの保身だけを考えるのか!
 第2次政界大戦中、20世紀の大政治家ウィンストン・チャーチル首相は国民に「きびしい現状を話し、政府の戦略と当面の措置を話し、国民を鼓舞」した。チャーチルは言う。「政治家には、これから何が起こるか予知する能力が不可欠だ。そして自分が国民に言った予見が起こらなかった場合、なぜ起こらなかったかを説明する能力をも持たなければならない」と。
 8月下旬から9月初めに、コロナウィルスが全国に蔓延し、どうしようもなくなって、打つ手がなくなることを恐れる。いまからでも遅くはない。政治家も高級官僚も「勇気」を出し、コロナを直撃するため、ワクチンができあがるまで、PCR検査を充実させて戦うことだ。これしか手持ちの戦力はないではないか。マスクを国民に配ったところで、10万円をわれわれに配ったところで、「Go To トラベル」事業をやったところで、コロナは元気一杯だ。「Go To トラベル」事業は観光業者の破産を時間的に延ばすにすぎない。コロナを撲滅しないかぎり、経済は破たんし、観光業者もわれわれも海の藻屑と消えるだろう。

有事にリーダーの能力は白日の下にさらされる  コロナは各国の指導者を試験する

2020年04月28日 10時13分39秒 | 時事問題
 新型コロナは世界の指導者を試しているようだ。われわれは現在、各国のリーダーの決断力、意思力、想像力、実行力、予想力(たとえ後で間違っていようとも)、長期的な展望、責任を負う覚悟、判断力などを理解できる立場に立っている。
 アメリカのトランプ大統領の無能ぶりは目を覆いたくなる。漂白剤(家庭用消毒)を注射すればコロナが撲滅できると表明した。私は耳を疑った。日本国民程度の民度があれば、誰でもトランプの言葉に従って注射すれば死ぬことは明白だとわかる。
 世界最強の国のリーダーがこんな馬鹿げたことをいう。だから100万人近くのアメリカ人が感染し、1万8千人以上が亡くなっている。イギリスのリーダーも褒められない。ジョンソン首相は自らコロナ感染生還者だが、その最初の政策はイギリスの政治家らしくなかった。現実を軽視した政策だった。 
  これに対して、韓国の文在寅大統領はコロナに関しては見事な差配だった。国民の目を気にしないで果断に対処した。私は文大統領の対北朝鮮政策を批判し、彼の共容思想に顔をしかめていたが、コロナに関しては絶賛せざるを得ない。
  オーストラリア、ニュージーランド、デンマークなどの指導者もすばらしい。彼らに共通しているのは、新型コロナが発生したとき、未来を見つめ、最悪を想定して果断に対処し、勇気を持って国民の批判を恐れずに実行したことだ。それが実を結んでいる。
 それでは日本の指導者、政治家はどうか。2月初旬、ダイアモンド・プリンセス号の船内で船内感染が広がった。そのころ、中国、特に武漢でコロナが広がり、手の施しようがないにもかかわらず、共産党政権はその強権を持って対処していた。
  それから2カ月半が過ぎた。未だにPCRコロナ検査器が不足して、敵(コロナ)の戦力が分からず、感染者に自宅待機を政府は促す。その間に、女優の岡江久美子さんら待機していた患者は容体が急変し亡くなっている。
  尾身茂・政府対策会議副座長が3月初め、「発熱してから4日たったら保健所か帰国者感染センターへ連絡することというのは、コロナ検査器や集中治療室が不足していることによる医療崩壊を防ぐ措置だ」と話した。それから1ヶ月半たってもまだコロナ検査器が足りないというのはどういうことだ。韓国の文大統領はコロナ対策を半月で完成した。
  なぜ、日本のリーダーや、有能と言われる官僚がでできないのか。韓国以上の科学技術力がある日本ができないのは、日本の指導者と官僚の目が曇っているからだ。厚生省の医療官僚の官僚丸出しの対応と、何事においても完全を求める非現実的な対応。ドライブスルー検査は確かに正確さは欠くが、それでも緊急時にはこれを使うという発想がないのだ。要するに官僚特有の「勇気のなさ」「果断力のなさ」「手続き最優先の姿勢」だ。平時ではこれでよい。有事では致命的になる。
 一方、安倍政権はプリンセス号で乗客が感染した2月上旬、中国のトップ、習近平の訪日を控えていた。習総書記の訪日という目の前の出来事に囚われていた疑いがある。小池東京都知事は東京オリンピック開催を念頭にコロナ対策に果断だ処置をしなかった疑いがある。
  安倍首相は中国の感情を害してもコロナ対策を果断にすべきだった。小池都知事も五輪返上の覚悟をしてでも、それに伴う大多数の日本人の反対を押し切ってでもコロナに対して果断な決断をすべきだった。日本の政治家は、与党野党とを問わず、たいした政治家ではないことが、コロナ試験で理解できる。
  一方、日本国民はどうか。過半数以上の国民はこの危機的事態を理解した行動をとっている。政府が個人事業主や中小企業への保証をしぶる愚挙を犯していたときでさえ、個人経営者の多くは苦渋の決断をして休業した。それでも海岸や行楽地に行き、パチンコ店に行く少数者がいる愚かな連中がいることも忘れてはならない。要するにスペインの哲学者オルテガの言う「事故犠牲ができない大衆」なのだ。
  第2次世界大戦初期、ナチスドイツがフランスを蹂躙した。そのときのフランスの、政治・軍事リーダーは現在の日本のリーダーと同じだった。急速に変化する現状や時の流れを追認するだけだった。起こったことに対処するだけ。これでは有事に勝てない。
  日本人は歴史から学ばない。そうだろう。中高の授業で、暗記教育しかしてこなかったのだから。こんな状況で、コロナ禍がこの程度などは奇跡に近いと思う。コロナを撲滅する未来に光が見えない。それどころか、将来、独裁国の中国がアメリカに代わって世界の覇権を握ったとき(30~40年単位で判断すれば、その公算は大きい)、日本人はどうするのだろうか。そのとき、英国の名宰相、ウィンストン・チャーチルのような有能な指導者をいただき、民度の高い日本国民がいてほしいと願うばかりだ。